この記事をまとめると
■アウディのスポーツモデルについて解説■パワーユニットが多彩なことなどが特徴
■中古車価格やライバル車種も紹介
魅力的なモデルが多数!
アウディといえばA4、A6などのセダン&ステーションワゴンやクワトロなどの先進技術をイメージする方が多いことでしょう。
ただ、同社がラインアップするスポーツカーも秀逸。現在も多くのモデルをラインアップしています。
今回はアウディが誇るスポーツカーについて紹介していきましょう。
アウディとは?
クワトロをはじめ革新的な先進技術を搭載したモデルを生み出してきたアウディ。その起源は1868年に設立されたホルヒ社となります。
ホルヒ社はベンツ社で働いていたアウグスト・ホルヒ博士により設立。しかし、技術にこだわりすぎて採算を度外視したことで出資者と対立。1909年に博士は同社を退任してしまいます。

ホルヒ博士は新たに「アウグスト・ホルヒ・アウトモービルヴェルケ」社を設立するも、自ら立ち上げたホルヒ社と名称が似ていることにより差し止めされてしました。
そこで名称を「アウディ」としたのが現在まで続く同社の由来です。
その後、世界恐慌の影響でアウディをはじめとする4社が企業連合体「アウトウニオン」を設立。アウトウニオンでアウディは大型車を担当しましたが、現在まで使用しているCIマーク“フォーシルバーリングス”はアウトウニオンに属する4社を意味しています。

紆余曲折を経てアウトウニオンは1985年に車名をアウディ(Audi AG)に変更。フォーシルバーリングスはデザインを変更し新たに同社のCIマークに設定しました。
そもそもスポーツカーの定義とは?
「スポーツカーとは?」との質問は簡単なようでけっこう難しいテーマといえます。そもそも「これがスポーツカー」との定義が定まってなく、また世代や時代において変化してきたことが答えを難しくしているのです。
一般的には①走行性能を重視したパワーユニットを搭載、②足まわりも走りに特化したセッティングが施されている、③ロー&ワイドなスタイリングを身にまとう、これらを満たしたモデルがスポーツカーと呼ばれるケースが多いといえます。

ただ、難しいのは現在、世界中のメーカーが市場に投入するSUVのハイスペックモデルがスポーツカーか否かということ。
先程挙げた条件に一部当てはまりませんが、いまやSUVなくしてメーカーが存続しないような状態。ポルシェをはじめとするスポーツカーメーカーでさえ積極的にSUVを市場に投入しているいま、ハイパフォーマンスSUVはスポーツカーと定義して問題ないと筆者は考えます。

アウディのスポーツカーの特徴
多彩なラインアップを誇るアウディにも先程挙げた条件を満たすスポーツカーが多数存在します。
ミッドシップスポーツカーのR8や2ドアクーペのTT、またセダンやステーションワゴンをベースにハイパフォーマンスエンジンやサーキット走行も可能な足まわりを備えたRS(レーシングスポーツ)は、3つの定義を備えたスポーツカーとなります。
これらはそれぞれに特徴を持ちますが100年以上前からモータースポーツに関わってきた経験をフィードバックし、アウディ自慢のクワトロやパワーユニット、トランスミッションなどを備えていることが大きな特徴といえるでしょう。

またパワーユニットが多彩なことも特筆したいポイント。直4、直5、V8、V10とモデルに合わせたエンジンが搭載されているのも他メーカーのスポーツカーにはない特徴です。
アウディの現行車で”スポーツカー”と呼ばれるシリーズはどれ?
R8シリーズ
ランボルギーニ・ガヤルドとシャシーなどを共有するミッドシップスポーツカーとして2006年に初代が登場したR8。4.2リッターV8エンジンを搭載しデビューした初代でしたが、2009年には5.2リッターV10エンジン搭載車を追加。2010年にはオープンモデルのスパイダーもラインアップされました。

