ミニバンの皮をかぶったスポーツカーと言わしめたモデルも!

欧州車は乗り心地が硬い、日本車は乗り心地がよい……そんなことを言われていたのは、はるか昔のこと。今では欧州車も、たとえメルセデスベンツのスペシャルスポーツモデルのAMGでさえ、乗り心地は素晴らしく快適であり、硬めの乗り心地であっても、ボディ剛性、足まわり剛性の高さから、ショックを一発で吸収し、不快になるようなことはまずない。



が、日本車でも、かつての欧州車を意識しすぎたからか、乗り心地がかなりハードなクルマも存在する(した)。

メーカーの開発者の言葉を借りれば「アウトバーンの200km/hでもしっかり走るための足まわりです」とか豪語するものの、ここは日本。ファミリーも乗るようなクルマにとっては、そんなことより、日常の速度域で、硬い、柔らかい、ではなく、快適な乗り心地であるべきなのだ。



最近では、ファミリーユースのクルマで不愉快になるほど硬い乗り心地を示すクルマは、さすがにない。ここでは過去にあった、乗り心地の硬すぎた実用車を紹介したい。



1)ホンダ・オデッセイ アブソルート

まず、思いつくのは、ファミリーカーとしても大人気のはずのミニバンながら、ライバルメーカーのミニバン開発担当者から「ミニバンの皮をかぶったスポーツカー」と揶揄された、専用サス、エンジンを積む5代目オデッセイのアブソルートだ。これは初期型の話だが、サーキットでも攻められるほどハードで、路面によってはガツガツ、ゴツゴツするような、女子供に拒絶されるような乗り味を示したのだ。



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そうした乗り心地を好む、3代目以降の低全高オデッセイ・アブソルートユーザーもいたにはいたはずだが、何も知らずにカッコいい両側スライドミニバンだと信じて買ったファミリーにとっては、全席、全列ともに、スポーティを通り越した、乗り心地が硬すぎるミニバンだったのである(だからスポーティに走れるのだが)。



硬すぎる「足」に家族も唖然! 走りを追求するために「やりすぎた」国産ファミリーモデル4選



実際、つい最近、初期型アブソルートの中古車を買った知り合いも、本人はともかく、同乗者となる家族からは大ブーイングだそう。乗り心地をよくする方法を思案中とのことだ。もちろん、同じ5代目アブソルートでも、最新モデルの乗り心地はずいぶん洗練されているから心配無用だが……。



2)ホンダ・ヴェゼル

ホンダは比較的欧州志向の乗り心地を好む自動車メーカーでもあったのだが(過去形)、国産クロスオーバーSUVのさきがけの1台ともなった、5代目オデッセイとほぼ同時期の2013年末に発売されたヴェゼルの初期型もまた、硬さ命!? のようなクルマだったと記憶している。どうやら、2013年前後のホンダのクルマづくりの考え方が、そうだったのかもしれない。



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スポーティな乗り味がトレンドだった時代もあった

3)トヨタbB

トヨタでは初代bBの乗り心地も相当硬かった。走りというより、オートサロンでデビューした経緯もあり、ドレスアップ、カスタマイズ前提!? の若者向けコンパクトカーであり、快適性など二の次だったということだろう。実際、bBのコンセプトに共感するユーザーから「乗り心地が硬すぎる」というクレームは出なかったそうだが、なにも知らずにカッコいいコンパクトカーだと思って手に入れたオヤジにとっては、ビンビンすぎる乗り心地と感じられたようだ。



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4)トヨタ・ウィッシュ

トヨタでは、2003年に登場し、ミニバンブームの後押しもあって空前のヒット作となった初代ウィッシュも、5ナンバーサイズのリヤヒンジ式3列シートミニバンながら、ガッチリとした硬めの乗り心地が身の上だった。その理由のひとつとして考えられるのは、2000年にホンダがストリームという5ナンバーサイズのリヤヒンジ式3列シートミニバンを発売し、売れまくったこともあるだろう。



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ストリームの乗り心地はやはり過去のホンダ車らしく、ファミリーミニバンとしては低重心を生かしたスポーティな方向に振られ、けっこう硬めの乗り心地でもヒットし、受け入れられたため、そんなスポーティな乗り味が時代のトレンドだったのかも知れない。



今では激安価格で手に入る、そうした車種の初期型を狙うなら、たとえ硬めの乗り味が好みのドライバーであっても、ファミリーカーとして使うのなら、後席でも試乗し、また家族も乗せて判断したいところ。家族からソッポを向かけるようなファミリーカーを買ってしまったら、多くの場合、取り返しがつかない!? からだ。



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例えば、5代目オデッセイの中古車を狙うとしても、先進運転支援機能のHONDA SENSINGが備わった後の、マイナ―チェンジでハイブリッドモデルが追加された、乗り心地面でも洗練された2016年2月以降のモデルを選べば問題ないだろう。タイヤもオプションの大径ではなく、標準サイズのほうが乗り心地面で有利ということも、お忘れなく。



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