この記事をまとめると
■少数生産車は既存のモデルをベースに改造を施す手法が取られることも多い■ベース車両がわからないほどの変更を受けて誕生したモデルをピックアップ
■新たに型式認証を得ているモデルや改造車扱いとなっているモデルも存在する
ロードスターやプログレをベースにクラシックスタイルを再現
少数生産の限定車などは、一からクルマを作っていくと莫大な金額となってしまうため、すでにある既存の車種をベースに改造を施すという手法が採られることも珍しくない。
今回は、一見するとベース車がわからないほどの変更を受けたモデルをピックアップしてご紹介しよう。
ミツオカ・ロックスター
古くから現行車をベースにクラシカルな内外装を与えたモデルを多く世に送り出しているミツオカ。そんなミツオカが手がけた車両の多くが、一見するとベース車がわからないほど手が入れられている。
ベースとなったのはマツダのND型ロードスターであるが、ライトウェイトスポーツであるロードスターに対して、ロックスターはある意味対極にあるともいえるアメリカンマッスルカーのイメージを纏っており、ロードスターらしい人馬一体の走り味は大きくスポイルすることなく、ワイルドな雰囲気が与えられている点が最大の特徴となっている。

トヨタ・オリジン
トヨタ自動車生産累計1億台を記念して、2000年11月に発売されたのが、初代トヨペット・クラウンのデザインを現代風にアレンジしたオリジンだ。

ベースとなっているのは「小さな高級車」のキャッチコピーでも知られるプログレの3リッターモデルで、パワートレインなどはプログレと同一。しかし、ドアは初代トヨペット クラウンと同じ観音開きに改められており、外装の変更部分はほぼ手作業によって製作されている。

1000台限定ではあるものの、しっかりと型式認証を受けており、プログレとは異なる「JCG17」という型式が与えられている点も興味深いところだ。
メーカー間の垣根を超えて誕生したモデルもある
三菱パジェロジュニア フライングパグ
1997年9月に三菱の販売チャネルのひとつであった「カープラザ店」の20周年を記念する限定車としてリリースされたのが、パジェロジュニア フライングパグとなる。

すでに車名にパジェロジュニアと入っていることからベース車はおわかりだと思うが、クラシカルなサイクルフェンダーや縦型の大型グリルを備えたルックスは、正面から見たらベース車の面影はまったくないものとなっている。
1990年代に登場したということで、当時流行のクラシカル風に仕立てただけと思われるかもしれないが、じつは日本初のフルタイム4WD技術を搭載し、1936年に発表された「三菱PX33」をデザインモチーフとしている由緒あるモデルなのだ。

フィアット124スパイダー/アバルト124スパイダー
2013年1月にマツダとフィアットが提携に合意したことで、ND型ロードスターをベースとしたモデルがリリースされることとなった。当初はアルファロメオブランドからリリースされるという話もあったが、結局フィアットから往年の124スパイダーの名前を冠して販売されることとなった。

日本ではフィアット124スパイダーのハイチューン版となるアバルト124スパイダーのみが正規販売となったが、デザインは往年の124スパイダーのデザインをモチーフに現代風にアレンジしたものとなっており、ベース車の存在が知れ渡った現在では驚きも少ないかもしれないが、かなり細部までロードスターとは異なる意匠を纏っているのだ。

トヨタ・クラシック
クラシックはトヨタの市販車生産60周年を記念して1996年に発表されたモデルで、トヨタ初の量産車であるトヨダAA型乗用車をモチーフとしたもの。

ベースとなっているのはピックアップトラックのハイラックス(5代目)であるが、ハイラックスの面影は皆無といっていいほど変更が加えられており、本家に近いボディスタイルを実現していた。

パワートレインはハイラックスのままだが、クラシックは乗用車登録ということで、排出ガス規制はしっかり乗用車系のものに適合している。