前回大会、チーム結成以来ワーストタイの成績となる4位に終わったロコ・ソラーレ。
それでも、スキップの藤澤五月が「内容的には悪くなかった」と言えば、サードの吉田知那美も「初戦は勝っても負けても、情報を取ることが重要」とコメント。いきなり1戦たりとも落とせない状況に追い込まれながらも、チームに悲壮感や迷いはなかった。
以降、アイスの変化や石のクセについて、チーム内でしっかりと情報を共有。札幌国際大学、チーム大阪、中部電力相手に3連勝を飾って1次予選リーグを突破した。
中部電力との試合では、何度も大量失点のピンチを迎えながら、藤澤のショットでしのぎきり、外せば負けという最終エンドのラストロックも藤澤がきっちり決めきった。
「今日のさっちゃん(藤澤)だったら、何でも大丈夫」とは、リードの吉田夕梨花の談話だが、試合を重ねるごとに藤澤のショットが仕上がっていった。
2次予選リーグの第2戦では、そこまで全勝のフォルティウスと対戦し、序盤から劣勢を強いられた。しかし、フォルティウスの猛攻を藤澤がラストロックを決める形で耐え続け、最終エンドに3点を奪って逆転勝ち。3チームで行なわれる決勝トーナメント進出を決めた。
同時に、2026年ミラノ・コルティナ五輪国内選考の条件である「世界ランキング国内最上位かつ2024年か2025年の日本選手権3位以内」を満たし、9月に行なわれる予定の日本代表決定戦進出を確定させた。
それでも、チームに安心も慢心もない。
最終的にロコ・ソラーレは、2次予選リーグを3位で決勝トーナメント進出を決めた。1位通過のフォルティウスが待つ決勝へ進むためには、準決勝において初戦で黒星を喫した北海道銀行に勝たなくてはならない。
吉田夕はここまでの戦いを「ロコ・ソラーレらしい、ゾンビみたいに這いつくばって(の戦い)」と苦笑いで振り返る。小野寺亮二コーチは「ゾンビーゾンビー」と独特の節をつけた謎の歌を口ずさみながら、取材エリアを通り抜けていった。
藤澤五月の声は枯れはじめた。しかし、背水の陣。満身創痍になってからのこのチームは強い。2年ぶりの優勝と世界選手権出場へ、残り2勝だ。
