どの指標でもトヨタが圧倒的な規模を誇っている
自動車産業は日本の基幹産業。トヨタは販売世界一の自動車メーカーであることも知られている。2020年の販売規模は952万台で2位はフォルクスワーゲンだ。
では、国産自動車メーカーの規模感はどうなっているのか。まずは、時価総額のランキングから確認してみよう。なお、ダイハツはトヨタの完全子会社で上場していないため7社のランキングとなる。
前述したように、時価総額が株価に連動して日々変動しているので、規模感が理解できるよう2021年7月第一週を参考にしておおよその数字に丸めてみた。あらためて並べてみると、国産メーカーではトヨタが圧倒的な存在であることに驚かされる。そして7社の時価総額を見ていて、意外に感じるのは、先ごろ引退した鈴木 修・前会長が「うちは中小企業」と言い続けてきたスズキの時価総額が日産とほぼ並んでいること。日産の株価が4年前と比べて半分程度に低迷していることも影響しているだろうが、国内販売台数ランキングをみれば、この結果も納得できるはずだ。

直近の数字を見るべく、2021年上半期(1月~6月)の国内販売台数をランキングにしてみた。なお、自販連の発表する登録車のメーカー別統計データと、全軽自協による軽自動車の統計データをもとに、独自に計算したものだ。
これは日本の街なかで見かける新車の比率に近いといえ、肌感覚での"売れている自動車メーカー"を示すランキングといえるだろう。そして、知っている人にとっては驚くことではないが、いま国内販売でいえば2位はスズキである。
企業規模とブランド価値はイコールではない
こうやって数字で並べると上位5社と下位3社で販売規模感が大きく異なっている。自動車業界の再編というのはよく言われるテーマだが、このランキングを眺めていると、たしかにアライアンスを組まないと生き残るのが難しい規模のメーカーもあるということが感じられるのではないだろうか。
とはいえ、自動車というのは高額商品であって、価格の幅も広い。つまり販売が売上高に比例するわけではない。最後に、各社の売上高をランキングにして整理してみよう。

ここでは、各社が2020年度の決算で発表した数字を並べてみた。気を付けてほしいのは、各社は自動車以外のビジネスも展開していることだ。ご存知のように、ホンダとスズキは二輪事業をグローバルに展開しているし、SUBARUが航空機事業を手掛けていることも知られている。企業としての売上高にはそうしたさまざまな事業が含まれる。
そして、ここではSUBARUが健闘しているのに注目したい。SUBARUのラインアップはOEMを除くと、エントリーがCセグメントのインプレッサとなっていて、付加価値商品であるSUVがメインとなっている。
ほかにもさまざまな指標で自動車メーカーをランキングすることはできるだろう。おそらくほとんどの指標でトヨタが圧倒的となるはずだ。ただし、ここに並べた3つの指標においても国内販売でスズキが2位だったり、グローバル売上高でSUBARUが4位だったりと、各社のポジションは指標によって変わってくるのも興味深いところだ。
もちろん、企業規模と商品力は別物であるので、ここで紹介したランキングはブランド価値を単純に示すものではないことにはご留意いただきたい。