カタログやネット情報を見たり車両をのぞいただけではわからない
新生活のスタートとともに、初めての愛車を購入する予定という人も多い時期ですね。引越しをしたり、家族が増えたりして、新しいクルマに乗り換えを検討している人もいることでしょう。皆さんは、ディーラーへクルマを見に行ったら「試乗」をしていますか?
面倒だからとか、セールスマンと一緒に乗るのが緊張するからとか、いろんな言い訳をして試乗をしないまま購入に踏み切ろうとする人がいますが、それは絶対にオススメしません。
それを、カタログやネット情報を見たり、展示車両のドアを開けてちらっと覗いてみただけで買うなんて、ちょっと安直すぎると思いませんか? 「どうせ、走りなんてわからないし」と言うなかれ。クルマのことを知らなくても、初心者でも女性でも、購入前に必ずディーラーで試乗すべき7つの理由をご紹介したいと思います。
1)適切な運転ポジションが取れる
まず1つ目は、運転などすべての基本となる適切な運転ポジションが取れるかどうか。これはもう、実際に運転席に座って調整機能を使ってみる以外、確認する方法はありません。足は、お尻と背中ををしっかりとシートに密着させた状態で、ブレーキペダルを思い切り強く踏み込み、膝が軽く曲がる位置にシートを前後スライド機能で調整します。
シートの高さはなるべく高く、頭が天井に当たらず、メーターが死角にならない位置までアップします。その位置で、腕は「へ」の字に曲がるくらいの角度でハンドルの9時と3時の位置へ。ハンドルが前後上下に調整できるチルト&テレスコピックという機能がついていることもしっかりチェックしてください。
あとは、ヘッドレストと頭のてっぺんが同じ高さにくれば、適切な運転ポジションの完成です。これができないクルマは、まず愛車候補から落とすべきでしょう。
2)視界がしっかり取れる
2つ目は、視界がしっかり取れるかどうかの確認です。前は、左右まで死角が少ないかどうかはもちろん、車両感覚がつかみやすいことも重要。

後方視界も重要で、とくに運転席から振り向いた時に後ろの左右がまったく見えないクルマは不安が大きくなりがちです。最近はバックモニターがあるとはいえ、雨天や夜間などではカメラは見えにくくなり、そんなときに頼れるのはやっぱり自分の目。これも、実際に運転して確認しないとわからないことです。視界が悪いクルマはやめておいたほうがいいでしょう。
3)スイッチの使いやすさ
3つ目は、止まっている時に操作してみるのと、運転しながら走っている間に操作してみるのでは、印象がガラリと変わりがちなスイッチの使いやすさのチェックです。

とくに、最近はボタンやレバーなど出っ張りのあるスイッチは減る傾向にあり、エンジンをかけると表示される液晶タイプのタッチパネルスイッチが増えてきましたが、これが使いやすいと感じるのは、運転に慣れた人のほうが多いようです。運転初心者には、昔ながらのツマミのあるスイッチやレバーのほうが、パッと見てわかりやすく操作しやすいこともあるので、試乗した時に確認しておきたいところです。
フィーリングや車内の快適性などもチェックすべき
4)実際に走る
4つ目は、実際に走ってみてトランスミッションとの相性を味わってみてほしいということ。これは、パワーやスピードがどうこうではなく、低速で街なかをよく走る人ほど、ちゃんと確認しておくことが大切です。というのは、近頃はひと口にオートマチックといっても、いろんなタイプが存在します。CVTだったり2ペダルMTだったり、その構造や操作感もそれぞれ異なります。

いつものようにアクセルペダルを踏んでみて、想像したとおりに加速してくれますか? 思ったよりビュンと速く出てしまってちょっと怖いな、とか予想より重くてなかなか加速してくれないな、という感じかたも人それぞれ。すぐにコツを掴んで上手に走れる人もいれば、ギクシャクしてしまってストレスに感じる人もいますので、自分との相性をチェックしてみましょう。
5)ブレーキを踏んだときの感覚
5つ目は、ブレーキを踏んだときの感覚です。これも、現在は電動化が進むにつれていろんなタイプのブレーキが混在している状況。思ったよりガツンと利いてしまって驚いたり、なんだか板を踏みつけているみたいに応答性がないと感じたり、その感じかたも人それぞれです。ブレーキを踏んだときの感覚が自分に合うかどうか、チェックしておいたほうがいいでしょう。

6)室内の静粛性
6つ目は、買ってから落胆する人が多い、室内の静粛性です。とくにミニバンで3列目にも人を乗せることが多い人や、軽自動車、コンパクトカーでも後席に人を乗せる予定なら、絶対に試乗して確認したいところです。

運転席と3列目でも、走行中に会話ができるか? 後席に座った子どもが不快なノイズはしないか? 乗り心地のチェックとともに、できれば同乗する機会が多い人と一緒に試乗して確認しておきたいですね。
7)ドアや乗り降りのしやすさ
7つ目は、乗るたびに必ず開け閉めするドアと、乗り降りのしやすさ。ドアはどのくらいまで開くのか、閉める時に重すぎないか。そんなチェックにはじまり、足や頭をぶつけたりしないか、腰をどのくらい折り曲げることになるのか。

とくに、お年寄りを後席に乗せる予定のある場合には、シートの角度にも注目を。傾斜がきつすぎると、自力で起き上がって降りることが困難になる可能性も。チャイルドシートに子どもを乗せる人は、その操作性もシミュレーションしておきましょう。
というわけで、クルマ購入前にディーラーで試乗すべき7つの理由をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。試乗の際は、助手席などにセールスマンが同乗することがほとんどなので、最初は緊張するかもしれません。ただ、そんな時間こそクルマについてなんでも質問し、詳しく答えをもらいながらクルマとセールスマンとの距離を縮めていける、絶好の機会なのです。ヘンな質問でも個人的な意見でもいいし、ぶっちゃけ、たまたま目に入ったお店の話題でも、なんでもいいのです。
7つの理由はもちろん大事ですが、この時間を持つことこそが、いちばん重要な理由です。このたった15分、20分の試乗の時間が、アナタとお店との信頼関係を深くしてくれます。その結果、もっと大幅な値引きにもつながるかもしれないし、オプションのアクセサリーをサービスしてくれたり、いいことがあるかもしれません。そのためにも、ぜひ怖がらずに、ディーラーでの試乗をしてほしいと思います。