高木豊が語る後半戦のキーマン パ・リーグ

セ・リーグ編:「三つ巴」セ・リーグのキーマン 髙橋遥人の異次元な投球と "復活のエース"について語った>>)

 交流戦でセ・リーグを圧倒したパ・リーグの各チームは投打で多くの選手が活躍したが、最もインパクトの強かった選手は誰だったのか。そして、激しい上位争いが予想される後半戦でチームをけん引しそうなキーマンは誰か。

かつて大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊氏に聞いた。

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【長距離バッターや、若手のリーダー候補も】

――交流戦で印象に残ったパ・リーグの選手について、まずバッターからお聞きします。

高木豊(以下:高木) レギュラーシーズンから引き続き好調を維持した、ソフトバンクの栗原陵矢です。打率もいいほうですが(交流戦の打率.282)、ホームラン(7本)と打点(19)で交流戦トップ。セ・リーグのピッチャー相手に破壊力を存分に見せつけました。パワーで押してくるパ・リーグのピッチャーを打ち、かわしてくるセ・リーグのピッチャーも打った。今年の覚醒は本物だとあらためて証明しました。

 長打の面では、日本ハムのフランミル・レイエス(5本塁打、長打率.700は交流戦全体で1位)もよかったですが、インパクトが大きかったのは栗原です。もちろん、交流戦首位打者になった西武の長谷川信哉(打率.367、2本塁打、9打点)の活躍も目につきました。彼の場合は、シーズンを通して数字を残せるかどうかが課題ですね。

――いずれも交流戦で上位となった3チームの選手ですが、それ以外のチームで目にとまった選手はいましたか?

高木 これからのチームを支えていく若手のリーダーという意味では、ロッテの西川史礁がいいですね。交流戦の成績がよかったのもそうですが(打率.329、2本塁打、10打点)、どんどん成長しているのが見ていてわかるんです。

 追い込まれてからのバッティングが課題、と言われていましたが、だいぶ克服してきましたし思いきりもいい。

タイミングを取るのがうまいですよね。タイミングが取れていないと、初見のピッチャーの初球をあれだけ強く振るのは難しいですから。

――今シーズンはほとんどの試合で3番を任されています。2年目にして、打線の軸になっていますね。

高木 サブロー監督が期待を込めて3番を打たせているというよりも、実力でつかみ取った印象ですね。彼が若手のリーダーになってチームを引っ張り出すと、チームが強くなっていく予感がします。交流戦では首位打者だった期間もありますし、今後も引き続き期待できます。

 ロッテはネフタリ・ソトが試合に出ていますが、状態次第ではファーストを日本人選手に切り替えてもいいと思いますけどね。交流戦の多くの試合で4番を打ち、一定の活躍を見せた山口航輝や、当たりが出始めた安田尚憲や上田希由翔、池田来翔らもファーストを守れる。そこでどんな選手を選択するかによってチームが変わっていくと思うんです。西川を中心に若手が勢いづいていけば、面白くなりますよ。

【交流戦の防御率ワンツー。
平良と大津のすごさ】

――ピッチャーはいかがですか? 交流戦の防御率1位(0.44)だった日本ハムの北山亘基投手や、同2位(0.86)の西武の平良海馬投手をはじめ、パ・リーグは防御率0点台の先発ピッチャーが6人いました。

高木 打つだけでなく、投げるほうでもセ・リーグを圧倒しましたね。なかでもセ・リーグのバッターを圧倒していたと思うのが、平良と大津亮介(ソフトバンク)です。

――ふたりのピッチングの特徴から伺えますか?

高木 平良は投球テンポもいいですが、特筆すべきはパワーです。彼のピッチングを見ていると、「負けるわけがない」と思わされます。レギュラーシーズンの防御率が10試合に先発して0点台(0.82)。5勝にとどまっていますが、打線との巡り合わせがよくなればもっと勝てると思います。

 一方、大津の優れている部分はテクニック。あそこまで抜けるチェンジアップはなかなかないですよ。バッターがチェンジアップを待っていたとしても"ボールが来ない"でしょうし、「まだ待たないといけないのか」という感覚に陥るはずです。投球割合も多いので(約24%)、かなり自信を持っているんでしょう。奪空振り率(約22%)も高くて非常にやっかいなボールだと思いますし、強いパ・リーグで(7勝)2敗しかしていないのも納得です。

――大津投手は球種が7、8つあるため、狙い球を絞りにくいでしょうね。

高木 真っすぐは150キロ台前半が出ますし、スライダーやフォークもいい。シュート気味に、バッターの手元に食い込んでくるワンシームも投げる。どれかの球種に偏る傾向があればある程度絞れますが、どのボールもそこそこの比率で投げています。間違いなくセ・リーグにはいないタイプのピッチャーです。

 繰り返しになりますが、何よりもすごいのはチェンジアップですよ。その残像が残ると、真っすぐに振り遅れてしまうと思います。ソフトバンクの先発ピッチャー陣は、開幕投手を務めた上沢直之が故障で離脱するなど、相次ぐアクシデントや不調で何人も離脱しました。そんななかで、大津はローテーションの柱としてチームを支え続けていますし、今後もキーマンであることに間違いありません。

【プロフィール】

高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。

ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

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