この記事をまとめると
■座って移動することが苦痛なほど後席が狭すぎるクルマたちを紹介■スポーツカーのなかには「ワンマイルシート」と呼ばれるような使えないシートも存在した
■ミニバンにもまったく使い物にならないほど狭い3列目シートを備えるクルマが複数あった
付いている意味がわからないほど狭い後席シートを持つクルマたち
2シータースポーツカーを除いて、クルマには前後席(ミニバンなら3列目席)があるのが普通だ。スペック表、車検証にもしっかりと定員4名、または5名と記載されている。が、しかーし、後席があっても荷物置き、あるいは後席を倒してラゲッジルームを拡大して使うのが当たり前のような、後席(ミニバンなら3列目席)が超狭い、狭すぎるクルマもある。
自動車メーカーとしては”前席優先パッケージ”なんて呼んでいるかもしれないけれど、うっかりファミリーカーとしてそんなクルマを選んでしまうと、家族や後席乗員からブーイングされること必至。
では、これまでにどんなクルマの後席が超狭かったのか。
その筆頭に挙げられるのが、やっぱり2+2のスポーツカー、スポーティカーだろう。定員は5名ではなく、後席2座の4名だったりするが、運動性能を高めるためにあえて全長、ホイールベースを抑えたトヨタ86、比較的扱いやすい輸入スポーティカーのアウディTT、プジョーRCZなどがそうだ。
シートが小ぶりかつ、シートバックが立ち、全高が低いため、シートをフロアギリギリに低くセットしていることから大人だと窮屈なだけじゃなく、膝を抱える体育座りになってしまい、中長距離ドライブだとほぼ拷問に近い乗車感、姿勢になってしまうのだ。実際、それらの多くの所有者は、後席を格納し、ただでさえ狭いラゲッジルームを拡大して使っていたりした。
国産スポーティカーでは、かつてのホンダCR-Xも後席が超狭い、どころか、大人の着座はほぼ無理な1台。そもそも後席は「ワンマイルシート」と呼ばれたぐらいで、約1.6kmしか座れません……というわけ。
北米のマダムを虜にした国産ラグジュアリーカーでも、後席が想定外に狭いクルマがあった。それがレクサスSC(4代目ソアラ)だ。一般的な体形のドライバーがドライビングポジションを決めた後席は、主力市場の北米の大人など、絶対に座れないスペース。しかしそれは、2シーターだと保険料が一気に高騰するための回避策なのである。
とてもじゃないが座ってどこかに行くのは無理!
しかし、多人数乗用車として日本で大人気の3列シートを備えたコンパクトミニバンのなかには、ミニバンらしからぬ、3列目席が超狭いクルマもあった。その評判から、早期に消滅してしまったんですけどね。
たとえばカローラスパシオ。ハンモックのような3列シートで、小さい子どもや荷物置き限定シートだったし、日産キューブの3列シート版だったキューブキュービックは身長172cmの筆者が、2列目席の膝まわり空間をギリギリ座れる70mmにセットしても、3列目席の膝まわり空間は0mm! 座れたもんじゃありませんでした。
ホンダのモビリオも、3列目席は超狭かった……。当然、3列シート使用時のラゲッジスペースも超狭で、3列目席格納前提のパッケージだったわけだ。こうした無理やりな3列シートコンパクトミニバンは、当時空前のミニバンブームの最中、コンパクトカーに3列目席をくっつければ、安いし売れるかも……という自動車メーカーの思惑があったに違いないのだが、見事に”失敗”だったかも知れない。
いやいや、もう少しサイズアップした国産ミニバンでも、3列目席はあってないようなもの……というパッケージングのクルマもあった。たとえばストリームの後継車とも言えたホンダ・ジェイド。2列目席がV字レイアウトで、3列目席はほぼおまけ。頭上はリヤガラス、膝まわりはスペースなし。
筆者は雨の日の試乗で、車内にいたまま、2列目席から3列目席に無理やり移動しようとしたら、足が引っ掛かってねん挫したこともあった。
もちろん、大人にとっての後席の広さ、座りやすさは人それぞれの体形によるのだが、ざっくり言うと、後席(ミニバンの3列目席)の膝まわり空間が100mm以上、ヒール段差(フロアからシート前端までの高さ)が300mm以上あれば、不愉快なく座っていられるはず。一方、頭上方向は50mmもあれば、乗車中は前を向いているわけで、天井方向の狭い、広いはさほど気にならないのである。

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