高速道路を走っていると、まれに「独特な書体」の標識を見かけることがあります。
【結構レア?】これが「完成してすぐ」の首都高の看板です(画像)
これは通称「公団ゴシック」と呼ばれ、高速走行中の車内から悪条件下でも文字を瞬時に認識できるよう、美観よりも視認性を最優先して設計された特殊なフォントです。
公団ゴシックが誕生したのは1963年7月。日本初の高速道路である名神高速道路(栗東IC~尼崎IC間)の開通時です。当時はデジタルフォントが存在せず、日本道路公団(現・NEXCO各社)の職員たちが、必要に応じて1文字ずつ手作業で設計していました。
そのため同じ文字でも細部が異なる場合があります。例えば、「模」の「くさかんむり」が離れていたり、「東京」と「京都」の「京」で空間の取り方が異なっていたり、「原」と「厚」では「日」の部分の大きさを変えるなど、隣り合う文字とのバランスによって多くのバリエーションが生まれました。
全体としては、画を直線的にし、本来ある「ハネ」や「払い」を大胆に省略したデザインが特徴です。これは視認性の向上に加え、当時の標識製作が反射材テープの切り貼りによって行われていたため、複雑な曲線を避ける必要があったという技術的背景も影響しています。
しかし、この「ばらつき」は後に課題となりました。各メーカーが個別に製作していたため、字画の省略が過剰になり、正字としての判読が難しくなるケースも見られるようになったのです。これが、2010年以降の新フォント採用の一因となりました。
デジタルフォントが普及した現在、高速道路の標識文字は「ヒラギノ角ゴ」が主流となっています。
2010年、NEXCO3社は標識用の新フォントとして、和文に「ヒラギノ角ゴ W5」、欧文に「Vialog(ビアログ) Medium」、数字に「Frutiger(フルティガー) 65 Bold」を採用しました。市販の高品質なフォントを導入することで、視認性の確保と製作コストの効率化を両立させています。
これらの新フォントは、新規設置や老朽化に伴う交換の際に順次導入されています。つまり、かつての「公団ゴシック」が新たに設置されることは、すでにありません。NEXCO中日本も、その数が今後減少の一途をたどるとしています。
同社によれば、道路標識の耐用年数は資産上の目安として「20年」とされています。ただし設置環境によって寿命は大きく左右されるため一概には言えませんが、2010年の切り替え開始から15年以上が経過した現在、置き換えが進んでいます。

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