12月28日、中山競馬場で2歳馬によるGⅠホープフルS(芝2000m)が行なわれる。

ホープフルSの本命は「血統的に文句なし」のジャスタウェイ産駒...の画像はこちら >>

前走の黄菊賞を制したセブンマジシャン

 このレースは2017年にGⅠに昇格して以降5回開催されているが、2018年の勝ち馬サートゥルナーリアは翌年のGⅠ皐月賞を制し、2019年の勝ち馬コントレイルはクラシック三冠を制覇。
その他、2017年の勝ち馬タイムフライヤーはダートのGⅢエルムSを勝利し、2020年の勝ち馬ダノンザキッドは今年のGⅠマイルチャンピオンシップとGⅠ香港Cで2着、2021年の勝ち馬キラーアビリティは12月10日のGⅢ中日新聞杯で勝利するなど、勝ち馬はその後も軒並み活躍している。

 出走馬の将来性も考慮に入れつつ、血統的視点からレースを分析していきたい。

 このレースに強いのはディープインパクトとハーツクライの血。ディープインパクトは先ほども挙げた2021年キラーアビリティ、2019年コントレイルで2勝をはじめ、2着1回、3着1回。一方のハーツクライ産駒は2017年の勝ち馬タイムフライヤー、2019年の3着馬ワーケアのほか、後継種牡馬ジャスタウェイを通じて2020年の勝ち馬ダノンザキッド、2018年の2着馬アドマイヤジャスタが馬券に絡んでいる。

 今回、ディープインパクト産駒の登録はないが、ジャスタウェイ産駒が何頭か出走を予定している。
中でも筆者が注目するのはセブンマジシャン(牡2歳、栗東・高野友和厩舎)だ。

 同馬は10月2日の新馬戦(中山・芝1800m)で勝ち上がり。1分50秒0とタイムは平凡だったが、2番手から抜け出してゴール前では他馬を突き離す強い内容で、2馬身半差をつけて完勝した。

 続く前走の黄菊賞(阪神・芝2000m)は重馬場で出遅れる厳しいレースになったが、直線では反応よく伸び、1馬身1/4差で鮮やかに差し切った。良馬場でも重馬場でも、先行でも追い込みでも結果を残しているのが大きな強みで、どんなレース展開になっても結果を残せる安定感がある。

 母系の血統も魅力的だ。

母の父メイショウサムソンは、この舞台で行なわれたGⅠ皐月賞や、GⅠ日本ダービーを勝った名馬。母ハピネスダンサーも3歳時にこの中山・芝2000mでミモザ賞を勝っている。

 さらに、叔母に有馬記念などGⅠ4勝のクロノジェネシス、香港CなどGⅠ2勝のノームコアがいる良血。ノームコアもこの中山・芝2000mではGⅢ紫苑Sを3馬身差で圧勝している。自身の競走実績に加え、父系の血、母の父、近親すべてがこのコースと縁のある馬であり、血統的には文句なしの本命だ。

 もう1頭はキングズレイン(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)を推す。
同馬は父ルーラーシップ、母の父ディープインパクトという配合だが、これは先日のGⅠ朝日杯フューチュリティSを勝ったドルチェモアと同じ組み合わせ。この配合は他にも菊花賞のキセキ、GⅢ七夕賞のエヒト、GⅢ青葉賞のワンダフルタウンと、実に4頭の重賞勝ち馬がいる「ニックス配合」でもある。現2歳世代では、この組み合わせはちょっとしたトレンドになっており、GⅡデイリー杯2歳Sを勝ったオールパルフェも父の父がディープインパクト、母の父がルーラーシップという配合でこの組み合わせを持っている。

 キングズレインは牝系も優秀で、母タッチングスピーチはGⅡローズS、祖母リッスンは英GⅠフィリーズマイルの勝ち馬。将来性も十分で、2歳のみならず3歳、4歳以降も活躍できそうな血統構成だ。

 同馬は実力も一級品。
前走の百日草特別(東京・芝2000m)は上がり3F33秒7という鋭い脚を見せ、1馬身半差で快勝。ただ、未勝利勝ちは時計のかかる札幌・芝1800mで挙げるなど異なる条件で結果を残しており、心強いポイントだ。

 以上、今年のホープフルSはジャスタウェイ産駒セブンマジシャン、ルーラーシップ産駒キングズレインに期待する。