この記事をまとめると
■テールランプはヘッドライトと同じくらいデザインが多い■世界中の名車の多くにも丸いテールランプが採用されていた
■同じ丸型でも車種ごとに個性が発揮されている点がユニークだ
かつてテールランプの多くは丸型だった
ヘッドライトに負けず劣らず、さまざまなデザインが採用されているテールランプ(テールライト)。安全運転に欠かせない装備で、制動灯、識別灯、方向指示器、後退灯といった重要な役割を担っているものです。
形としては、縦に長いもの、横に長いもの、流線型などさまざまありますが、やっぱり「丸いテールランプが好き」という人も多いのではないでしょうか。
でも、世界を見渡すとほかにも丸いテールランプが印象的なクルマや、伝統的に受け継いでいるクルマもたくさん。
そもそも、日本で早くから丸いテールランプを採用していたクルマはなんだったのでしょうか。手もとにある東京モーターショーの記録を紐解いていくと、1954年に日比谷公園で開催された第1回の頃は、出展車のほとんどが丸いヘッドランプを採用していることがわかりますが、テールランプは小さく縦長の長方形が多いようです。
しかし、1955年開催の第2回の記録写真のなかに、見つけました! 展示されていたプリンスセダンAISH-IV型は、小さな丸いテールランプをつけています。すべての展示車が確認できたわけではありませんが、当時はまだ乗用車の出展はわずかだったため、丸いテールランプを採用した日本車のなかでは相当早い車種だったと思われます。

さて、丸ではないテールランプをつけたモデルを探す方が大変だといわれるくらい、丸いテールランプを継承しているメーカーといえば、フェラーリです。1962年の250GTOを筆頭に、1940年代から小さな丸いテールランプが付いていました。

日本でも絶大な人気を誇るディーノ246GT/GTSも丸。308GTBも、F40も、F355も360モデナも、みんな丸いテールランプが印象的です。ただ、エンツォが亡くなった1988年に誕生したテスタロッサだけは、四角いテールランプでガラリと印象が変わっています。

テールランプは個性の塊!
続いて、こうしたヨーロッパ製スポーツカーに対抗する、アメリカらしいスポーツカーを作ってやろう、という意気込みで開発されたシボレー・コルベットもまた、丸いテールランプが印象的なクルマです。

いつしか「丸目4灯」はコルベットの代名詞となり、世代が変わっても受け継がれていきますが、現行モデル(C8)はコルベットとして初めてミドシップレイアウトとなり、テールランプも新たな一歩を踏み出すデザインとなっています(丸型テールランプはC7で廃止)。

さて、丸いテールランプで忘れてはならないクルマといえば、日本が誇るボンドカーにして、希少なスーパースポーツカーである、トヨタ2000GT。ヤマハとの共同開発によって1967年に誕生し、このクルマで採用された4輪ディスクブレーキやラックアンドピニオン式ステアリングといった技術が、その後のトヨタ車に受け継がれていったことも有名な話です。デザインを主導したのはトヨタ社内デザイナーの野崎氏で、スケッチの段階からテールランプは丸型。
車高をできる限り低くしたロングノーズ・ショートデッキのボディは流線型を描いてリヤに向かって絞り込まれ、リヤウイングさえ排除したテールエンドに相応しい、美しい丸型となっています。

最後は、じつは軽自動車にも丸いテールランプが印象的なクルマがいくつかあります。スズキ・ラパン、ダイハツ・ムーヴラテ、ムーヴキャンバスがその代表的な存在で、いずれも独自の世界観をもつデザインにピタリとマッチしているテールランプが秀逸。
ちょっとレトロでファンタジックな一面を持つラパンにしても、カフェでほっとひと息つくようなほっこり感をイメージさせるムーヴラテにしても、どこか懐かしくポップでもある癒し系デザインのムーヴキャンバスにしても、丸型以外は考えられないほどのハマり具合です。

ムーヴラテがジブリ映画「となりのトトロ」に出てくる猫バスからインスパイアされたデザインだというのは知られていますが、実際の猫バスは後ろに尻尾があり、テールランプらしきものは付いていません。でも、もしつけるならきっと猫バスのテールランプも丸いのだろうなと思わせるくらい、ムーヴラテに似合っていますね。

ということで、時代を問わず、車種を問わず、多くのクルマに採用されて印象的な後ろ姿を作っている丸いテールランプ。