サカナの『鰓(えら)』の仕組み 地球温暖化が進むと呼吸が出来ない?

「サカナは鰓(えら)呼吸をする」。その事実は知っていても、どのようにして酸素を取り込んでいるのかは、意外と知られていません。サカナ以外にも一部の水生昆虫や軟体動物、両生類は鰓(えら)を持っていますが、今回はサカナの鰓について調べてみました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

サカナの『鰓(えら)』の仕組み 地球温暖化が進むと呼吸が出来ない?

魚類における鰓の役割

サカナの鰓(えら)には大きく分けて3つの仕事があります。それが呼吸・浸透圧調整・アンモニア排出の3つです。

ではそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

サカナの『鰓(えら)』の仕組み 地球温暖化が進むと呼吸が出来ない?
サカナは鰓呼吸(出典:PhotoAC)

1.鰓の役割:呼吸

まず鰓の一番の仕事と言えるのは、やはり「呼吸」です。

酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する。生物が生きていくうえで必要不可欠なこの「呼吸」は、一部のサカナを除き肺ではなく鰓で行われます。

ほとんどのサカナが鰓を巧みに動かすことで、水を通過させ、水中に溶けた酸素を濾し取っています。この時、酸素を取り込むと同時に、水中に二酸化炭素も排出しています。

2.鰓の役割:浸透圧の調節

サカナは水中で生活しているため、体内の塩分濃度と外界の塩分濃度の差から起きる浸透圧の影響を常に受けています。

そのため、サカナは水を飲んだり、尿を排出することで、体内の塩分濃度を調節していますが、それだけでは間に合わないので、サカナは鰓に能動的に働く塩類細胞という大きな細胞を持つようになりました。

この細胞は海水魚と淡水魚で若干異なりますが、簡単に言うと、体内の余分な塩分を排出したり、取り込んだりする便利な細胞です。

サカナは、鰓に塩類細胞をたくさん持つことで、浸透圧の調整を行っているのです。

3.鰓の役割:アンモニア排出

サカナに限らず、生き物にはタンパク質が必要になります。タンパク質を取り込むと体内には多量のアンモニアが生まれます。

このアンモニアは尿素などに形を変えて、糞や尿とともに体外に排出されますが、サカナの場合は、鰓からアンモニアの形で直接水中に排出しています。

これも呼吸と同時に行われているので、鰓は呼吸だけでなく様々な仕事をしている非常に重要な器官と言えます。

鰓呼吸と肺呼吸はどちらが効率的?

人間の場合、空気を吸って酸素を取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を排出しています。ですので、肺呼吸の場合、「吸って、吐く」この2つの動作を必要としますが、鰓呼吸では鰓に水を通すだけで、呼吸が完結します。

「え、鰓呼吸の方がスマート...」

そう思った方もいるかもしれません。鰓呼吸の方が効率的でスマートに思えますが、実はそうでもないのです。

空気中と水中では酸素の濃度が異なるため、一概に鰓呼吸の方が効率的とは言えないのです。

空気は21%の酸素と79%の窒素、それと微量な色々なガスが混じっていますが、水中での酸素濃度は0.004%と非常に少ないのです。

数字だけを見ると、今度は肺呼吸の方が効率的に見えてきますよね。人間とサカナでは、必要とするエネルギーや体の構造が違うので、一概にどちらが効率的で、どちらがスマートなのかは評価しずらく、今も研究者たちの頭を悩ませています。

マグロは泳ぐことで鰓に水を通す

みんなが大好きなマグロは、鰓を動かす筋肉が発達していないため、泳いでいないと酸素を取り込むことができません。

そのため、泳ぐことをやめてしまうと酸素を取り込むことが出来ず、サカナなのに溺れてしまいます。寝ている時も呼吸をしなければならないため、マグロは寝ながらも泳ぎ続けているのです。

養殖場では、中には熟睡してしまって、溺れて死んでしまうちょっとドジなマグロも確認されているようです。

鰓以外の呼吸器官をもつサカナ

サカナの中には鰓ではなく、その他の器官で呼吸をしているサカナがいます。その一部をご紹介していきます。

ベタ(ラビリンス器官)

ベタと呼ばれる魚は、ラビリンス器官という補助呼吸器官を使って呼吸をすることができます。この器官は鰓の上にあるので、上鰓(じょうさい)器官と呼ばれることもあります。

ベタは東南アジアの水の流れのない水域に生息しています。水温が高いと、水中の溶存酸素が非常に少なくなります。そのため、この補助呼吸器官が発達したと考えられています。

ベタは鰓呼吸だけでなく、ラビリンス器官を使って空気を吸い、体内に取り込む空気呼吸をすることができるようになりました。

サカナの『鰓(えら)』の仕組み 地球温暖化が進むと呼吸が出来ない?
ベタ(出典:PhotoAC)

ハイギョ(肺)

サカナの中には鰓ではなく肺呼吸をする種類もいます。その特異的なサカナが「ハイギョ」と呼ばれるサカナです。

鰓だけでなく、人間と同じように肺を持っています。数時間ごとに息継ぎのため水面に上がる必要があるとされ、鰓はほぼ使われていません。呼吸の大半を鰓ではなく肺に依存しているというから驚きです。

肺で呼吸ができるため、このサカナは乾期で水が干れても次の雨期まで地中で「夏眠」と呼ばれる休眠状態で過ごすことができます。

サカナの『鰓(えら)』の仕組み 地球温暖化が進むと呼吸が出来ない?
ハイギョ(出典:PhotoAC)

地球温暖化の影響でどうなる鰓呼吸

近年、地球温暖化の影響で海水温の上昇が確認されています。地球が暖かくなるということは海だけでなく、様々な水域の水温が上昇するということです。

そうなると溶存酸素は少なくなり、鰓呼吸だけでは呼吸が賄えなくなってくるかもしれません。

もしかすると、今後はハイギョやベタなどと同じように、鰓だけではなく、別の器官を発達させたサカナが発見させるかもしれませんね。

<近藤 俊/サカナ研究所>

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