【ボクシング】在米記者が占う「PFP1位」井上尚弥の対"バム...の画像はこちら >>

後編:PFP投票者が語る井上尚弥の現在と未来

PFP(パウンド・フォー・パウンド)の1位に返り咲いた世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)。来年に予定されている次戦の展望は? 35歳で本当に引退した場合、PFPの主役は誰になるのか? 前編に続き、PFPの投票権を持つ4人の記者に意見を聞いた。

前編〉〉〉PFP投票者が示す井上尚弥「PFP1位」の長期政権の可能性

【パネリスト】
◆ダグラス・フィッシャー(ロサンゼルス在住。『リングマガジン』編集長 Xアカウント : @dougiefischer)

◆エイブラハム・ゴンサレス(ロサンゼルス在住。『FightsATW.com』の創始者であり、ライター Xアカウント : @abeG718)

◆アダム・アブラモビッツ(フィラデルフィア在住。『Saturday Night Boxing』, 『リングマガジン』で執筆 Xアカウント : @snboxing)

◆杉浦大介(ニューヨーク在住。日本人唯一の全米ボクシング記者協会会員 Xアカウント : @daisukesugiura)

2.来春、井上対ジェシー・"バム"・ロドリゲス(PFP4位/アメリカ)が実現した場合について思うことは?

フィッシャー : 私はこの対戦を是が非でも見たいし、間違いなくPFP最強決定戦になると思う。ただし、個人的にはかなり強く井上有利と見ている。私は"バム"・ロドリゲスを非常に高く評価しているし、彼がトレーナーのロバート・ガルシアのもとで成長していく姿をずっと見てきた。ロバートに対しても大きな敬意を抱いている。しかし、もしロドリゲスがバンタム級デビュー(6月13日のアントニオ・バルガス戦)の直後に井上と戦うのであれば、井上は彼にとって一段階上すぎる存在だと思う。時期が早すぎる。

"バム"にはスーパーバンタム級に身体を慣らす時間が必要だ。その前に、4団体統一王者であり世代を代表する才能である井上と戦うのは厳しすぎる。

正直に言えば、好勝負にはなるものの、最終的には井上が終盤ストップ勝ちする姿を想像している。そして、これはおそらく少数派の意見だろうが、もし"バム"がバンタム級で井上拓真と戦ったとしても、かなり接戦になると思っている。判定で"バム"を支持するが、拓真も最後まで十分に競り合うだろう。決して簡単な試合にはならないはずだ。

ゴンサレス : 井上が2027年にリングへ戻ってくる時、実現すべき試合は"バム"・ロドリゲス戦だろう。特に、バムがバンタム級でひとつかふたつ世界タイトルを獲得できればなおさらだ。ただ、机上ではすばらしいカードだが、一方で私は、「"バム"は井上に対して少し身体が小さすぎるのではないか」とも感じている。井上にはスーパーバンタム級で残された試合があと1試合程度しかないかもしれない。

 私はこの対戦を見てみたいが、その前にバムが少なくとも一度スーパーバンタム級で戦う姿を見てみたい。もしその階級で試合を挟めるなら、ラモン・カルデナスとの対戦を見てみたい。それは非常に良い物差しになるだろう。現時点で井上対"バム"を予想するなら、私は僅差で井上を支持する。

ただしその評価は、"バム"の6月のバンタム級での試合内容や、年内にスーパーバンタム級で試合をするかどうかによって変わる可能性がある。

アブラモビッツ : 私はかなり明確に井上有利と見る。

杉浦 : 最近の"バム"のアメリカでの評価はかなり高い。"モンスター"のキャリアにほぼ欠けている"アメリカでのビッグファイト"を実現させられる周辺階級で唯一の相手でもある。そういった観点から個人的には米国内開催を望んでいるが、興行的な理由で日本開催になるとしてももちろん理解はできる。

 試合内容的にも序盤は両者慎重に戦うとしても、中盤以降は芸術的なコンビネーションが飛び交う超ハイレベルの空中戦になるのだろう。とはいえ、"バム"はスーパーフライ級でも小柄な印象がある。ほかの選定委員たちも述べているとおりに私も井上がかなり優位だとは思う。

3. 井上は35歳までに引退する可能性を話しているが、今から約2年後に誰がPFP1位に立っていると思うか?

フィッシャー : おそらくシャクール・スティーブンソン(PFP3位/WBOスーパーライト級王者/アメリカ)だろう。ただし、そのためには年に1~2試合しか戦わない現状をあらため、もっと頻繁にリングに上がる必要がある。

"メキシカンモンスター"ことデビッド・ベナビデス(PFP5位/世界2団体ライトヘビー級・世界2団体クルーザー級王者/アメリカ)にも可能性はある。もしドミトリー・ビボル(PFP6位/世界3団体ライトヘビー級王者/ロシア)に勝ち、さらに元世界クルーザー級王者ジャイ・オペタイア(オーストラリア)にも勝つことができれば、PFP1位争いに加わるだろう。

 ただ、現状ではベナビデスがオペタイア戦に興味を示しているようには見えない。もっとも、もしベナビデスが何らかの形でオレクサンドル・ウシク(PFP2位/ウクライナ)への挑戦機会を得て、ヘビー級を制するようなことがあれば、多くのボクシング関係者は彼がPFP1位だと評価するようになると思う。

ゴンサレス : 井上は今後2年以内に引退する意向を示している。その前にフェザー級へ上げて、より大柄な王者を相手に世界タイトルを獲得する可能性はあるだろう。しかし、その頃になるとPFP1位の座を維持するのは難しくなっているかもしれない。2028年頃には、ベナビデス、あるいは井上を破った場合の"バム"、もしくはスティーブンソンがPFP1位になっている姿は十分想像できる。

アブラモビッツ : 2年後の1位を考えた時、最も可能性が高いのは結局のところ井上だ。

杉浦 : アメリカ中量級の王者たちは直接対決に熱心ではない印象だが、スティーブンソンは別だ。とにかくやりにくい選手だけにダンスパートナー(対戦に値するライバル)を見つけるのは容易ではないが、それでも向こう2年の間にヘイニー、ライアン・ガルシア、オシャキ・フォスター、復帰すればワシル・ロマチェンコ、ジャーボンテ・デービスといったビッグネームと何戦かこなすことは可能ではないか。それらの試合が決まりさえすれば、井上、ウシクらが舞台を退くとともにスティーブンソンの1位浮上は見えてくる。そして、スティーブンソンは一度1位に立てばそう簡単には転落しない難解なスタイルを持っている。

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