釣具メーカーの株式会社ティムコは5月25日、堅果シナジー投資事業有限責任組合による同社株式に対する公開買付け(TOB)が成立したことを発表しました。これまでの経緯と今後の動きを整理しました。
(アイキャッチ画像提供:株式会社ティムコ)
筆頭株主が中国系投資会社へ
フィッシング事業やアウトドア事業を展開する株式会社ティムコは5月25日、堅果シナジー投資事業有限責任組合による同社株式に対する公開買付け(TOB)が成立したことを発表しました。
これに先んじて今月19日、ティムコはTOBに反対することを表明。理由として、事前の情報提供や事前協議の機会がない中で、2026年4月7日の公告により一方的に開始されたこと、TOBの意図・目的や企業価値等へ影響など多くの項目が不明瞭な状態であることを挙げていました。
TOB成立を受け、ティムコおよび関係会社の主要株主・筆頭株主の異動が発生する見込みとしており、異動後の筆頭株主の「総株主の議決権の数に対する割合」は44.96%になると報告しています。
突然のTOB 当初は「留保」
ティムコは4月7日、堅果シナジー投資事業有限責任組合による同社株式に対するTOBの開始を発表。同21日には、TOBに対する意見の表明を留保し、引き続き情報の収集に努めることを明かしていましたが、5月22日にはTOBが終了しています。
堅果シナジ一投資事業有限責任組合の出資者は、株式会社堅果テクノ(東京都千代田区)。同社は、日本国内における継続的な投資機会の探索、投資の実行や投資先企業への経営支援などが主たる事業内容だといいます。
一方、ティムコの発表によると、公開買付者らの情報が開示されていないと指摘。同社が設置した特別委員会が、本TOBの実質的な意思決定主体であるとする「Capital Nuts」の財務内容や公開買付者の有限責任組合員の実態などについて、質問書を通じて詳細な情報開示を求めたものの、具体的な回答はなかったとしています。
またティムコは、公開買付者らの総従業員数が、堅果テクノ1名とCapital Nuts8名の合計9名に留まることを挙げ、本件施策の実行を担う人的資源の裏付けが不透明であることを指摘しています。
2025年11月期決算は2期連続の赤字
ティムコの2025年11月期決算を見ると、売上高は32億1900万円(前年度比0.2%増)の増収となったものの、営業損失は-9800万円(前期-3000万円)、当期純損失は-1億2800万円(同-1億900万円)と赤字幅が拡大していました。
市場低迷に加えて、物価高による買い控えや天候要因、熊被害増加による野外活動自粛などが加わり、販売は全般的に伸び悩み。一部の釣用品や新発売した“国産熊スプレー”が好調だったほか、自社ECによる販売は好調に推移し売上高は微増となったものの、円安や物価高による原価上昇、販売を後押しするためのセール実施などが響き、2年連続の営業損失を計上しています。
セグメント別では、フィッシング事業は8億5600万円(前年度比6.8%増)と上乗せしたものの、セグメント利益は前年度の5400万円から-200万円の損失。
ECは好調 輸出は前年並
EC関連では、2024年11月よりフィッシング用品を販売開始しており、好調に推移。同社が管理するEC全体で3億3400万円(前年度比13.1%増)となっています。
そのうち自社ECは1億5100万円で、内訳はフィッシング用品3700万円、アウトドア用品1億1300万円。Amazonがメインだという他社ECは1億8300万円で、ほとんどをアウトドア製品が占めているそうです。
輸出に関しては、フライフィッシング用品が中心で、輸出拡大を見込んでいたものの、米国の関税により停滞。他の国で補ったことにより、前年並を維持しました。
輸出金額は1億5700万円で、輸出シェアはスリランカ18.1%、アメリカ16.6%、スウェーデン10.5%、オーストラリア7.0%と続きました。
スリランカはアメリカ向けの毛鉤の生産拠点。スウェーデンではフライ用品を中心に、オーストラリアではルアーを中心とした展開をしています。
ティムコは中期的な方向性として、会員数を3年後までに10万人に増やすほか、WEBとリアル双方でのプロモーション強化などによりユーザーとの接点強化を挙げていました。
また、EC分野の比率を現在の10%ほどから将来的には25%まで引き上げるほか、海外比率も3年後までに現在の倍となる8%程度を目指す方針でした。
直近の決算も営業赤字で着地
直近の2026年11月期第1四半期決算では、8億6000万円(前年同期比12.0%増)と伸長した一方、営業利益は2200万円のマイナスで着地。引き続き苦しい展開となっています。
今後の動きは?
ティムコの試算によると、TOB成立を受け同社の流通株式比率は、東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準である25%を下回る見込みです。
一方、公開買付者による「公開買付届出書」と「対質問回答報告書」では、本TOBがティムコの上場廃止を企図したものではないとの記載があることから、同社は上場維持に向けて取り組む方針だといいます。
公開買付者は、速やかに臨時株主総会を開催し、ティムコの役員の全員もしくは一部を変更する方針とのことです。
(TSURINEWS編集部)
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