この記事をまとめると
■アストンマーティン第3のスーパーカー「ヴァルハラ」の全容がついに公開された■システム最高出力1079馬力のPHEVユニットを載せアクティブエアロで武装
■999台限定生産で2025年後半から順次ローンチ
F1で培った技術の結晶となる第3のハイパーカー
アストンマーティンとレッドブル・アドバンスド・テクノロジーのコラボによるハイパーカーの第3弾「AM-RB003」として、2019年3月のジュネーブショーにてプロトタイプの実車が初公開されたアストンマーティン・ヴァルハラ。その名が与えられたのは初公開と同年の2019年6月のことで、先んじて登場していたヴァルキリーと同様、古代北欧神話に由来し、「戦士の楽園」を意味する車名となっている。
長きにわたって公開が待たれており、昨年末にはアストンマーティン自身がF1マシンを彷彿させるカラーリングを施したプロトタイプを用いて走行テストを行う画像を公開するなど、ますます期待が高まっていたヴァルハラの市販モデルが、とうとうお目見えした。
まずはそのエクステリアから見ていこう。アストンマーティン最新のデザイン言語を取り入れたエクステリアは、究極のスーパーカーとしてのパフォーマンスを体現するもので、アストンマーティンらしさと強力なダウンフォースを生み出す革新的なアクティブエアロダイナミクスが見事に融合している。

エクステリアの開発や使用素材については、アストンマーティンが保有するF1チームのコンサルティング部門であるアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズが関与するといい、まさしくモータースポーツ直系の機能美をもったデザインといえるだろう。

ヴァルキリーでの知見が受け継がれたアクティブエアロダイナミクスは、240km/hで600kg超のダウンフォースを生み出し、リミッターで制限される最高速度の350km/hに至るまで維持されるという。このアクティブエアロは、速度に応じてフロントおよびリヤウイングの迎角を調整することでダウンフォースを最適化し、あらゆるシチュエーションで空力バランスを一定に保つ効果を果たす。

「アンフィシアターライン」とアストンマーティンが呼ぶ、包み込まれるような造形が特徴的なインテリアは、こちらも随所でF1からヒントを得たというもの。カーボンタブ構造のボディ一体となるシートや、レースカーそのもののようなステアリングが、そのとてつもない高性能を予感させる。

PHEVパワーフローをリアルタイムで表示するヴァルハラ専用のビジュアライザーを含むアストンマーティンHMIシステムは、ドライビングに必要な情報を的確に伝えるものだ。

アストンマーティン「初」がてんこ盛り
パワーユニットも当然ながら凄まじい。
アストンマーティンは、このヴァルハラは「初」のクルマであると主張する。それはすなわち、以下の内容を意味する。アストンマーティン「初」の量産ミッドエンジンスーパーカー、「初」のPHEVモデル、EVレンジ機能を備えた「初」の量産車、eモーターとe-diff(電子式リヤディファレンシャル)を組み込んだ8速DCTを搭載した「初」のモデル。

そのPHEVパワーユニットは、4リッターの排気量から最高出力828馬力を絞り出すV8ツインターボエンジンに、合計最高出力251馬力となる3基の電気モーターを組み合わせ、システムで最高出力1079馬力、最大トルク1100Nmという桁違いのスペックをマークする。最高速度は140km/hに制限されるが、最大14kmのEV走行も可能だ。

3基の電気モーターのうち、2基はフロントアクスルに、1基は先述の8速DCTトランスミッションに組み込まれ、前者のモーターは前輪を駆動し、後者は後輪を駆動する。つまり、フロントアクスルとリヤアクスルが独立した4WDシステムとなり、この点もヴァルハラの特徴である。
F1の専門知識と技術力を駆使したと豪語するボディ構造は、RTM製法とオートクレーブ製法のハイブリッドによるカーボンモノコックの前後に、アルミニウム製のサブフレームがマウントされる形となる。そのサブフレームに取り付けられるビルシュタイン製のフロントサスペンションは、F1譲りのプッシュロッド式だ。

もちろんこのサスペンションも電子制御のボディコントロールシステムを備え、インテグレーテッド・ビークル・ダイナミクス・コントロール(IVC)によって、パワートレインやアクティブエアロ、ブレーキ、ステアリングと協調し、いかなるフィールドでも常に最高の性能を発揮する。

なお、アストンマーティンの他モデル同様、パーソナライゼーションサービスである「Q by Aston Martin」によって、オーダーメイド含む無限に近いカスタマイズが利用可能となっている。
ヴァルハラは999台限定の生産となり、2025年後半から順次納入されるという。価格については、現時点では未公開だ。