この記事をまとめると
■大型バスは2種類にわけられる



■路線バスと観光バスの違いについて解説



■それぞれの用途に合わせて最適化されている



路線バスには小まわり性能が求められる

大型バスには、大きくわけて路線バスと観光バスの2種類がある。2階建てバスや連接バスなどバリエーションも多いが、基本的にはこの2種類に大別されるのだ。では路線バスと観光バスは何が違うかといえば、その使用目的、使われ方が違うのである。



路線バスは文字どおり、バス路線で使用されるためのバスで、市街地を走り停留所ごとに乗客の乗り降りがある。一方、観光バスは団体客や高速バスのように一般道から高速道路までを走り、路線バスよりは乗客が乗り降りする頻度は少ない。そのため、それぞれの用途に合わせて最適化されているのである。



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路線バスはその巨体に見合わず、狭い駅前や細い道も走行することが珍しくない。道が細いだけでなく、交差点や曲がり角など小まわりが要求される道路がルート上にはある。そのため、バスの全長に対してホイールベースは短めだ。これによりたくさんの乗客を乗せながら小まわりもきくように出来ているのである。



ただし、それだけに運転操作には独特の感覚も必要だ。前輪よりもボディが大分前に突き出しているので、曲がるときにはオーバーハングした部分が旋回するように前輪の軌跡からはみ出して曲がる。それを見越して操舵のタイミングや舵角を調整する必要がある。実際の路線バス運転手はそのあたりを掴んだ上で、大きなボディを狭い道で上手に走らせているのだ。



観光バスはエンジンが高性能

最近の路線バスは乗降性も高められて、ノンステップの低床型も増えてきた。

これはエアサスを利用し、乗降時にはエアを抜いて車高を下げることで実現している。



一方、観光バスはまず走行速度の領域がとても幅広く、市街地での30~40km/hから、高速道路での120km/h前後まで巡行する可能性がある。そのため、エンジンは路線バスよりも高い性能が求められる。



ボディの長さはいろいろあるが、高速走行時の安定性を確保するため、ホイールベースは長く、高床で床下にはラゲッジスペースが確保されている。乗客の座席が高いのは眺めがよく、景色を楽しむにも適している。乗客からの評判の高さもあって、バスメーカーの架装もハイデッカーが一般的になり、現在はさらに高床なスーパーハイデッカーなどが登場している。



高速バスとしても観光バス車両が使われるが、路線バスほど乗客は頻繁に乗り降りしないので、通路は狭く、フロアは高くて階段が多くてもそれはあまり問題にならない。観光バスはホイールベースが長くても、一般道も走るためある程度の小まわり性も必要だ。とくに駐車場は限られたスペースなので、切り返しをして車庫入れをするにしても、小まわりがきかないと大変だ。



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観光バスのイメージ



そのため、観光バスの前輪の切れ角は驚くほど深い。ほとんど真横に近いのではないかと思えるほど、前輪が大きく切れることで限られたスペースでの車庫入れを実現している。高速巡行時の車体を安定させる丁寧な操作から、車両感覚を掴んでいるからできる小まわりのきく車庫入れまで、観光バス運転士の運転スキルの高さは相当なもの。

路線バスも街のごちゃごちゃした道路を大きなボディで走り抜ける際の車両感覚や見極めは見事なモノだ。



バス運転士はどちらも高い運転スキルが要求されるのである。

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