この記事をまとめると
■2002年にデビューしたプロボックスは20年以上営業車のトップを走り続けている■大型のドアポケットやカードホルダー、大容量の灰皿、格納式テーブルなどの装備も充実
■最近はカスタムしたプロボックスをSUVチックにして乗るのもブームだ
都内最速と噂される最強の営業バン
ビートたけし氏によると「都内最速は営業バンだ」とのこと。筆者を含め大きくうなずく方は大勢いらっしゃるでしょう。そんなライトバンの筆頭は、トヨタ・プロボックスで間違いありません。
プロボックスは2002年のデビューといいますから、営業車としては20年以上もトップセールスを誇っているといっていいでしょう。以前は兄弟車の「サクシード」もラインアップされていましたが、現在はプロボックスへ統合。また、OEMとしてマツダへも「ファミリアバン」が供給されるなど、販売網も盤石です。
じつはプラットフォームを初代ヴィッツと共有しており、当然ながらパーツの流用も行われているのです。
とはいえ、あくまでビジネス向けということでモバイルパソコンが入る大型のドアポケットや、カードホルダーやペンホルダー、大容量の灰皿、パソコンやお弁当を置くための格納式テーブルといった装備はプロボックスならではのオリジナルです。

さらに、営業マンの長距離ドライブも快適に過ごせるよう、シート形状が年々改良がなされていることにもご注目。また、開発エンジニアに愛煙家がいたことも有名で、空調で灰皿の灰が飛ばないようなレイアウトになっているなど、ドライバーへの寄り添い方は群を抜いているといってもいいでしょう。
カスタムしてアウトドアに連れ出すのもブーム
さて、都内最速の噂ですが、これはオーバーでもなんでもありません。実際、プロボックスの車重は1.5リッターのガソリン車が1090kg、同じくハイブリッド車が1160kgというライトウエイト! 同じく1.5リッターエンジンを積んだマツダ・ロードスター1.5RSが1020kgですから、5人乗りのプロボックスがいかに無駄を排して軽量化しているかがよくわかるかと。そして、400kgの積載量に対応した堅牢なフロア&シャシーや専用に開発されたサスペンションが、ハイスピードでの安定性に役立っていることはいうまでもないでしょう。

前輪はヴィッツ用を改良したものとされていますが、後輪は4リンク(4WD車は4リンク式ライブアクスル)+コイルスプリングを採用し、さらにラテラルロッドを加え(計5リンク)、積載物による車高変動や、側方からの入力時にもスタビリティへの影響は最低限に抑えられています。ショックアブソーバーを大荷重に耐えられるよう、後傾したレイアウトとしているのもちょっとしたレーシングカーのような工夫でしょう。
さらに、ATの設定も低めのギヤ比を採用し、トルクを活かした走りができるというのもポイント。1.3リッターや1.5リッターでコーナー脱出をモタモタしない秘訣はこのへんにありそうです。
そんな魅力あふれるプロボックスですから、営業マンだけにドライブさせるのはもったいないと、一般ユーザーが好んで乗り始めているのはご承知のとおり。ホワイトボディのままなら営業車ですが、ちょっとカスタムするだけでプロボックスはアクティビティの香り漂うSUVチックなクルマに変身しちゃいます。

リフトアップをはじめ、ごついバンパーやキャリアを装備しているプロボックスは近頃のキャンプ場ではよく見かけるもの。当然、1100リットルという積載量(ふたり乗り時)は大量のキャンプ用品を運ぶのにもってこいですしね。また、容量だけでなく四隅を効率よく荷室にしているのもポイントで、パズルのように荷物を積みこむことなく、ざっくり積めるところも喜ばれているはず。
ここまで読んで「欲しくなった」という方のために中古車ガイドをすると、さすがにタマ数が豊富なので予算に沿って好みの1台を見つけられます。底値でおよそ30万円台からスタートして、上はいっても100万円ほど。底値ゾーンは、20万km以上は走っていますが、そこは営業車という素性ですから、メンテナンスや部品代もリーズナブル(というかもともと壊れづらい)で、上のほうにいくとオールペンしてあったり、リフトアップされていたりと、欲しいスタイルになっているタマも少なくありません。

いいことづくめのプロボックスですが、トヨタだけでなく他メーカーからもぜひ「商用ベースの名車」をリリースしてほしいもの。やはり、これからの時代は、こうした質実剛健さがウケるのかもしれませんね。