この記事をまとめると
■セルフ給油が普及したことでディーゼル車にガソリンを給油する事故が起こっている■規格を統一する法律などがなく、事前に事故を防ぐのは難しい
■万が一、誤った燃料を給油してエンジンを指導した場合、分解・洗浄などが必要となる
セルフスタンドの普及で誤給油が増加
最近は自動車への意識が薄いのか、それとも節約したいからなのか、軽自動車に軽油を入れる人がいるという話を耳にする。さらに先日、ディーゼルのSUVをレンタカーで借りたとき、何度も「給油は軽油」というのを連呼していたので聞いてみたところ、実際に何回か間違った燃料を入れられてしまったことがあったという。
この場合はレンタカーというのがポイントで、普段乗りなれないディーゼルを借りたということと、見た目によってガソリン車と思い込みがちというのが理由としてあるだろう。
これを防止できないのかというと、フルサービスのガソリンスタンドならよほどのことがない限り間違いは起きない。セルフでもノズルの太さを変えればいいという意見もよくあるが、給油機のタイプや年式によってガソリンと軽油のノズルサイズは同じだったりするため、それも難しい。

つまり、法律などでは決められていないのだ。また、ノズルサイズを太くしているのは軽油の場合が多く、これならガソリン車の給油口には入らないので防止はできるが、当たり前だがその逆は防げないので、やはり完全ではない。ちなみに知り合いの修理工場に聞くと、ディーゼルにガソリンを入れてしまう例もあるとのことだ。
間違った燃料の給油は大変なことになる
そこで気になるのが、実際に入れてしまったらどうなるのかということ。ガソリン車に軽油を入れる、またはその逆でも、とりあえずエンジンをかけなければタンクの脱着&洗浄程度で済む。かかる費用も数万円だ。

問題はエンジンをかけてしまったときで、当然ながら走ることはできない。ガソリン車に軽油を入れた場合、タンクの脱着・洗浄に加えて、インジェクターの清掃やプラグの交換が必要で、これでなんとかエンジンをかけることができれば、配管内に残っている軽油はガソリンで洗い流されるので問題は解決する。ある程度エンジンを触ることになるので、費用的には10万~20万円程度といったところだろう。
そして甚大なのが、例は少ないとはいえ、ディーゼルにガソリンを入れてエンジンをかけてしまった場合で、エンジン内部の破損だけでなく、最近のクリーンエンジンに欠かせない超高圧のインジェクターも壊れてしまう。そうなると、エンジンならびに補機類交換やオーバーホールが必要になるので費用も莫大になってしまう。

間違えた燃料を入れてしまったらエンジンをかけないようにするというのが鉄則ではあるが、そもそも気がつかないから入れてしまうわけで、エンジンをかけるまでに気がつかないという可能性も高いのが難点だ。