石川祐希のAttack The World vol. 17

(連載16:イタリア11季目の石川祐希は「スタメンにこだわらない」 誕生日を目前に30代の目標も明かした>>)

 石川祐希がキャプテンを務める男子バレーボール日本代表は、ネーションズリーグを4位で終えた。そして9月には、2028年ロサンゼルス五輪の出場権をかけたアジア選手権が控えている。

日本代表を引っ張る石川が感じている、今シーズンのチームの空気とは。

【男子バレー】石川祐希が語る代表チームの変化 9月のアジア選...の画像はこちら >>

【昨年の日本代表との違い】

――昨シーズンは少し難しい代表シーズンだったと思いますが、今年のチームはすごく一体感もあり、出場する選手がみんな活躍する好循環が続いています。昨シーズンからの変化や上積みを感じますか?

「上積みでいうと、やはり昨年の負けを経験したことが大きく影響していると思います。昨年も代表でプレーしていた選手は、練習や試合での意識が違う。特に練習での意識の差を感じます。

 あとは、秋にアジア選手権があるので、目指すべきゴールを全員が共有できているという部分が大きく違います。昨年は世界選手権がありましたけど、出場権などがかかっていたわけではなかったですし、チームに合流するのが遅かったり、代表に参加できなかったメンバーもいたりしたので。もちろん代表に入っていたメンバーは『世界選手権でメダルを獲る』という思いで必死にやっていましたけど、どこかチームとしてまとまりに欠ける部分があったと思います」

――昨年、代表活動を休養していた西田有志選手も戻ってきましたね。

「そうですね。パリ五輪で一緒に戦ったメンバーがほとんど戻ってきたのが大きいです。パリ五輪のメンバーが揃うと、練習から雰囲気も違います。当時の練習に戻ったというわけではなく、それぞれがクラブでシーズンを過ごして成長したことで、さらに雰囲気が締まるという感じでしょうか。そういったメリハリは、代表での経験が豊富な、年齢も上の選手が多いと作りやすいですね」

【チームの共通認識】

――石川選手自身も、以前のインタビューで「昨年は自分から監督にアクションを起こすことはなかったけど、今年からはやっていこうと思う」とおっしゃっていました。ロラン・ティリ監督とはどんな話をしましたか?

「具体的に話したのは、クラブシーズン中にティリ監督がイタリアに来た時です。

その時に、チームの練習の雰囲気や練習方法、戦術についていろいろ話しました。その内容は詳しく明かせませんが、そこで話せたので、代表に合流したあとはそこまで踏み込んだやりとりはしていません。僕個人のことでは、クラブで試合に出ていなかったので、『試合に出てちゃんとリズムを戻すように』という話をしましたね」

――石川選手は日本代表のキャプテンになってから、毎年のようにチームメートにいろいろなことを求めてきました。今年、チームとしてテーマにしていることはありますか?

「今年はテーマというよりも、アジア選手権でロサンゼルス五輪の切符を取ること。そのためだけにプレーするということを、全体ミーティングでティリ監督も言っていましたし、あらためて僕からも共有しました。ネーションズリーグも大事ですが、すべてはアジア選手権にピークを持っていくため。あくまでアジア選手権で勝つための過程、というのがチームの共通認識です」

――選手それぞれがより自立すること、全員がキャプテンという意識でやることが大事、といったことも以前に話していましたが、その点に関してはいかがですか?

「それぞれが『俺がやる』という思いを持っているので、あえてそれを言う必要はないと思っています。チームもいい状態が続いていますからね。今後、チーム状況が悪い時や苦しい時期も絶対にくると思うので、そういった時にしっかり対処できればと考えています」

【2年後のロサンゼルス五輪に向けて】

――五輪切符を取るというテーマもありながら、2年後のロサンゼルス五輪を見据えてチーム力を上げていく。この代表シーズンで何を得たいですか?

「繰り返しになりますが、世界で勝つために、この秋で五輪の出場権を取ることが絶対条件です。そして、五輪でのメダル獲得につながるシーズンにしたいです。しっかり勝つべき試合を勝ちきるバレーができるようになってくると、より強いチームになる。

力を発揮しなければいけないところで発揮できるようになることが大切です。

 今までも、大事な局面である程度は力を発揮できていましたが、パリ五輪では最後の最後で取りきれなかった。ロサンゼルス五輪に向け、しっかり結果を出せるようなチームになるために階段を登っていきたいですね」

――ネーションズリーグの予選ラウンドでは、五輪2連覇中のフランスや、強豪のアメリカにも勝利。決勝ラウンド準決勝で再びアメリカと対戦して惜敗しましたが、フルセットの激闘でした。ひとつ階段を登れたことになるのではないでしょうか?

「そうですね。やはり強いチームに勝つ経験は大事です。特にアメリカは、ポジションが少し違ったりはしましたけど、(予選で戦った時から)コートに出ていたメンバーはほぼフルメンバーでした。半分の選手は2週目からの合流だったので、チーム状況がベストだったかといえば違うかもしれませんけど、アメリカに勝つことができたのはチームとしては非常に大きな手応え、自信になったと思います」

【プロフィール】

◆石川祐希(いしかわ・ゆうき)

1995年12月11日生まれ、愛知県出身。トルコ1部リーグのジラート・バンク・アンカラ所属。星城高校時代に2年連続で三冠(インターハイ・国体・春高バレー)を達成。2014年、中央大学1年時に日本代表に選出され、同年9月に代表デビューを飾った。大学在学中から短期派遣でセリエAでもプレーし、卒業後の2018-2019シーズンから昨シーズンまでプロ選手として同リーグで活躍。

2021年には日本代表のキャプテンとして東京五輪に出場し、29年ぶりに決勝トーナメントに進出。2024年のパリ五輪でもキャプテンとしてチームをベスト8に導いた。

柄谷雅紀●取材・文 text by masaki karaya

編集部おすすめ