甲子園名門校の歴代ベストナイン~仙台育英編
ついに開幕した第107回全国高等学校野球選手権大会。これまで高校野球の歴史に名を刻んできた伝統校から甲子園初出場を果たした新鋭校まで、49の代表校が揃った。
大会2日目の第1試合に登場する仙台育英(宮城)は、2022年夏に東北勢として初の全国制覇を成し遂げた。その翌年も決勝進出という輝かしい実績を誇り、平成・令和の時代を通じて数多くの逸材を輩出。そんな名門が歩んできた歴史のなかから、甲子園で爪痕を残した選手、プロで活躍するスターたちを中心にチームを編成した。
仙台育英 歴代ベストナイン
1 (中)橋本到
2 (二)熊谷敬宥
3 (右)上林誠知
4 (捕)郡司裕也
5 (左)大越基
6 (一)平沢大河
7 (三)菊池俊夫
8 (遊)山田脩也
9 (投)佐藤由規
【エースは甲子園歴代最速右腕】
2022年夏に東北勢悲願の全国制覇を成し遂げ、翌年夏も2連覇の快挙まであと一歩に迫る準優勝を飾った仙台育英。昭和の時代から県内ではライバル・東北としのぎを削ってきたが、全国屈指の強豪としてその地位を固めたのは平成以降のことで、令和の今にかけて数々のスタープレーヤーを生み出している。
その逸材揃いのなかから、2007年夏に甲子園最速記録の155キロをマークした佐藤由規をマウンドに送り出したい。2年夏から3季連続出場もチームは上位進出を果たせず、その意味では物足りないが、残したインパクトの大きさでエースに指名する。
実績を買えば、1989年夏の大越基(のちダイエー)、2001年春の芳賀崇、2015年夏の佐藤世那(のちオリックス)といった準優勝投手たちや、1994年夏8強の金村秀雄(=暁/のち日本ハムほか)らは捨てがたく、現早大エースで今秋ドラフト候補の伊藤樹あたりとともに盤石のブルペン待機をしてもらいたい。
キャッチャーは2015年夏準優勝の郡司裕也。慶大を経て中日に入り、日本ハムに移籍した現在は打撃面の進境著しく、内外野どこでも守れるユーティリティーぶりを発揮しながら4番を務めることも多い。この郡司をほかのポジションに回す手もありだが、やはり捕手に置くことでほかのメンバーも固まりそうだ。
ファーストは、郡司の同期で準優勝チームではショートを守った現西武の平沢大河。
セカンドには阪神のユーティリティーで貴重な働きを見せている熊谷敬宥を置き、ショートには2022年夏優勝、23年夏準優勝の中軸として実績を残し、ドラフト2位で阪神入りした山田脩也を今後の成長の期待も込めて配置。
内野で残るサードには、2001年春準優勝時に2年生で4番を務め、3回戦・藤代戦と決勝の常総学院戦で本塁打を打った右の大砲・菊池俊夫(のちオリックス)を入れる。ほかにも高松広晴、志田宗大(のちヤクルト)、西巻賢二(現DeNA)、入江大樹(現楽天)ら内野の人材は豊富で、バックアップの布陣は強力だ。

【89年夏の準V右腕はレフトで起用】
外野の3人を選ぶにあたっては、まずあえて投手から外した大越基の外野手起用をぜひ実現したい。気迫満点の投球は本来、仙台育英歴代ナンバーワン投手と言ってもよいが、じつは1989年準優勝に大越がバットで果たした貢献度は計り知れない。大苦戦した3回戦・弘前工戦で8回裏に自ら決勝本塁打、大敵・上宮を倒した準々決勝で2安打2打点、準決勝・尽誠学園戦では延長10回表に決勝タイムリーと3番・大越の打棒なくして仙台育英の躍進はなかった。のちダイエーで外野手のスーパーサブで活躍する片鱗は高校時代に十分示していた。
残る外野の2枠は、現中日の上林誠知と元巨人の橋本到を選出。上林は3年時に主将を務め、甲子園では振るわなかったものの2012年秋の明治神宮大会で優勝に導いた。
橋本は2年春夏、3年夏の3度甲子園出場、主将を務めた2008年夏は6打数連続安打を記録した。ドラフト4位で巨人入りし、持ち前のスピードを生かして一軍に定着。地元・楽天に移籍した2019年限りで現役引退した。現西武の松原聖弥が外野の控え一番手か。
一例として示したオーダーは上林、郡司の現役NPBプレーヤーが中軸を務め、活発な打線が期待できそうだ。最後に、昭和時代に甲子園やNPBで名を残した面々で、1978年夏の延長17回の力投が忘れがたい大久保美智雄(のち広島)、大洋、日本ハムで活躍した捕手・加藤俊夫、中日のいぶし銀・関東孝雄らが惜しくも選外になったことを付け加えておく。