「オブザーバー」から「本格参加」へステップアップ

 統合幕僚監部は2026年4月14日、アメリカとフィリピンが共催する多国間共同訓練「バリカタン26」に、自衛隊から約1400名の人員が参加すると発表しました。これは、本訓練における自衛隊の参加規模としては過去最大となります。

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 訓練は4月20日(月)から5月8日(金)までの期間、フィリピン共和国で実施される予定です。参加国は日本のほか、フィリピン、アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、ニュージーランドとなっています。

 今回、自衛隊からは過去最大の人員に加え、多彩な装備が投入されます。海上自衛隊からは護衛艦「いせ」「いかづち」、輸送艦「しもきた」といった艦艇のほか、US-2救難飛行艇が参加。航空自衛隊はC-130H輸送機を、陸上自衛隊は88式地対艦誘導弾などを派遣します。

 訓練項目は、多国間海上訓練や水陸両用作戦訓練、対着上陸射撃訓練、対艦戦闘訓練、統合防空ミサイル防衛訓練など多岐にわたります。このほか、サイバー攻撃などへの対処訓練や統合衛生訓練、滑走路被害復旧訓練も行われる計画です。

 自衛隊は2012(平成24)年にオブザーバーとして「バリカタン」に初参加して以来、継続的に関わってきました。大きな転機となったのは、昨年実施された「バリカタン25」で、それまでオブザーバー参加だった自衛隊から護衛艦「やはぎ」が艦艇として初めて参加し、多国間海上機動訓練に加わりました。

 そして今回の「バリカタン26」では、陸海空の各自衛隊からそれぞれ装備や人員が各種実動訓練に参加するという、史上初の出来事となります。この本格参加を後押しするのが、日本とフィリピンの間で締結された「日比円滑化協定(RAA=Reciprocal Access Agreement)」です。この協定により、両国間での部隊の相互訪問や共同訓練がよりスムーズに実施できるようになり、今回の実動訓練にも適用されます。

 今回の訓練で特に注目されるのが、陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾の参加です。訓練項目に「対艦戦闘訓練」が含まれていることから、実弾射撃が実施されると思われます。

 南シナ海をめぐって中国との間で緊張関係にあるフィリピンにおいて、こうした対艦戦闘を想定した訓練を実施することの意義は非常に大きいと言えるでしょう。過去最大規模での参加、そして陸海空自衛隊が一体となった訓練は、地域の平和と安定への日本の強い意志を示すものとなりそうです。

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