この記事をまとめると
■卓越したパッケージングでミッドシップなのに4人(3人)乗りを実現したスーパーカーがある



■クルマの電動化により今後は4人乗りのスーパーカーが増えるかもしれない



■高いパフォーマンスを家族で楽しめるクルマが次世代のスーパー“ファミリー”カーと言えるのかもしれない



スーパーカーはふたり乗りだけじゃない

1970年代、日本(いや、世界も!?)にはスーパーカーブームが勃発。ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどの名車が、日本中を席巻しました。



そのなかの1台にランボルギーニ・ウラッコという、あまり人気のない……いや、通なファンに人気のスーパーカーがありました。

じつは何を隠そう、このウラッコこそふたり乗り“じゃない”スーパーカーのシンボルなのです。



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ウラッコは1973年から1979年までランボルギーニが製造・販売したクルマですが、特筆すべきはホイールベース2450mm(ボディサイズは4250×1760×1115mm)のなかに4人用の座席とV8エンジンを搭載するという卓越したパッケージングです。生粋の学理的エンジニアであるジャンパウロ・スタンツァーニが車体設計したおかげで、たったふたりではなく4人もの人間が、最高速度240km/hというスーパーカー的なパフォーマンスと、マルチェロ・ガンディーニがデザインした紛れもないスーパーカーのフォルムを堪能できたのです。



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ウラッコが製造を中止した1年後、フランスの航空産業メーカーだったマトラ社が、3人乗りのミッドシップスーパーカーを発売します。その名はタルボ・マトラ・ムレーナです。3ドアハッチバックのボディに1.6リッター直4OHVエンジン(2リッター直4SOHCもあり)をミッドシップに搭載しているのですが、4070×1752×1220mmという小さなボディのどこに3人も乗るんだ……と疑問が湧きます。



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じつは、前に3人横並びで座るのです! 運転席の右にマニュアルシフトがあって、その右側にふたり……つまり、助手席がふたつ並んでいるんですね。ちょっと滑稽なシートレイアウトかもしれませんが、200km/hオーバーの速度域といい、ウェッジシェイプのフォルム+リトラクタブルヘッドライトといい、このムレーナはスーパーカー的な要素を持っているのです。



EV化の波に乗って4人乗りの超ド級スーパーカーが登場する!?

同じ3人乗りならイギリスも負けていません! ムレーナが製造を中止してから16年の年月が経過した1995年にF1設計の鬼才、ゴードン・マーレーが4人のエンジニアとともに比類無き名車、マクラーレンF1を生み出します。マクラーレンF1はデビュー当時、6.1リッターV12エンジンが発揮する最高出力627馬力や、その大パワーが実現する最高速度391km/hといった驚異的なパフォーマンスが、1億円という車両価格とともに注目されました。



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しかし、本当のトピックスは1mmの無駄もなく構築された「空間的機構レイアウト」なのです。早い話、マクラーレンF1のどことなく有機的(生物的)で流麗なカウルのなかには、まんまF1マシンが入っているのです。



だからボディ中央に運転席があるのですが、F1と違うのは運転席両脇の(前輪半径分だけ後方にズラした)位置にパッセンジャーシートが設けてあること。



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そんな卓越したパッケージングのおかげで、3人がマクラーレンF1の異次元の走りを体験できるというワケです。



地球規模で環境問題が騒がれている昨今、クルマのパワートレインは内燃機関+モーター、あるいはモーターのみへと変わってきています。「内燃機関+モーター」というハイブリッドの場合、エンジンは小さくて済むのでミッドシップに搭載してもキャビンスペースを犠牲にすることがありません。しかもバッテリーはキャビン下に薄く低くレイアウトすることが多いので、なおさら居住スペースを取ることが出来ます。モーターのみの電気自動車であれば、その傾向はもっと顕著になります。



そうしたメリットを活かしたのが、ケーニグセグ・ジェメーラです。スウェーデンのスーパーカーメーカー、ケーニグセグが2020年に発表したジェメーラは、ガルウィングが印象的なスタイリングのなかに大人4人が快適に過ごせるラグジュアリーなインテリア空間を実現した、正真正銘の4座スーパーカーです。



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2リッター3気筒という小さなガソリンエンジンを後席の後ろに搭載。そして左右の後輪に1基ずつとクランクシャフトに1基……合計3基のモーターをプラス。そのトータル出力は驚くなかれ、なんと1700馬力!



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ところがこのジェメーラがビックリなのは驚異のパワーではなく(いや、確かに物凄いパワーですけど)、広くて快適で豪華な4人がけの居住空間なのです。先述のウラッコやムレーナ、マクラーレンよりも遥かにゆったりと4人が座れるのは、ひとえにパワートレインをハイブリッドにしたおかげです。



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これからのスーパーカーはどんどん電動化のメリットを活かし、ハイパフォーマンスと同時に広くて快適な居住空間も確保するのは間違いないでしょう。そんな途轍もないパフォーマンスを家族4人もしくは3人で優雅に楽しめるクルマこそ、次世代のスーパー“ファミリー”カーと言えるのかもしれません。

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