秋のGIシリーズもいよいよ後半戦。ここから年末まで、毎週GIが開催される。

 その皮切りとなるのは、「秋の女王決定戦」GIエリザベス女王杯(11月13日/阪神・芝2200m)だ。京都競馬場の改修工事により、今年も阪神競馬場で行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気が勝ったのは一昨年のラッキーライラックのみ。比較的"荒れる"ことが多い一戦と言える。特に昨年は、10番人気のアカイイトが勝利し、2着に7番人気のステラリア、3着にも9番人気のクラヴェルが入って、3連単では339万3960円という超高額配当が飛び出した。

 となると、今年も波乱が期待されるが、「今年は、一昨年の三冠牝馬デアリングタクト(牝5歳)、GI秋華賞(10月16日/阪神・芝2000m)の勝ち馬スタニングローズ(牝3歳)、同2着のナミュール(牝3歳)が人気を集めそう」と、東京スポーツの三嶋毬里衣記者が言うように、三つ巴の様相となっている。

 しかしながら、秋華賞で上位に入った馬がエリザベス女王杯でも勝ち負けを演じることは意外に少ない。昨年も秋華賞を勝ったアカイトリノムスメが7着に敗れ、2019年も秋華賞馬のクロノジェネシスが5着に沈んでいる。

 また、デアリングタクトにしても、完全復活が期待された前走のGIIオールカマー(9月25日/中山・芝2200m)で1.0秒差の6着。全盛期と比較すると物足りない印象で、巻き返しへの不安は拭えない。

 ということは、今年も伏兵の台頭が大いに考えられる。そこで、三嶋記者は一発を秘める穴馬を2頭挙げ、再び高配当が飛び出す可能性を匂わす。

「まず1頭目は、ウインマリリン(牝5歳)です。エリザベス女王杯は3年連続の出走となりますが、過去2年(2020年=4着、2021年=16着)と比較して、気配は今年が一番いいですね。

エリザベス女王杯は「3強」に不安あり。穴党記者はGIで善戦歴...の画像はこちら >>

3年連続でエリザベス女王杯に挑むウインマリリン

 1週前の追い切りでは、美浦のWコースでシュネルマイスターと併せ馬を敢行。僚馬を追いかけ、外目を回って5ハロン69秒0-11秒5のタイムをマークしました。

 その動きを見た手塚貴久調教師は、『いいですよ。前走時よりいいですね。

メンバーはそろっているけど、良馬場なら十分やれると思う。体調がかなりいい』と、歯切れのいいコメントを発していました」

 前走のGII札幌記念(8月21日/札幌・芝2000m)では、その後のGI天皇賞・秋でも奮闘したジャックドール、パンサラッサに次ぐ3着と好走。強豪牡馬相手に差のない走りを見せ、念願のGI制覇への期待が膨らむ。

「一昨年、昨年と肘の痛みを抱えながらの調整になりましたが、今回は肘に不安がないのが最大の好材料であり、大きな魅力です。

 3歳時にはGIIフローラS(東京・芝2000m)を勝って、続くGIオークス(東京・芝2400m)でも2着に入った馬。もともと高い素質を秘めており、早めに栗東入りしたことには勝負気配を感じます。

GIでもやれる力は十分にあります」

 三嶋記者が推すもう1頭は、春のクラシック2戦で好走しながら、秋華賞は無念の除外となったピンハイ(牝3歳)だ。

「GI桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)5着、GIオークス(5月22日)4着という実績馬。秋華賞への出走は叶いませんでしたが、同日に行なわれた3勝クラスの西宮S(10月16日/阪神・芝1800m)では古馬牡馬を一蹴。さすが、という完勝劇を披露しました。

 およそ5カ月の休み明けでありながら、メンバー最速の33秒0という上がりタイムをマークした末脚は見事のひと言。馬体重は414kgと春先から大きな変動はなかったものの、レースぶりからはパワーアップしたことが感じられました」

 父ミッキーアイル産駒は、メイケイエールやナムラクレアに代表されるように活躍馬には短距離指向の馬のほうが多い。

実際、芝2000m以上の距離での勝ち馬はここまで出ていないが、その点で不安はないのだろうか。

 それについて、三嶋記者は「オークスで2400mをこなしているように、距離延長はどんと来いというタイプ」と言って、距離不安を一掃。そして、こう続ける。

「ひと叩きして、上積みが見込める点もプラス。後方から猛然と追い込んで、上位に食い込んでも不思議ではありません」

 はたして、今年も波乱が起こるのか。夢の高配当ゲットへ、ここに挙げた2頭の激走に期待したい。