デザインが強烈すぎて忘れられないクルマたち
今も昔も日本車はデザインがつまらないとか、輸入車のほうが個性的なデザインをしていると言われることが多い。実際保守的なデザインが目立つ車種が存在していることも事実ではあるが、じつは国産車でも超絶個性的なデザインをまとってリリースされたモデルも存在しているのだ。今回はそんな賛否両論巻き起こった個性的なデザインをもった日本車を独断と偏見でご紹介しよう。
1)トヨタ・シエンタ(2代目)
5ナンバーサイズながらスライドドアと3列シートを備えるモデルとして、ヤングファミリー層を中心にスマッシュヒットとなったシエンタ。初代モデルは途中、他車種にバトンを託して生産終了するも、その車両が予想以上の販売不振で再登場するなど、紆余曲折を経たモデルとしても知られている。
そして2015年には2代目へとフルモデルチェンジ。5ナンバーサイズでスライドドアと3列シートを持つというコンセプトはそのままだったが、デザインがトレッキングシューズをイメージしたものへと大きく変貌。とくに前後ライトに繋がるようにデザインされたガーニッシュは賛否両論となった。
しかし気づけば月間販売台数ランキングのトップを飾るほど売れた2代目シエンタは、すっかり日常に溶け込んでおり、今ではまったく違和感を覚えなくなっている。
コンセプトカーそのままの衝撃デザイン!
2)いすゞ ビークロス
1993年の東京モーターショーに参考出品されたヴィークロスは、ジェミニのシャーシを流用した比較的コンパクトな今でいうクロスオーバーSUVだった。そのデザインは有機的にラウンドしたボディラインやスペアタイヤを内蔵したリヤゲート、大型の樹脂製オーバーフェンダーなど未来感の溢れるデザインとなっていた。
と、ここまではコンセプトカーにはよくある話であり、そのまま市販車になるということはほとんどない、というのが一般論。しかし、1979年に発表されたコンセプトモデル、アッソ・ディ・フィオーリをほぼそのままの形でピアッツァとして販売したいすゞは、ヴィークロスもほぼそのままのデザインで1997年に販売したのである。

名前こそヴィークロスからビークロスへと変わり、ベースもジェミニからビッグホーン系に変更されてボディサイズは拡大されたものの、コンセプトカーそのもののデザインで市販された同車は大きなインパクトを与えたのだった。
3)三菱 ミニカトッポ
1989年の東京モーターショーに参考出品され、翌年に市販がスタートしたミニカトッポは、7代目ミニカをベースにキャビン部分を圧倒的に背の高い形状にした特徴的なモデル。すでに軽自動車枠いっぱいまで拡大されていたボディを天地方向に拡大し、当時の同社の軽バンであるミニキャブ(標準ルーフ)よりも全高が高くなっていた。

当時はその頭上空間は無駄という意見が多く(着座位置のアップやオーバーヘッドシェルフの装着はされていたが)、母親と子ども向けの特別仕様車などもリリースされていたが、そこまでの大ヒット車種とはならなかった。
しかし、現在ではN-BOXをはじめとするスーパーハイト軽ワゴンが市場を席捲しているのはご存じのとおりで、時代を先取りしすぎてしまった1台といえるのではないだろうか。