この記事をまとめると
■クルマのキャッチコピーには、いまの時代だとコンプライアンス的にアウトなものもけっこうあった



■ダイハツ・パイザーのキャッチコピーはあまりに有名



■比較広告や挑発広告が普通な海外では過激なものも散見される



「名」キャッチコピー? それとも「迷」キャッチコピー?

いまでこそ炎上商法などと取りざたされますが、ちょっと前までクルマのキャッチコピーは「コンプライアンス上等! 炎上? クルマが燃えなきゃいいや」的な作品も少なくなかったかと。「愛のスカイライン」とか「21世紀に間に合いました」とか、名作も少なくないクルマの宣伝ですが「それ、ちょっとどうなの」みたいなキャッチコピーを探してみました。



「お、パイザー。」

言わずと知れたダイハツのユーティリティワゴン、パイザーのキャッチコピーですが、CMキャラクターに1970年代の水着アイドル、アグネス・ラムを起用したことで「おっぱいザー」と解釈されてしまいました。というか、クリエイターもクライアント(ダイハツ)も確信犯だったこと、想像に難くありませんよね。



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いまでも各方面でつぶやかれていますが、現在なら炎上間違いなし。テレビCMもすぐさま差し替え、とはいえクリエイター&宣伝担当者は「してやったり」のドヤ顔、というのがこの業界のデフォかと。



「恋愛仕様。」「#ドライブデート#からのフルフラット#ランプを消して」

走るラブホの異名を授かったホンダS-MXは1996年に登場したミニバンで、ふたりが横になるのにちょうどいいフルフラットシートや、その枕元にあたる場所にティッシュケースが配されるなど、たしかに恋愛むけだったかと(笑)。



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ホンダS-MXのフロントスタイリング



ところが、2016年になるとトヨタがタンクという、これまたいやらしいミニバンをリリース。そのキャッチコピーが「#ドライブデート……」というもの。



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トヨタ・タンクのフロントスタイリング



ずいぶん攻めているものの、そのわりに炎上とか反発されることはなかったかと。ストレートな「エロ要素」は意外と笑って許してもらえる、ということでしょうか。



「ポリシーはあるのか。」

同じくホンダ・ストリームのCMコピーですが、これはトヨタへの痛烈な批判を込めていたはずです。ストリームはミニバンとして手ごろなサイズ、そしてスタイリッシュさでもって売れに売れまくっていたのですが、トヨタのウィッシュはなんとまったく同じディメンジョンで柳の下のドジョウを狙ってきたのです。



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ホンダ・ストリームのフロントスタイリング



ディーラー網に伴う販売力ではトヨタがダントツですから、ストリームはすぐさま意気消沈。ここに「ポリシーあんのか、このヤロー!」と言わんばかりのキャッチコピーですからね、ホンダ社内のトヨタに対する炎上ぶりは凄まじいものだったに違いありません。



海外のCMキャッチコピーはライバル意識むき出し

「お隣のコロナより、うちのは、大きい」

日産サニーがコロナとガチンコだったころ「隣の車が小さく見えます」という有名なキャッチコピーがありました。それを知っていると、「お隣のコロナより……」というこのコピーは日産の挑発かのようにとれますが、さにあらず。じつは販売台数500台程度というマイナーなコロナ・スーパールーミー(1990)の宣伝文句で、ノーマルより210mmもストレッチされた車体はたしかにノーマルが小さく見えるほど。



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トヨタ・コロナ・スーパールーミーのフロントスタイリング



それでも当時の5ナンバー枠に収められていて、一般家庭で使えるストレッチリムジンとして注目されるかと思いきや、前述のとおり500台ぽっきり。

いまとなってはミニバンと差別化もできるし、悪くないパッケージ&キャッチコピーに思えるのですがどうでしょう。



「クワトロに乗っていないと……」

炎上覚悟のメーカー対決キャッチコピーは、なにも日本に限ったことではありません。むしろ、比較広告やら競合ディスり広告は海外のほうがより過激といえるでしょう。



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アウディA8のフロントスタイリング



たとえば、アウディのクワトロセダンがコーナーを駆け抜けていくわきで、コースアウトしてしまったBMWが救助されているという構図。ここに「クワトロに乗っていないと……」というキャッチコピーですからね、痛烈というかスマートというか、日本の宣伝担当者にはなかなか浮かばない発想かと。



もっとも、この構図も偶然にとられたショットなようで、あえてアウディが仕組んだものではないようです。ともあれ、BMWユーザーから大いに炎上したことは言うまでもないでしょう。



「Think small(小さく考えよう)」からの「Das Auto(このクルマ)」

最後はあまりにも有名なフォルクスワーゲンのコマーシャルで、ビートルがちんまりと映った広告(1959)に「Think……」とあり、当時アメリカのフルサイズ文化に真っ向から挑戦したコピー。これはいくつか広告賞を受賞するなど社会的にも認められ、炎上どころかビートルの売り上げを大いに伸ばした功労賞もの。



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フォルクスワーゲン・ビートルのフロントスタイリング



ですが、時が下って2008年、フォルクスワーゲンは英語圏でのコマーシャルにあえてドイツ語で「Das Auto」と打ち出したものの、これが評判悪いのなんの。いわく「ドイツの悪しき帝国主義が垣間見える」と消費者団体から猛反発。そのうえ、2015年にはディーゼルゲートによるデータ改ざん報道で同社の評判はがた落ち。そのころ、SNSではThink smallが揶揄されまくって、フォルクスワーゲンはまさに炎上し、株価は急降下。



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フォルクスワーゲン・グランラヴィーダの発表会



いやはや、キャッチコピーって面白いけど、ムズかしいものだと痛感することしきりです!

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