伝統のGI、天皇賞・秋(東京・芝2000m)が11月2日に行なわれる。

 今年は「牡馬三冠」の最終戦となるGI菊花賞(10月26日/京都・芝3000m)ではなく、ここを選択した3歳馬2頭に人気が集まっている。

GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)の勝ち馬で、前走のGⅡセントライト記念(9月15日/中山・芝2200m)を快勝したミュージアムマイル(牡3歳)と、皐月賞で3着、GI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)で2着という結果を残してきたマスカレードボール(牡3歳)だ。

 これら3歳馬の「2強」と歴戦の古馬との対決が今年の見どころとなるが、過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は7勝、2着1回とかなり信頼度が高い。ただし、「1番人気、2番人気によるワンツー決着は一度だけ。実はヒモ荒れ傾向が強いレースなんです」と、研究ニュースの藤田浩貴記者は言う。

 実際、「2強」による決着はキタサンブラック(1番人気)が勝利し、サトノクラウン(2番人気)が2着となった2017年のみ。リバティアイランドとドウデュースの「2強」とされた昨年は、2番人気の後者が勝利する一方で、1番人気の前者は13着と大敗を喫した。

 その他、スワーヴリチャードレイデオロの「2強」だった2018年も、2番人気の後者が勝って、1番人気の前者が10着と惨敗。ラブリーデイとエイシンヒカリが「2強」の支持を得た2015年は、1番人気の前者が快勝し、2番人気の後者は9着と馬群に沈んでいる。

 つまり、「2強」が並び立たない可能性は相当高い。となれば、ヒモ穴を見つけ出すことができれば、好配当を得るチャンスが大いにある、ということだ。

 では、そのポイントはどこにあるのか。藤田記者はこんな見解を示す。

「このレースの勝ち時計は流れが遅くとも、良馬場なら1分57秒台が必然。まずは、速い時計への対応がカギとなります。

 加えて、舞台となる東京競馬場では特有の決め手が求められます。これまでの実績や走りから、その"決め手"がある馬が狙い目になるのではないでしょうか」

 そうして藤田記者が注目したのは、3歳時にGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制しているブレイディヴェーグ(牝5歳)だ。

【競馬予想】3歳馬が「2強」を形成する天皇賞・秋 穴党記者の...の画像はこちら >>
「体質面の弱さや、馬主・牧場サイドの使い分けの影響もあって、古馬になってからは思うような結果を得られていませんが、ポテンシャルの高さは現役でも随一の存在。長く主戦を務めていたクリストフ・ルメール騎手も、3歳時の同馬については、昨年の牝馬二冠馬(オークス、秋華賞)チェルヴィニア以上の評価を与えていたほどです。

 近走で振るわないのは、適距離とは思えないマイル戦を中心に使ってきたこともありますが、春のGIII東京新聞杯(4着。2月9日/東京・芝1600m)は太め残り。海外GIのドバイターフ(7着。4月5日/メイダン・芝1800m)の際は熱中症の気があったようですし、GI安田記念(4着。6月8日/東京・芝1600m)の時は1週前の追い切りが想定外の調教なるなど、それぞれ敗因は明白です。

 そうしたなか、この秋は早い段階から天皇賞・秋を視野に入れて、GⅢ新潟記念(8月31日/新潟・芝2000m)から始動。

結果は3番人気に推されながら6着。圧倒的に外有利の馬場コンディションのなか、最内枠発走で厳しい競馬を強いられたことが響きました。

 ですが、今回の馬券的な妙味を考えれば、いい負け方でした。

 というのも、もともと暑さに弱い馬で、涼しくなるにつれてグングン気配が上向いているからです。この中間はしっかりと併せ馬を行なって、前走よりも中身の濃い調教を消化。馬体の張りや毛ヅヤも非常によく、いい頃の躍動感のある動きが戻ってきています。

 久々に状態面が整って、条件もこの馬に合った舞台で迎える大一番。一発の可能性は十分にあると見ています」

 藤田記者はもう1頭、気になる馬がいるという。

エコロヴァルツ(牡4歳)です。中距離路線へとシフトした昨冬からの充実ぶりが著しく、GI大阪杯(4月6日/阪神・芝2000m)では不利な外枠発走ながら4着と見せ場を作りました。

 その後の安田記念やGⅢ中京記念(8月17日/中京・芝1600m)は、7着、4着という結果に終わりましたが、折り合いを意識するあまりにポジション取りで後塵を拝しただけ。力負けではないと見ます。

 連戦の疲れも抜けきれていなかった前走の中京記念から、具合は右肩上がり。以前よりも操縦性が高まった今なら、東京の2000mぐらいの距離のほうが競馬も組み立てやすそうです。

 逃げが予想されるメイショウタバル(牡4歳)の出方は読みづらいですが、先行馬が少ない点も魅力。好位でスムーズな立ち回りができれば、大駆けがあってもおかしくありません」

 古馬との対戦がない3歳馬2頭に人気が集中しそうな今年の天皇賞・秋。おかげで、実績豊富な古馬が人気薄となり、大荒れムードも漂っている。そうなると、ここに挙げた2頭が高配当を演出しても不思議ではない。

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