この記事をまとめると



■日本では運転免許取得1年未満のドライバーが運転するクルマには「若葉マーク」の取り付けが義務付けられている



■欧州の初心者ドライバーは「L」「N」「P」といった文字のステッカーを貼る必要がある



■日本の高齢者ドライバーが掲示する高齢者運転標識(シルバーマーク)の掲示は努力義務となる



欧州の初心者マークは「L」「N」「P」のステッカー

「若葉マーク」という表現、最近あまり聞かなくなった印象がある。道路交通法で1972年10月から始まった制度で、クルマの運転免許を取得して1年未満のドライバーがクルマの前部と後部に簡易的に取り付ける「初心運転者標識」のことだ。



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これが導入されてしばらくして、運転免許を取った筆者としては当時、なんだかちょっと恥ずかしいといった気持ちを持っていたことを思い出す。

当時のクルマのカラーリングは、いま(2023年)と比べると地味な色が多かったので、「黄色とグリーン」のマークは結構目立った。



そんな初心運転者標識だが、海外事情を調べてみると、欧州各国では、「L」「N」「P」といった一文字を描いたステッカーをフロントやリヤに貼っており、これらも免許取得後の1年間の表示が必要となるようだ。



義務化されている「初心者マーク」に努力義務の「高齢マーク」! これって海外にもある? 
海外の初心者マークとなる「L」プレート



一方で、高齢ドライバーに対するマークについてはどうかというと、海外ではあまり事例がないようだ。地域社会で提示するようなローカルルールがある場合も考えられる。日本のような、まるで初心者のようなイメージで周囲に注意喚起するような高齢ドライバー向けのマークは珍しいと言えるだろう。



義務化されている「初心者マーク」に努力義務の「高齢マーク」! これって海外にもある? 
シルバーマークを貼ったクルマ



「高齢者運転標識」は道路交通法によって1997年から始まっており、比較的歴史が浅い。背景にあるのは、近年では大きな社会問題にもなっている高齢ドライバーによる重大事故や、事故を引き起こしかねない逆走などの危険な走行が目立ってきたからだ。



日本のような高齢者標識は海外には存在していない

事故件数のみならず、自動車免許取得者の高齢化が1990年代後半頃から顕著になってきたからだともいえる。戦後から1960年代前半頃までの日本では、庶民にとってクルマは高級品であったが、それが1960年代半ば以降の高度経済成長期になると、クルマが庶民の足、または庶民の憧れの対象となり、免許人口も一気に増えていった。



義務化されている「初心者マーク」に努力義務の「高齢マーク」! これって海外にもある? 
1960年代の日本の有楽町の風景



そうした世代が、1990年代後半時点で60代になってきたのだ。



当初、高齢者運転標識は75歳以上での努力義務としていた。その後、何度かの法改正を経て70歳以上での努力義務となっている。



つまり、義務化されている初心者交通標識とは、意味合いが少し違う。



また、当初は「枯れ葉マーク」とも揶揄されるデザインだったが、現在では四葉のクローバーを意識したような4色のマークが採用されている。



義務化されている「初心者マーク」に努力義務の「高齢マーク」! これって海外にもある? 
もみじマークを貼ったクルマ



高齢ドライバーに関しては2010年代以降、免許更新に関するさまざまな法改正が行われてきているところだ。日本は世界でも稀な高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口比率)が高い国であり、免許所有者の年齢の高齢化が今後、さらに進むことは明らかだ。



そうした、高齢者社会の先進国とも言える日本が採用している高齢者運転標識という考え方が今後、世界の国や地域に広まる可能性は十分にあるのではないだろうか。

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