ウルフドッグス名古屋の水町泰杜(24歳)は人柄がよく、朗らかで、その声はハキハキと大きく、親しみやすい選手と言える。バレーボール界に彼のことを悪く言う人はいない。

そして前向きな性格だけに、いい運気を持っている。ひとつプレーがうまくいくたびに、満面の笑みがチームそのものを勢いづける。ひとりでエネルギーを生み出せる〝お日さま〟のような選手だ。

 インタビューで水町にそれを伝えたとき、彼はこう答えていた。

「めっちゃポジティブな性格ではあると思います。ネガティブになることはあまりないですね。バレーだけでなく、何ごとにおいても。笑顔が取り柄? 自分で言っているだけです!」

 その天真爛漫さは、決戦でどう働いたのか。

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 5月9日、SVリーグチャンピオンシップ準決勝第1戦でウルフドッグス名古屋は王者サントリーサンバーズ大阪と対戦し、3-0とストレートで敗れていた。2戦先取方式で、早くも追い込まれることになった。

 しかし、取材エリアにやって来た水町は下を向いていない。

「1セット目、あれだけ行かれると(25-12)、吹っ切れました。

2セット目みたいに(25-22で取られはしたが)追いつける力はあるので。1、2点差で勝つ、という"もぎ取る展開"で勝つしかないですね」

 彼は明るい口調で言い、こう説明を加えた。

「今日は点差を離される展開になってしまって、無理にでも取りにいかないといけない状況になってしまいました。アグレッシブにサーブを打ちにいく展開になって、そこでのミスが多く出ましたね。たとえばショートサーブを打って、ブロックディフェンスでハメてからもう一度、というバレーを見せられませんでした」

 水町は1日目が終わった時点で、切り替えることにフォーカスしていた。実に前向きだった。敗れたあと、"たら・れば"のスパイラルから抜け出せない選手は決して少なくないだけに、ポジティブな姿勢はプロアスリートとしての才能だ。

――1日目は、サンバーズの多彩なサーブに後手に回ったところがありました。それだけに、2日目の試合は水町選手のサーブがターニングポイントになるんじゃないですか?

 水町はこの質問に対し、真っ直ぐな視線で答えている。

【そのサーブが勝負のバロメーターに】

「大事なところで点数が取れるか、ですね。僕の役割は、サーブ一本で流れを掴むことだと思っています。100%を超えた、120%で打っていく感じになるかなって。

それによって、チームに活気を与えられたらいいですね」

 レギュラーシーズン、水町はサーブ効果率15.0を記録した。この数字は並み居る外国人選手をも上回り、第1位の記録を叩き出している。彼のサーブによって、チームの攻守を回してきた。

 2日目は水町のサーブが勝負のバロメーターだった。 

 1セット目、水町がサーブで眩い光を放つ。拮抗した展開のなか、彼のサービスエースで9-9と同点に追いついた。その後も彼のサーブで崩すと、宮浦健人のブロックが決まり、さらにレシーブ失敗を誘発し、宮浦がダイレクトで叩き込んで9-11とリードした。その後も引き離すことはできなかったが、23-23からの24点目を奪ったのが水町で、前日の借りを返すように先手を取った。

「前日の(ストレートでの)敗戦のあと、監督から『プライドを持って試合をしよう。各々、誇りについて考えながら眠りにつくように』と言われました。それで"自分にとっての誇りってなんだろう"って考えて......。退団する選手も決まっていたり、アウェーにもかかわらずたくさんのウルドファミリー(ウルフドッグスファン)が駆けつけてくれたり......やっぱり、自分はすべてを出しきるべきなんだと思いました」

 水町はそう振り返ったが、奪い取った1セット目は彼の渾身が流れを生んでいた。

アタッカーとしては小柄な部類に入るが、信じ難い跳躍力とセンスのよさで、レシーブできないコースに飛ばすことができる。

「昨シーズンまでは(高いブロックに対しては)リバウンドのところを要求されていたんです。高いブロッカーとのマッチアップで、どううまくかわしていくか。でも、今シーズンは監督からも『アグレッシブに点を取ってほしい』と求められ、かなり打ちにいく展開が多かったと思います。やはり、1点ほしい時に取ったら盛り上がるので」

 水町は今シーズンの戦いをそう総括した。その点、サンバーズ戦の2日目は、まさに力を出しきったと言えるかもしれない。

 結局、ウルフドッグスは2セット目以降を失って敗れることになった。だが......。

「120%を出せたと思います。今日はシーズンを通じて、一番いい試合ができました。それでも自分たちは負けました。だから来シーズンはもっと出しきれるように」

 水町は清々しいほどの声で言った。

目指してきた優勝は逃したが、少しも曇りはない。日はまた上る。

「これからビーチバレーも始まるので、ぜひ、それも伝えてもらえれば!」

 会見の最後、ビーチバレーとの二刀流を続ける水町は、ちゃっかりとアピールしていた。

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