この記事をまとめると
■キャパロT1はゴードン・マレーも携わった英国発のスポーツカー



■フォーミュラのようなスタイリングと空力性能の軽量ボディにV8エンジンを搭載



■2007年から少量生産を開始した



あのゴードン・マレーも携わった知られざるスポーツカー

イギリスには、スポーツカーを少量生産する自動車メーカーがいくつも存在する。今回はそのなかから、キャパロ・ビークル・テクノロジー社が開発、生産した「T1」を紹介することにしようと思う。



ちなみにこのキャパロの前身はフリーストームという、やはりスポーツカーメーカーで、キャパロがそれを買収したことで、車名もフリーストームT1からキャパロT1に改められたという事情がある。



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キャパロのボードメンバーには、デザインディレクターのベン・スコット・ゲッデス、エンジニアリングディレクターのグラハム・ハルステッド、そしてかつてマクラーレンでF1の開発に携わり、じっさいにキャパロを設立するにあたってはマーケティングディレクター兼、出資者となったショーン・ブッチャーといった人物が名を連ねている。



そして忘れてはならないのは、T1をさらに魅力的なスポーツカーにするにあたって、かのゴードン・マレーがそのプロジェクトに参画していることだ。



スポーツカーっていうかまんまレーシングカーじゃね? かのゴードン・マレーも携わった「キャパロT1」の怪物っぷり
キャパロT1の開発に携わっていたゴードン・マレー



キャパロは2007年中盤から、年間25台のボリュームで生産する計画を設定。その価格は23万5000ポンド(約5640万円)とされた。レーシングプロトタイプやF1マシンにも似たエクステリアのデザイン。そして何よりマレーの手によるストイックなエンジニアリングによって生み出されるスポーツカーの対価としては、これは十分に魅力的な数字であった。



カーボンファイバー製のエアロダイナミクスに優れた低ドラッグボディには、フロントにツインエレメントの、リヤにはシングルエレメントのウイングが備えられている。



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キャパロT1のサイドビュー



さらに、ダウンフォースの多くはボディ下面のヴェンチュリートンネルで得る、いわゆるグランドエフェクトカーとして設計されていたT1は、240km/h時に875kgのダウンフォースを発生。このウイングはトラック用とロード用の2タイプが用意され、交換も簡単だという。



レーシングカー顔負けのスペック

全長×全幅×全高で4066×1990×1076mm。ホイールベースは2900mmというディメンジョンをもつT1だが、驚くべきはその重量だ。徹底した軽量化が行われた結果、その数字は乾燥重量で470kgにまで低減された。



その軽量性を象徴するのがインテリアのフィニッシュだ。T1のキャビンはふたり乗りで、走りに悪影響を及ぼす余分な重量を減らすためにアメニティや贅沢なトリム類は一切ない。その代わりにヘッドプロテクションシステムや、HANSデバイスに対応した運転席と助手席の6点式フルハーネス、高強度スチール製ロールフープによる中央セーフティセル、ファイアシステムなどが装備されている。



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キャパロT1のフロントマスク



ダッシュボードは多機能で、レースデータの記録はもちろん、トラクションコントロールやローンチコントロール用の設定スイッチもここに備わる。



カーボンファイバーとアルミニウム製ハニカム素材で構成されるモノコックをセンターにレイアウトし、リヤにはチューブラースペースフレームをフィットするT1。このサブフレーム上に搭載されるエンジンは、3496ccのオールアルミニウム製V型8気筒自然吸気だ。



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キャパロT1のリヤスタイリング



潤滑方式はもちろんドライサンプ。バンク角は90度でエンジンの単体重量は116kgとこれもまた軽量だ。最高出力と最大トルクは、575馬力/10500rpm、420Nm/9000rpmと発表されており、さらにメタノール燃料使用時には最高出力は700馬力に達するという。



組み合わせられるミッションはマグネシウムとカーボン製のヒューランド製6速シーケンシャル。タイヤのセットアップにもよるが、0-100km/h加速は2.5秒以下で、それをこなす実力をもつということだ。最高速は322km/hとオフィシャルには発表されている。



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キャパロT1のリヤスタイリング



小規模ながら本格的なスポーツカー作りに挑んだキャパロ。このような野心に満ち溢れたメーカーがあるからこそ、イギリスのスポーツカー事情は面白いのだ。もちろんいまでも新たな夢を追って、多くの野心家がスポーツカー作りのプランを自らの胸に描いていることだろう。

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