この記事をまとめると
■クルマの販売が低迷すると売れないクルマが増えて車種を減らさざるを得なくなる■2012年に発売された現行型ミラージュであったが、日本での販売が終了した
■すでに10年以上フルモデルチェンジをしていないモデルは今後の継続が危う鋳物が多い
売れないモデルは消滅の危機にさらされている
国内におけるクルマの売れ行きは、約778万台のピークを迎えた1990年以降、ほぼ一貫して下降を続けている。新型コロナウイルスの影響が深刻になる前の2019年が約520万台だから、1990年の67%であった。直近の2022年は約420万台で、1990年の54%になる。
クルマの売れ行きが最盛期の半分近くまで減ると、車種の数も減らす必要が生じる。いまのクルマは、軽自動車など一部の商品を除くと海外でも売られるが、日本仕様を開発するにも相応のコストを要する。販売が低迷すると、売れないクルマも増えて、車種を減らさねばならない。
メーカーが困るのは、すでに販売されながら、発売当初から売れ行きが伸び悩む車種だ。売れなければ国内販売を終了したいが、一定の台数を販売しないと、開発や営業関連のコストを償却できない。単純にいえば赤字になる危険も生じるから、一定の台数に達するまで生産と販売を細々と続ける。
また、販売台数が少なくても一定の根強い需要がある場合は、販売を続けるほうがメリットになる。そこで設計の古いクルマが存続することもある。

それでも各種の法規や規制が変わると終了することが多い。法規対応に要するコストと、その後にラインアップを続けることによる利益を比べて、対応しない判断をすることもあるからだ。
たとえば最終型の三菱ミラージュはタイ製の輸入車で、2012年に日本国内で発売された。

2023年5月上旬時点で、三菱の国内のホームページからは削除されている。
モデルライフサイクルが10年を超えているクルマは危うい
これから国内販売を終える可能性が高いのは、現行型の登場から10年以上を経過した車種だ。途中で規模の大きな改良を実施しない限り、発売されてフルモデルチェンジを受けずに10年を超えると、ユーザーが別の車種を購入して、乗り替え需要を見込みにくくなってしまう。
たとえばトヨタ車の場合、最終型ヴィッツは2010年に登場して、10年後の2020年にヤリスに切り替わった。アクアも初代(先代)モデルは2011年に発売され、2021年に2代目の現行型になった。前述の現行ミラージュも2012年の発売だから、日本では10年で終了した。フルモデルチェンジの周期が長い悪路向けのSUVや商用車を除くと、10年が限界なのだ。

そうなると、日産エルグランドは2010年の登場だから13年目に入った。ハイブリッドも用意されず設計が古くなり、2022年の1カ月平均登録台数は200台を下まわる。今後、フルモデルチェンジする噂もあるが、もはや従来型からの乗り替え需要は望みにくい。

同じミニバンでも三菱デリカD:5は、2007年に登場しながら2019年にフルモデルチェンジ並みの変更を施して、2022年には1か月平均で約1400台を登録した。
SUVではマツダCX-3が挙げられる。2015年の登場だから極端に古くはないが、2019年に発売されたCX-30が実質的な後継車種と受け取られる。いまのCX-3は、1.5リッターエンジン搭載車を192万5000円から用意して割安感を訴求している。それでも今後の動向は分からない。

このほかLサイズの3列シートSUVのマツダCX-8は、2017年の登場だから古くはないが、「今後登場するCX-80と入れ替えに消滅する」という。

その一方でマツダ6は、2012年の発売だから10年以上を経過したが、後輪駆動のプラットフォームを使って今後フルモデルチェンジを行う。
レクサスISも、2013年の登場だから約10年を経過するが、今後の動向は分からない。