2代目となる現行モデルは2016年にデビュー。パワーユニットはV8が廃止されて5.2リッターV10エンジンのみを搭載しました。

現在はR8とR8スパイダーを用意。ただ、R8は2023年に生産を終了することがすでには発表されています。
RSシリーズ
アウディのハイパフォーマンスモデルとなるのがRSシリーズ。レーシングスポーツを意味するRSシリーズは、その名の通り一般道はもちろんサーキット走行に必須な足まわりやパワーユニットをもれなく備えています。
現在ラインアップされているRSはハッチバックやセダン、ステーションワゴン、SUVと多彩なモデルが用意されていますが、その歴史は1994年に登場したRS2アバントから始まりました。

その後、多数のモデルが登場していますが走行性能が高いことに加え実用性の高さも定評となり、アウディのブランドイメージを高めるスポーツカーシリーズとなっています。
TTシリーズ
円をモチーフとしたエクステリアデザインで世界的に衝撃を与えた初代が登場したのは1998年。当初、クーペのみが販売されていましたがオープンモデルのTTロードスターも追加されています。

TTは2006年に2代目、2015年から現行モデルとなる3代目がデビュー。現行モデルもクーペに加えロードスターも販売されていましたが、2020年に生産終了となりました。

クーペもすでに生産終了となることがメーカーから発表されており、遠くない将来、TTシリーズの歴史に幕が下りることになります。
アウディと他社スポーツカーを比較!
R8のライバル:ランボルギーニ・ウラカン
ガヤルドの後継モデルとして2013年に登場したウラカン。現行R8とシャシーやパワーユニットを共有するミッドシップスポーツカーとなります。

R8と異なるのはデビュー以来、多彩なモデルを発表していること。現在はオフロード仕様のウラカン・ステラートや640馬力を発揮するウラカン・テクニカ、ウラカン・STO、ウラカン・エボ・スパイダーがラインアップ。

5月11日にランボルギーニはウラカンが完売した、と発表するなど同社の歴代モデルにおいてもっとも成功したスポーツカーとなっています。
RS4アバントのライバル:メルセデス・AMG E53 ステーションワゴン
3リッター直6エンジンにモーター兼発電機のISGを組み合わせ、最高出力435馬力を発揮するハイパフォーマンスワゴンのメルセデス・AMG E53 ステーションワゴン。加速時にモーターのアシストや電動スーパーチャージャーによる加給を行います。

2.9リッターV6ターボエンジンを搭載するアウディ自慢のRS4アバントにとって最大のライバルとなるのは間違いなく、両車は実用性も兼ね備えた快速ワゴンとして高い人気を誇っています。
RS Q3のライバル:ポルシェ・マカン
RS Q3最大のライバルはポルシェ・マカンのハイパフォーマンスモデルとなるマカンGTSで間違いないでしょう。
マカンGTSは2.9リッターのV6ターボエンジンを搭載。最高出力440馬力を発揮し最高速度272km/h、0-100km/h加速4.5秒を実現しました。

ボディサイズはマカンのほうが大きく、エンジンの種類も異なりますがRS Q3と走行性能は近く、とにかく速いSUVが欲しいというユーザーにとって両車は比較対象になるモデルといえます。
アウディTTのライバル:アルピーヌ・A110
1960年代に登場した2シータースポーツカーのアルピーヌ・A110。モータースポーツなどでも活躍したことで一世風靡した往年の名車のイメージを再現したスタイリングで登場したのが現行A110です。

A110は2018年から国内での販売を開始。1.8リッター直4ターボエンジンをミッドシップに搭載しています。
現在はベースモデルのA110をはじめ、300馬力を発揮するA110 GT、専用サスペンションなどを装備したA110 S、0-100km/h加速が3.9秒を可能としたA110 R、12台限定で販売されるA110 SAN REMO 73がラインアップされています。

