この記事をまとめると
■クルマのデザインが他車に似ていると感じることがある



■この記事では輸入車に似ている国産車を紹介



■昭和、平成、令和のモデルをピックアップした



デザイナーが同じなの? と思ってしまうほど似ているクルマも

どうしても似てしまう!? クルマのデザイン

「テールランプが似ている!」とか「ドアノブがそっくり!」といった些細な部分ではなく、全体のシルエットが“どこか似ている”というというのは、クルマのデザインには良くあるケース。「名車をオマージュした」というと聞こえはいいですが……そんなパクリ、いや良く似たクルマたちを紹介します。



昭和~平成の良く似たクルマたちを紹介

クルマ好きのオジサンは遠くを見ながら「昔は良かったなぁ」と呟きがちですが、「昔は良かった」=「昔はコンプライアンスが緩かった」と言い換えることができます。クルマのデザインについても昭和~平成あたりは随分とコンプラが緩やかだったようで、あの天下のトヨタでさえ名車のデザインをパクり……じゃなかった、模倣……いやいや、オマージュしていたのです。



たとえば、1973年発売のトヨタのスポーツカーを代表するセリカLB(リフトバック)に注目! テールゲートが大きく開口するハッチバックをトヨタは「リフトバック」と称して発売したのですが、そのスポーティなフォルムは当時のお洒落系若者と走り屋系若者のハートを鷲掴み。とくに145馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCエンジンを積んだセリカLB2000GTは、当時112万円(現在なら400万円くらい?)という価格にもかかわらずバカ売れしました。ところが……4215×1620×1280mmのボディをちょっと遠目で眺めると、あることがわかったのです!



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産...の画像はこちら >>



その“あること”とは、当時のアメリカ車の象徴ともいえるフォード・マスタング、それもファストバックモデルにそっくりという事実! いやはや、当時の日本はファッションもライフスタイルもアメリカの若者文化の影響をもろに受けていた時代でしたから、クルマもアメリカの名車のデザインをオマージュしたに違いありません。セリカLBより3年も前に発売された三菱コルト・ギャランGTOも含めて、あくまでもオマージュであると信じましょう。あれから50年近く経とうとしているので。



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



時は平成4年(1992年)、マツダから世界最小のスポーツカーがデビューします。その名もマツダ・オートザムAZ-1! なにしろ軽自動車サイズのボディのキャビン後部に657ccの直列3気筒DOHCターボエンジンを搭載(つまりミッドシップ!)。ロックトゥロック2.2回転という超クイックなステアリングと固められたサスペンションがもたらす走りは、正真正銘のピュアスポーツカーだったそうです。64馬力を5速MTを駆使して走った当時の走り屋系モータージャーナリストによると、「峠では快感そのもの!」だったとか。



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



しかし、このAZ-1も遠目から見ると、超有名なスーパーカーに似ているかも!? と思えてしまいます。そう、故エンツォ・フェラーリが「生涯最後の“そのまんまレースに出られる市販車”として開発した」フェラーリF40に、そこはかとなく似ているのです。とくに、テールエンドをスパッと断ち切って丸いテールランプを配したリヤスタイルなんて、「デザイナーが同じなの?」と思えるほど。

リヤウイングの有り様も共通です(違うのはサイズだけ)。いや、決して真似したのではなく、マツダのデザイン&設計室がデザインの巨匠、ピニンファリーナに憧れただけ! と受け取りましょうか。



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



あれっ? と思うクルマは令和にも!

コンプライアンスが厳しくなり、メディアでの発言・表現があらゆる方面からチェック&規制される昨今。クルマのデザインもそうした世の中の事情が反映されているのは当然ですが、やはりなかには「あれっ? これってパクりじゃね!?」と感じてしまうようなケースがままあります。



ランボルギーニ・ウルスとトヨタC-HRのケースが、まさにそれです。かたやイタリアのスーパーカーブランドが誇る超ラグジュアリーSUVで、もう1台は天下のトヨタ自動車が世界100カ国以上に展開する大人気コンパクトSUVです。この2台を並べて遠くから眺めてみると、全体のシルエットだけなく、ボディを彫刻刀で切り取ったようなディテールの仕上げがよくよく似ているのがわかります。666馬力で0-100km/h加速3.3秒を実現し、SUVでありながらスーパースポーツカー並みの実力も兼ね備えているウルス・ペルフォルマンテ。



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



一方、庶民的SUVながらニュルブルクリンクのレースやラリーを想定したサスペンションチューニングを行なったC-HR。つまるところ、走りを追求したSUVは、そのフォルムが似てしまうのかもしれません。どっちがどっちを模倣したのかは、この2台のデビューが微妙に重なるため、明言することは控えておきましょう。



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



さて、クルマ業界におけるパクり、模倣、オマージュは、じつはつい最近でも行われています。

2022年9月に発売されたトヨタ・クラウンクロスオーバーですが、リッチなクルマ好きが気になるのは、2023年にデビューする予定のクラウンスポーツでしょう。全容はまだ明らかにされていませんが、そこかしこで垣間見えるデザイン画像からイメージするスタイリングは、端的にいってフェラーリ・プロサングエにそっくり!



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



プロサングエは“フェラーリ初の4ドア・4シーターSUV”として、かなりの鳴り物入りで2022年9月にデビューしました。そのマッシブながら流麗なスタイリングが、まもなく満を辞してデビューするクラウンスポーツとよく似ているという事実は、日本のトヨタファンは喜ぶのでしょうか。それとも、決してベンツやBMWではなくあえてクラウンに乗りつづけているコンサバなクラウン党は、「わざわざイタリアンSUVに似せなくても良かっただろ!?」と嘆くのでしょうか。



遠い国のまったく違うクルマが似てるのは奇跡!? 輸入車と国産車の「そっくりクルマ」4組



世界にあまたあるクルマを見て「これとあれ、よく似ているよね」と気づいたとしたら、それは感性が鋭く、またクルマのことをよく知っている人に違いありません。だからといって「真似っこじゃん」とか「パクりは良くない」とか批判するのではなく、「クルマのデザインとは何か?」をもっともっと深く探求するきっかけにしていただけたらと思います。

編集部おすすめ