NEXCO東日本、中日本、西日本の高速道路3社のコーポレートカラーはそれぞれグリーン、オレンジ、ブルーですが、これらの色はJR東日本、JR東海、JR西日本の色とも似通っています。偶然なのでしょうか。
鉄道で旅行をしていると、駅名標に使用される色が変わることで遠くに来たことを実感するといったことはないでしょうか。たとえば関東から在来線で太平洋側を西へ向かうと、まずJR東日本のグリーンがJR東海のオレンジになり、やがてJR西日本のブルーへと変わっていきます。
左がNEXCOのロゴ、上から東日本、中日本、西日本。右がJRのロゴ。上から東日本、東海、西日本(画像:NEXCO西日本、写真AC)。
同じような光景が、実は高速道路でも見られます。NEXCO3社それぞれのコーポレートカラー(ロゴなどに使用される会社を象徴する色)は、NEXCO東日本がグリーン、NEXCO中日本がオレンジ、NEXCO西日本がブルーとなっており、まるでJR各社と呼応しているかのようです。
偶然なのでしょうか。
まずJR各社ですが、国鉄の民営化にともない発足し、2017年で30年が経過しました。旅客と貨物あわせて7社のコーポレートカラー、すなわち駅名標などにも使用される色ですが、これはこの発足時から変更されていません。JRのロゴ、およびコーポレートカラーをデザインしたのは、広告制作プロダクションの日本デザインセンター(東京都中央区)です。
同社によれば、JR東日本、東海、西日本の3社におけるコーポレートカラーには、次のような意味があるといいます。
・JR東日本「グリーン」:東北、信越、関東の豊かな緑色で、力強く発展していく新会社の未来をシンボライズしました。また、東北・上越新幹線のカラーでもあります。
・JR東海「オレンジ」:かぎりなく広がる東海の海と空の彼方を染める夜明けの色です。新鮮ではつらつとしたオレンジのように、フレッシュな新会社を表します。
・JR西日本「ブルー」:日本の文化と歴史に彩られた地域にふさわしい色です。地域に密着した会社を表し、また、豊かな海と湖を象徴するカラーでもあります。
では、NEXCO3社のコーポレートカラーには、どのようなコンセプトがあるのでしょうか。
NEXCOはJRを参考にしたのか?NEXCO3社は、JRの分割民営化から18年を経た2005(平成17)年10月1日、日本道路公団の民営化にともない誕生しました。コーポレートカラーについては、各社「ブランド・カラー」としてそれぞれのサイトで説明しています。
・NEXCO東日本「ネクスコ・グリーン」:東日本・北日本の安息を感じさせる自然をイメージした、深みと明るさのある緑色。
・NEXCO中日本「ネクスコ・オレンジ」:中部日本エリアの活発なにぎわいをイメージした、力強くいきいきとしたオレンジ色。
・NEXCO西日本「ネクスコ・ブルー」:西日本・南日本の海と空の明るさをイメージした、鮮やかで清潔感のある青色。
JR3社とは色が共通しているため、コーポレートカラーに込められた意味においてもやんわりと共通しているような部分は見られますが、決して「同じようなもの」とまでは言えなさそうです。
NEXCO3社のコーポレートカラーは、JRを踏襲したものなのでしょうか。NEXCO中日本は「特に参考としたわけではありません」といいます。
高速道路施設などを保有する独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構法(横浜市西区)によると、「道路公団の民営化に際しては国の委員会で議論され、そこにはJRの役員もメンバーに入っていました。しかし、ロゴやコーポレートカラーまでその場で議論されたかは、定かではありません。NEXCO各社で情報交換をしながら、決めていったものではないでしょうか」といいます。
なお、NEXCO3社は発足から半年後の2006(平成18)年3月31日、国土交通大臣から高速道路業の許可を得て、翌4月1日から本格的な事業を開始しました。「NEXCO」のブランドネームやロゴマークの使用は、このときから始まったものです。
【地図】エリア分けは異なるJRとNEXCO

JR発足時の在来線と、NEXCO3社のエリア分け概念図。新幹線など一部路線除く(乗りものニュース編集部作成)。