バレーボールネーションズリーグ(VNL)2026男子、日本は予選ラウンドの第1週と第2週を終えた時点で、アメリカ、ポーランド、イタリアなど強豪国を抑えて首位に立っている(第1週から第3週まで予選ラウンドを行ない、8チームで決勝ラウンドを戦う)。日本の過去最高成績は銀メダル(2021年までは長らくほとんど二桁順位だったが、2022年に5位、2023年に初のメダルとなる銅メダル、2024年に銀メダルを獲得した)。

第3週の日本ラウンドは7月15日に開幕するが、今回は初めての優勝も夢ではない状況だ。

 VNLでの躍進は、昨今のバレーボール代表の人気沸騰と同じカーブを描いているだけに、日本ラウンドの戦いぶりが注目される。

 今回のVNLで、日本代表を牽引しているのはオールラウンドのアウトサイドヒッター、髙橋藍(24歳)だ。

【男子バレー】髙橋藍が叩き出している驚異のスコア ネーション...の画像はこちら >>
 第1週の中国ラウンドのポーランド戦から、髙橋は攻守に八面六臂の活躍だった。世界ランキング1位の相手にもまったく怯まず、1セット目から得意のバックアタックを決めると、クロスへの際どい一撃でリベロに拾わせなかった。その後、試合がファイナルセットにもつれると、見事なサービスエースを記録。また、フェイクセットで西田有志のスパイクをお膳立てし、最後は小川智大のハイセットをブロックアウトで決めた。

 その勝負強さが「公式戦では17年ぶりの勝利」という金星につながった。

「去年の日本代表戦で"キレがないな、もう少しコンディションを上げたい"と思ったんです」

 髙橋はインタビューでそう言っていたが、肉体改造を行ない、スピードとパワーを同時に上げてきた。それによって余裕が生まれ、自慢のインスピレーションのある攻撃と守備が両方ともレベルアップしたのだ。

「去年のネーションズリーグは、数字自体悪くなかったんですけど、しっくりきていなくて、『何が違うんだろう』ってトレーナーに相談しました。それで『体脂肪を少し減らせたら、パフォーマンスは変わる』と言われて、夏にトレーニングを始め、体質変化には時間がかかるので、シーズン中も継続してやるなか、安定した土台が作れてきたのかなと思います」

【守備的スコアもチーム内トップ】

 第2週のフランスラウンドのアメリカ戦でも、髙橋の活躍は目覚ましかった。

首位攻防戦となったこの試合では、2セット目にフェイクセットで2枚のブロックを引きつけ、宮浦健人に打ち抜かせている。さらに自らのレシーブから、羽ばたくようなバックアタックも。もつれたファイナルセットはなんと6得点をマークし、マッチポイント15点目は、自らが拾って豪快なバックアタックを炸裂させた。

「自分は勝負を楽しめるほうだとは思っています。緊張やプレッシャーもあるんですが、それも勝負の楽しさで、"やりたくてやっている"と考えればポジティブでいられますね。みんな、勝負はどうしても力が入るじゃないですか。だからこそ、僕はそこで"冷静に"って心がけています」

 髙橋はそう言うが、勝負がかかった場面での咆哮が似合う男だ。

 今回のネーションズリーグでは、叩き出している数字でも際立っている。第2週終了時点の総得点数159点は世界3位で、アタックポイントも3位、サービスエースも2位と攻撃を牽引しているが、それだけではない。ディグ本数は6位、レセプション数は10位、ブロック本数は21位と、守備的なスコアもすべて日本でトップ。まるでコートに髙橋がふたりいるかのような活躍ぶりだ。

 日本ラウンドでも、自由な発想から繰り出すプレーが期待される。

「去年の代表シーズンは5年目で、"考えながらやりすぎていた"と思いました」

 昨年の最後の代表戦となった世界バレーボール選手権のあと、髙橋はシーズンをそう振り返っていた。優勝候補とも言われた大会では予選リーグ敗退を喫した。捲土重来を誓っていたが、解き放たれることで真価を発揮できるはずだ。空中で止まっての招き猫ショットや背面ショットはスペクタクルだ。

「"自分が決めないと""うまくやらないと""チームをうまく回さないと"と、いろいろと役割を考えすぎてしまって、それが(悪い方向に)自分のプレーに出ていました。"自分の感覚に従ってやっていない、考えすぎちゃっている"と反省して......。これまで僕は自分の感覚を頼りにやっていたし、その感覚をフルに出す感じに戻しました。それが自分のパフォーマンスの出し方だって。おかげで(世界選手権の最後のリビア戦では)拮抗した場面でも、"最後の1点を取れる、大事なところで取れる"につながったと思います。それが自分自身の戦い方だと、あらためて感じられました」

 髙橋は自身のプレーを2年目のSVリーグでアップデートした。あらゆる数字で前年を上回り、確実にひとつ殻を破った。そして2年後のロサンゼルス五輪のメダルを視野に入れている。

サントリーサンバーズ大阪からポーランドのルブリンに移籍した決断も、そのひとつと言えるだろう。世界最高峰リーグでの挑戦に、成長進化の触媒を求めた。

「この2年間は一切の妥協が許されない」

 髙橋は言う。ネーションズリーグは試金石になるだろう。ここで自分たちのバレーをし、史上初の優勝という栄光をつかめたら―――。それは五輪に向け、"強さの確信"に結びつくはずだ。

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