役どころとピッタリの車種選択!

櫻井 翔さん演じるポンコツ探偵と、広瀬すずさん演じる天才的助手が難解な事件を解決していく、ハラハラドキドキ笑いあり涙ありの連続ドラマ『ネメシス』。回を追うごとに人気を博し、地上波では惜しまれながら最終回を迎えました。



ネメシスとは探偵事務所の名前なのですが、じつはクルマ好きの間で密かに盛り上がっていたのが、その劇中に登場するクルマたちがシブい、カッコいい、センスがいいということ。



近年はその番組のスポンサーに義理立てするように、どうみても主人公には似合わないクルマを愛車という設定にしていたり、作り手がクルマなんてなんでもいいと思っているように感じる番組も目立っていたのが正直なところですが、『ネメシス』は役柄に対して「この人ならこれに乗りそう!」とか、「え~っ、意外な組み合わせだけどすごくいい!」という車種選択。それが、ドラマの個性やリアリティのアップにも貢献していたのではないかと、クルマ好きとしては嬉しくなったのでした。



登場したうちの1台は、江口洋介さん演じる探偵事務所ネメシスのボスが乗り、たびたび事件解決に向けて大活躍をする、アメリカンSUVのシボレー・サバーバン・シルバラード。あえてビカビカじゃなく、いい感じのヤレ加減にしているところに、演出家さんのこだわりを感じます。



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サバーバンといえば、初代が登場したのは1935年。そこから現在まで、アメリカでもっとも長く同名で製造されているモデルとなっています。ピックアップのフレームをベースとして、商用バンと乗用車が設定されていて、当時から3列シート8人乗りがありました。バックゲートは観音開きと上下開きの2タイプが設定されていて、大衆のためのクルマづくりを得意とするシボレーらしいモデルだと感じます。



ドラマ「ネメシス」に登場した「マニアを驚嘆させた」2台の劇中車の正体とは



ドラマに登場したのは、1973年から1991年までなんと18年間も作られていた、7世代目のサバーバン。この世代は角と直線を強調した大きな箱型のボディフォルムが特徴で、縦目4灯のフロントフェイスは80年代後半、おそらく88~89年くらいのものだと思いますが、サバーバンやブレイザーといったモデルは90年代の最終型のフロントマスクを1つ前のフロントマスクにフェイススワップすることも好まれるため、もしかすると最終型かもしれないですね。バックゲートは希少な観音開きタイプ。オプション設定だった3列シートが装着されています。

いかにも往年のアメリカンSUVらしい、グレーのモコモコしたシートは画面で見る限りなかなか状態が良さそうでした。



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この世代のサバーバンにはガソリンエンジンだけでも豊富な種類が搭載されていて、4.1リッターの直6から5リッター、5.7リッター、6.6リッター、7.4リッターのV8と大排気量のオンパレード。このモデルに搭載されているのは5.7リッター・V8の「TBI」と呼ばれるエンジンで、キャブからインジェクションに変わって間もないものですが、シボレーの多くのモデルに搭載されている信頼性の高いエンジンと言われています。ゴォォ~っという轟音をあげて走り去る姿は、本当にワイルドでカッコいいですね。



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走り屋からの支持も厚い「名ドリ車」も登場!

さて、大島優子さん演じる美人女医。じつはものすごいスピード狂で、なんと愛車は太いタイヤがハの字を切っている車高ペタペタのドリフト車! ということでギャップ萌え続出でしたが、この真っ赤なドリ車の正体はトヨタ・マークIIです。2019年に惜しまれつつ生産終了してしまったミドルセダン、マークXの前身として1968年から2004年まで製造されていました。



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1980年代後半のバブル絶頂期には、チェイサー、クレスタとともに「マークII3兄弟」と呼ばれて一大ブームを巻き起こし、手頃なボディサイズでFRのMTがあるということで、じつは走り屋からも支持が厚いモデルでもあったのです。



ドラマに登場するのは、そのなかでも1992年に登場したJZX90型に新たに設定された「ツアラーV」。2.5リッター直列6気筒のツインターボエンジンは280馬力を発揮し、5速MTにはトルセンLSDが標準装備されていたということで、確かにドリ車ベースに打ってつけ。レッドペイントされた外観で、ノーマルの様相をとどめているのはサイドミラーくらいで、フルエアロにリベット留めのオーバーフェンダー、大径タイヤにマフラーというビカビカの仕上がり。室内にはロールケージが仕込んでありました。



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ハンドルを握ると人が変わり、不敵な笑みを浮かべながら爆走する大島優子さんの姿に、ネット上では感嘆の声や応援メッセージが飛び交っていましたね。このドリ車で向かった先の群馬県太田市にある結婚式場、「ロイヤルチェスター太田」も話題となり、今後はドラマの聖地となるかもしれません。



おおいにドラマを盛り上げた名脇役のクルマたち。その勇姿は地上波では放送が終了しましたが、Huluなどネット配信では引き続き見られますので、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

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