11月26日(日)、東京競馬場で3歳以上馬によるGⅠジャパンC(芝2400m)が行なわれる。

 今年はイクイノックス、ヴェラアズール、スターズオンアース、タイトルホルダー、ドウデュース、パンサラッサ、リバティアイランド、そしてフランスのイレジンと、実に8頭のGⅠ馬が出走。

特に、天皇賞・秋をJRAレコードで圧勝したイクイノックスと、「三冠牝馬」リバティアイランドの対決は大きな注目を集めているが、このレースを血統的視点から占っていこう。

ジャパンCはドゥラメンテ産駒に注目 エルコンドルパサーが勝っ...の画像はこちら >>
 近年のジャパンCで目立った成績を収めているのはキングマンボ系だ。1998年のエルコンドルパサー(父キングマンボ)に始まり、2005年のアルカセット(父キングマンボ)、2010年のローズキングダム(父キングカメハメハ)、2018、20年のアーモンドアイ(父ロードカナロア)、2022年のヴェラアズール(父エイシンフラッシュ)と過去25年で6勝、その半数となる3勝を直近5年で挙げている。

 アルカセットは2005年に2分22秒1、アーモンドアイは2018年に2分20秒6を記録し、コースレコードとJRAレコードを更新している。ちなみに、JRAの芝GⅠレースの中で、キングマンボ系の勝利数が最も多いのはこのジャパンCだ。

 今年はキングマンボ系から、昨年の勝ち馬ヴェラアズール、ルーラーシップ産駒のエヒト、ロードカナロア産駒のパンサラッサ、ローズキングダム産駒のフォワードアゲン、そしてドゥラメンテ産駒のスターズオンアース、タイトルホルダー、リバティアイランドが出走予定だ。

なかでも注目すべき種牡馬は、3頭出しのドゥラメンテだろう。

 ドゥラメンテ産駒はジャパンC初出走となるが、自身もその父キングカメハメハも同コースで行なわれた日本ダービーを制しており、スターズオンアース、リバティアイランドは同コースのオークスを勝利している。

 出走予定のドゥラメンテ産駒3頭の中では、タイトルホルダー(牡5歳、美浦・栗田徹厩舎)を上に見たい。

 今回のレースには逃げ脚鋭いパンサラッサが出走を予定しており、2020年のキセキが記録した1000m通過57秒9を上回るハイペースが予想される。そうなった場合は、かなりスタミナが要求されるため、3000mのGⅠ菊花賞、3200mのGⅠ天皇賞・春を勝ったタイトルホルダーが浮上すると考える。

 タイトルホルダーは血統的にもスタミナの裏付けが十分。

母の父モティヴェイターは英ダービー馬で、凱旋門賞馬トレヴなどの父。その父モンジューも凱旋門賞のほか、英GⅠキングジョージ六世&クイーンエリザベスS、GⅠ愛ダービー、GⅠ仏ダービーなど2400mのGⅠを5勝している。

 さらにその父のサドラーズウェルズは、ガリレオなど欧州で大父系を形成した大種牡馬で、エルコンドルパサーの母の父でもある。タイトルホルダーの父系曽祖父がキングマンボなので、キングマンボ系×サドラーズウェルズ系というアウトラインは、25年前の勝ち馬エルコンドルパサーと同じなのだ。

 思えば、エルコンドルパサーが勝ったジャパンCの2着馬は、ドゥラメンテの祖母エアグルーヴだった。タイトルホルダーは、エルコンドルパサー+エアグルーヴとも言うべき血統構成の持ち主でもある。

エルコンドルパサーは4角2番手から押し切る競馬で勝利したが、タイトルホルダーも同じような展開になりそうで、25年前の"再現"に期待する。

 当然、三冠牝馬リバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)も有力だ。過去の三冠牝馬は2012年のジェンティルドンナ、2018年のアーモンドアイが3歳時に勝利し、いずれも後に2勝目を飾っている。ジャパンCの42回の歴史でも、2勝以上しているのはこの2頭だけであり、三冠牝馬のジャパンC適性は非常に高いものがある。

 リバティアイランドは、母ヤンキーローズが豪州の2歳牝馬&3歳牝馬チャンピオン。1400mと2000mのGⅠの勝ち馬で、2400mには実績がないが、曽祖母の父エルグランセニョールは、昨年の勝ち馬ヴェラアズールも曽祖母の父に持っていた。

 また、エルグランセニョールはアーモンドアイの祖母ロッタレースの半兄でもある。前述のように、父ドゥラメンテはアーモンドアイの父ロードカナロアと同じくキングカメハメハ産駒。血統的共通点が多く、アーモンドアイ級の馬になっても不思議ではない存在だ。

 以上、今年のジャパンCは、ドゥラメンテ産駒の2頭、タイトルホルダーとリバティアイランドに注目する。