西日本豪雨で被災した福井県の国道305号が仮復旧し全線開通しました。大規模な土砂崩れが発生し不通となっていた箇所には、土砂崩れを避け、海にせり出すコの字形の仮橋が。
2018年7月の西日本豪雨で被災し、不通となっていた福井県の国道305号が、およそ4か月を経て10月31日(水)に仮復旧し、全線開通しました。
国道305号の土砂崩れ箇所に建設された迂回路。写真は開通前(画像:越前町観光連盟)。
越前海岸に沿うこの道路では、7月7日に福井市内で大規模な土砂崩れが発生。被災箇所は道路のすぐ西側に海、東側には崖が迫る区間で、およそ60mの高さから崩れて流れ込んだ大量の土砂が道路をふさいでしまいました。そこで、土砂崩れ箇所を回避するため、海側にせり出す形で208mの仮橋が建設されたのです。事業費は約4億円とのこと。
ただこの仮橋、コの字形をしており、直角のクランクが連続しています。福井県道路建設課によると、道路の幅は大型バスの通行を想定して6mが確保されてはいますが、仮橋の前後20mほどの位置にそれぞれ仮設の信号機が設置され、片側交互通行となっています。県道路建設課に詳しく話を聞きました。
――なぜ仮橋建設という手法を採ったのでしょうか?
なるべく早く通行止めを解除するためです。
――クランクが連続するコの字型にせず、もう少し緩やかな形状にする方法はなかったのでしょうか?
クランクになったのは、規格品を使用したからです。地形に合わせてオーダーメイドで設計したのでは間に合わないことから、早く通すことを優先しました。橋脚の施工も、穴を掘りながら鋼管を挿入していくなど、時間短縮のため特殊な工法が採られています。
――復旧を急いだ理由はあるのでしょうか、
生活、観光面で重要であるうえに、沿道自治体などからも、11月6日(火)の越前ガニ漁の解禁前に開通してほしいと要望いただいていました。
――今後はどのように復旧していくのでしょうか?
土砂がさらに崩れてこないよう、のり面の対策してから土砂を撤去し、本線の復旧に取り掛かります。2019年度末までに本復旧の予定です。

崖の上のほうから崩れた大量の土砂が道路をふさいだ(画像:越前町観光連盟)。
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この道路の開通を待ち望んでいたのが、福井市の南側に隣接する越前町。越前ガニが冬の名物である越前町では、国道305号沿いに旅館や海産物店が数多く存在します。
越前町観光連盟の職員によると、この国道は県北部の観光地として有名な東尋坊と越前町を行き来する人も多い道だといいます。