アウディスポーツカーの中古車相場はいくら?
半導体不足などの影響で新車の納期が遅くなっているなど理由で、ひと昔前よりさらに中古スポーツカーに注目が集まっています。
アウディがラインアップしている中古スポーツカーの相場を調べてみました。
R8シリーズ
R8とR8スパイダーの中古相場は表に記載している通り。現行モデルは2016年から国内での販売が開始されていますが、1500万円以下で販売されているのは2016~2017年式が大半で、いずれも1万km以下~2万km程度と走行距離が少ないことも特徴です。

R8で1台、1億円以上のモデルが販売されていますがこれは世界限定1台しかない「The Audi R8 Star of Lucis Final Fantasy」でした。


RSシリーズ
RS3スポーツバック&セダン
現行モデルは2022年4月から販売開始されているため中古車として出回っている車両は少なめ。執筆時点でスポーツバックが7台、セダンは1台しか販売されていません。

しかも納期が1年~2年以上かかるためか価格は新車価格より高くなっていることにも注目。
ちなみに先代モデルの中古相場はRS3スポーツバックが278~800万円、RS3セダンは410~880万円となります。

RS4アバント
2019年から販売を開始した現行RS4アバントですが中古相場は高め。初期モデルですら700万円以下の車両はありません。

もっとも高い車両は新車価格を超えていますがカーボンセラミックブレーキなど各種パーツをカスタムしさらに走行性能を高めた車両でした。

RS5クーペ&スポーツバック
RSシリーズの現行型中古車で比較的リーズナブルに購入できるのがRS5クーペとスポーツバック。

一方、2019年から販売を開始したRS5スポーツバックは販売台数が少ないうえに800万円以下の中古車は1台もなし。走行性能重視で選ぶなら同性能のクーペを購入するほうが良いでしょう。

RS6アバント
現行モデルが国内販売を開始したのは2021年1月。そのため執筆時点では全国で19台しか販売されていませんでした。
中古相場も高めで推移していて1500万円以下で販売されている中古車はありません。

また、セラミックブレーキなど走行性能を高めるオプションを装備している車両は2000万円を超えて販売されています。

RS7スポーツバック
RS7スポーツバックの現行モデルは2021年1月に登場。まだ新しいモデルのため中古車の販売台数も少なく、執筆時点でわずか12台しかありませんでした。

当然、相場も高くもっとも安い車両でさえ約1700万円。1年程度と言われている新車納期の影響もあるため、今後も中古相場が大きく下がることはないでしょう。

RS Q3&Q3スポーツバック
先代Q3からラインアップされているRS Q3とQ3スポーツバック。
2020年から販売を開始した現行モデルは世界的なSUV人気の影響もあるためか中古車相場も高め。新車の納期が1年半以上かかることも相場を押し上げる理由といえるでしょう。

とくに現行モデルから追加されたスポーツバックの相場は高め。700万円以下で販売されている車両はありません。

RS Q8
QシリーズのフラッグシップモデルのQ8に設定されたRS Q8。国内で2021年から販売を開始した同車ですので販売台数は少なめ。執筆時点ではわずか14台のみ販売されていました。

同車も他のモデル同様、新車の納期が1年と長めのためか中古相場も高め。もっとも安い中古車でさえ約1700万円の価格がつけられています。

TTシリーズ
スタイリッシュなクーペとして世界的に人気が高かったTTシリーズ。現在もまだ新車として注文は可能なようですが、生産中止されることがすでに発表されています。

そんなTTの中古車価格ですが初期モデルであればかなりリーズナブル。200万円以下で販売されている車両が多数存在しています。
一方、700万円以上で販売されている車両の多くは2022年に限定販売された「コンペティションプラス」。執筆時点で7台が販売されていました。


まとめ
世界的にSUVが注目を集めるなかアウディには多くのスポーツカーがラインアップされていました。
ただ、残念なことに同社を代表するスポーツカーのR8とTTはすでに生産終了となることが発表されています。

RSシリーズこそ残りますが、ピュアスポーツといえるR8とTTがブランド消滅してしまうのは、時代の流れとはいえ残念でなりません。