この記事をまとめると
■EVの給電には専用の設備が必要だ■支払いもカードのみとなっており現金は使えない
■バッテリーのコンディションや外気温によって数値どおり使えない場合がある
EVの充電方法をいま一度おさらい!
EV(電気自動車)には興味があるけれど、初めての人は心配ごともいろいろとあるかと思います。とくに、給油するのと違ってなんだか充電ってよくわからない、と躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか?
「どこですればいいの?」「時間はどのくらいかかるの?」「費用はどれくらい?」などなど、いろんな疑問があると思います。今回は、いまさら聞けないけど初心者が知っておきたい、充電の基礎知識と最新情報をお伝えしたいと思います。
まず最初に知っておきたいことは、EVやPHEVの充電には、「普通充電」と「急速充電」の2種類の充電器があるということです。その大きな違いは電気の出力。出力が大きいほど、充電スピードが速くなるのですが、出力が大きい充電器は設置にお金がかかることや、受け入れるEV側にも相応の装備が必要なこと、バッテリーを劣化させてしまう可能性が高くなることなど、それぞれにメリット・デメリットがあるので、時と場合によって最適な充電器を使うことが大切になってきます。

現時点で、日本においてもっとも普及している充電器を目安にすると、「普通充電器」の出力は、3~6kW程度。最新のものでは9kWと高い出力のものも出てきています。対して「急速充電器」の出力は、日本ではCHAdeMO(チャデモ)という仕様が使われており、20~150kW程度があります。初期の頃に設置された6~7割の充電器がまだ20~30kWの低い出力のものですが、高速道路のSAなどを中心に最新の充電器への置き換えが進んでおり、60~90kW程度のものが増えてきています。

1基の充電器に充電コードが2~4口程度ついており、一度に複数台のEVが利用できる充電器も登場しています。自動車メーカーの店舗などでは、一部で150kWの高出力となる急速充電器の設置も始まっています。
また、アメリカのEV専用メーカーであるテスラは、自車専用の「スーパーチャージャー」と呼ばれる充電器の設置を進めていて、それは250kW程度の超高出力。充電時間が大幅に短くなるため、航続距離の長い大容量バッテリーが搭載できるのです。

環境によって変化するのであくまで充電時間や容量は目安
続いて充電場所と費用ですが、普通充電器はおもに、自宅やホテル、ショッピングモールやレストラン、オフィスや行政施設(区役所等)といった、充電のために長時間、クルマを停めておくことができる場所に設置されています。
自宅であれば、住宅の電気代として合算で支払いができるため、太陽光発電などを活用すれば、電気代が抑えられる場合もあります。そのほかでは、「充電カード」の会員になることで月会費を支払うと通常よりも安い価格で充電できたり、クレジットカードやバーコードなどでその都度支払いをする方法などがあります。目安としては、多くの充電器で利用できる「e-Mobility Powerカード」を例にとると、月会費は普通充電の場合1540円(税込)。1分あたり3.85円で利用できます。都度払いの場合には、4~8.8円/分程度が一般的です。

急速充電器は、高速道路のSAやPA、自動車メーカーの店舗、道の駅やコンビニといった、短時間で多くの充電を必要とする場所に設置してあります。たくさんのEVが利用しにくる場所のため、1台が長時間独占するのを防ぐため、またバッテリーの劣化をおさえる目的などのため、現在のところ1回の充電時間は30分までで、すみやかに次のEVに譲りましょうというルールがあります。先ほどの充電カードで急速充電(普通充電併用)のプランは、月会費が4180円(税込)。1分あたり27.5円で利用できます。都度払いの場合には、55~77円/分程度となっています。
さて、気になる充電時間の目安ですが、これは理論上の時間の計算と、実際にバッテリーに入っていく電力は異なることが多いことを、まずは頭に入れておきましょう。充電器の出力の違いもその理由のひとつですが、さらに、バッテリーには充電に適した温度があり、それより低すぎても、高すぎても充電効率が悪くなります。

またもうひとつ、バッテリーがどの程度の減り具合のところから充電をスタートしたか、ということも充電効率に影響します。とくにリチウムイオンバッテリーの場合にその傾向が強いですが、カラに近いところから8割くらいまでは、とんとん拍子に充電が進むのですが、8割くらいから満充電までは、充電速度が明らかに遅くなってきます。そのため、まだけっこう電池残量があるのに急速充電器につないでも、思ったほどは残量が増えない、ということも多いのです。

これらを頭に入れた上で、充電時間の目安を計算してみましょう。計算式は「バッテリー容量(kWh)÷充電器の出力(kW)=充電時間」。たとえばバッテリー容量20kWhのEVを0%から満充電まで、6kWの普通充電器で充電すると、答えは3.33時間ということで、3時間15分程度ということになります。
初期の頃のEVは、バッテリーの温度管理や充電効率といった研究やノウハウがまだあまり蓄積されていなかったため、年数が経過すると満充電にしても走行距離があまり稼げなくなってしまうようなケースもあったのですが、近年のEVはそうした研究が進み、さまざまな技術でメーカー独自のバッテリー温度管理や、劣化防止のための措置が取られていることが多くなりました。この先5年、10年と実績を積んでいく段階ではありますが、日進月歩でよくなっていくことと思います。使う側としても、そうしたバッテリーの特性を知り、なるべく負担にならない方法を考えながらEVを長持ちさせていくことが大切ですね。