この記事をまとめると
■ホイールにはスチールホイールとアルミホイールの2種類がある■トラックにはスチールホイールが多く採用されてきた
■しかしいまトラック用のアルミホイールが増えているという
トラック用のアルミホイールは鍛造製法が主流
クルマのホイールはスチールホイールとアルミホイールの2種類に大別できる。スチールホイールはその名のとおりスチール(鉄)でできていて、プレス成型されたリムとディスクを溶接して作る。
またアルミホイールは、アルミ合金を溶かして金型に注入して成型する鋳造と、アルミの塊を金型で押し潰して成型する鍛造の二種類がある。
一方、トラックはというと、主流はスチールホイールである。なぜかといえば、商用貨物はコストと耐久性を優先するため、安くて強いスチールホイールがまず選択され、アルミホイールはオプションや後付け装備となることが多いのだ。というのも、トラックのアルミホイールは乗用車と比べると格段に強度が必要で、耐久性も求められる。使われ方が格段に過酷だからだ。タイヤも乗用車用とトラック用では構造や形状が異なるように、ホイールもトラックに最適な構造となっている。
車重が重く、さらに車重以上の荷物を積載して、一日中走りまわるのだから、タイヤやホイールに繰り返しかかる衝撃はとんでもないことになるのだ。
スチールホイールは、鉄の靱性(粘り強い特性で衝撃を受け止める力)を利用して、強度と耐久性を確保している。しかし、アルミホイールは剛性が高い(変形しにくい)ため、衝撃を吸収する能力がそれほどなく、その分強度を必要とする。そのため、トラック用のアルミホイールは鍛造製法が主流なのだ。
だから生産コストが上昇し、ホイール1本の価格は乗用車とは比較にならない。大型トラック用のアルミホイールは1本6万円以上はするので、10本履いたらホイール代だけで60万円にはなる。
さまざまなブランドからトラック用のアルミホイールが登場
とはいえ、最近はさまざまなブランドからトラック用のアルミホイールが発売され、価格もずいぶん安くなってきた。大型トラック用のスチールホイールは1本あたり約35kgあるが、アルミホイールの場合は約20kgと4割以上も軽くなる。10輪の大型トラックでは150kgも車体を軽量化できるのだ。

車重が軽くなればその分だけ荷物を搭載することができる。また、ブレーキの冷却にも貢献できる。とくに大型トラックの場合はドラムブレーキが多いので、連続してブレーキを使用した場合、ブレーキドラムが過熱してフェードしたり、火災に至る可能性もある。アルミホイールであれば、ドラムから熱を奪っていくので比較的フェードしにくくなる。
ただし、スチールホイールにもコスト以外のメリットがある。スチールホイール大手のトピー工業によれば、乗用車の場合、16インチ以下であれば、通常のアルミホイールよりもスチールホイールのほうが軽量に作れるそうだ。
また、アルミホイールもスチールホイールもリサイクル性には優れるが、アルミのほうがリサイクルに電力を多く消費する。

徐々に普及率を高めているトラック用アルミホイール。今後はディッシュタイプ以外にもディスクデザインのバリエーションが増える可能性もある。
ディスクブレーキが普及していけば、ディスクに最適化したホイールデザインなども登場するかもしれない。