この記事をまとめると
■かつての輸入車は左ハンドルが当たり前だった



■しかし今では右ハンドル仕様のモデルが多く存在



■右ハンドル仕様のモデルの違和感の有無について解説する



過去には走りに違和感を感じたモデルも存在した

かつての輸入車は、左ハンドルが当たり前だった。そう、右側通行の本国を走る仕様のまま、輸入されていたのだ。しかし、ポルシェのように空冷時代から右ハンドル仕様の導入に積極的な自動車メーカーもあり、今では日本において使いやすく、多くの人に売りやすい(乗りやすい)右ハンドル仕様の輸入車が激増。

あのスポーツカーのポルシェでさえ、今では基本、右ハンドルで輸入されているのである(新型導入時、またはスーパーモデルに一部、左ハンドルモデルがあることも)。



何しろ、アメリカンスーパースポーツのシボレー・コルベットでさえ、最新の8代目ではついに右ハンドル仕様で輸入され、コクピットは見事に右ハンドル用にデザインされているのだから、時代は変わったものだ……と昔を懐かしむコルベットファン、アメ車ファンもいるはずである。



左ハンドルの国のクルマの右ハンドル仕様! いまでも残る「使い...の画像はこちら >>



しかし、本国で左ハンドル仕様が基準となる輸入車の右ハンドル仕様に、オリジナルと異なる運転感覚、使い勝手があったりするのも事実。かつて、数年間、GMの仕事で年に1回、アメリカに渡り、翌年モデルを本国で試乗する「ロングリード」というイベントに参加していたことがあるのだが、ある年、キャデラック・セビル初の右ハンドル仕様をチェックするために渡米したことがある。



たしかにハンドルは右に付いていたのだが、同時に本国仕様の左ハンドルモデルと乗り比べると、ペダルレイアウトやブレーキフィール(配管の違いによる)に違和感を覚え、左側通行、右ハンドルの国の日本人ジャーナリストとして「改良の余地あり」と、恐れ多くも進言したことがあった。



左ハンドルの国のクルマの右ハンドル仕様! いまでも残る「使いづらさ」とは



それは、ほかの輸入車でも多かれ少なかれある現象で、空冷964時代のポルシェの右ハンドル仕様を思い出せば、ペダルの間隔、左足で踏ん張ることになるフットレストのスペースの幅が狭い……など、左ハンドルモデルとの運転感覚の違いは確かにあったのだ。



左ハンドルの国のクルマの右ハンドル仕様! いまでも残る「使いづらさ」とは



とはいえ、現在の輸入車の右ハンドル仕様は、ハンドル位置を途中でスイッチした追加モデルではなく、開発当初から右ハンドル仕様を開発、設計しているため、ほぼきっちり右ハンドル化されているのが普通で、運転感覚に関して、まず差がないように作られていると思っていいだろう。当然、左右のハンドル位置の両方でテスト走行も行っているのである。



スイッチ操作などには左ハンドル仕様の名残があるモデルも

が、多少、左ハンドル仕様の名残!? があるクルマもないではない。今では電子パーキングブレーキが主流だが、レバー式のサイドブレーキの場合、左ハンドル仕様のまま、左ハンドルのドライバーに近いセンターコンソール左側に付いていると、右ハンドル、右側の運転席からは遠くなり(センターコンソールの向こう側にある)、操作しにくいこともある(特に車幅、室内幅のあるクルマ)。



最近のインフォテインメントシステムは、細かいタッチや文字入力を行うケースもあるのだが、そのスイッチ、キーボードが左ハンドル仕様のままだと、これまた操作、入力しにくくなったりするから困りものである。右利きの人にとって、左手の細かい操作があまり得意ではないからでもある。



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まるで、間違い探しのようなスイッチレイアウトの一例として、アルピーヌA110を紹介したい。日本仕様はけっこうしっかり右ハンドル化されているのだが、ボタン式のギヤセレクターの位置が、じつは左ハンドル仕様のままだったりするのだ。具体的には、センターコンソール前端に3つのボタンがあり、左が「D」レンジ、右が「R」、中央上に「N」レンジをレイアウトするのが本国仕様である。つまり、左ハンドル仕様の左側のドライバー席からすると、近いほうに「D」レンジがある。が、右ハンドル仕様でもそのままのレイアウトを踏襲しているため、3つのボタンの右下のドライバーに近いほうが「R」レンジボタンになってしまうのだ。これは左右逆であってほしいです…… (Nレンジボタンはセンターにあるので右左ハンドルで使い勝手は不変)。



左ハンドルの国のクルマの右ハンドル仕様! いまでも残る「使いづらさ」とは



また、すでに最新のシボレー・コルベットが、見事に右ハンドル化されていると紹介したところだが、センターコンソール手前端にびっしりと並ぶスイッチ類の操作は、右利きの人なら、むしろ左ハンドル仕様の、右手で操作できるレイアウトのほうが使いやすいと思えるかもしれない。右ハンドル仕様は、もちろん左手で操作することになるからだ。また、左ハンドルが基本のMT車のバックギヤの操作が、右ハンドル仕様だとしにくい(手の動きが不自然になる!?)……と感じる人もいるはずである。



左ハンドルの国のクルマの右ハンドル仕様! いまでも残る「使いづらさ」とは



もっとも、左/右ハンドルでハンドリング特性が異なるようなクルマは、今はないに等しく、スイッチの位置などは、ウインカーとワイパーレバーの位置がそうであるように、1台のクルマに乗っている限りは、すぐに慣れるというものではないだろうか。もちろん、日本でクルマに乗る上では、右ハンドルのほうが圧倒的に使いやすいことは言うまでもない。



そうそう、左側通行の英国車(BMWミニを含む)のウインカーが、ほかの輸入車同様に左側なのは、それが国際基準だから。

日本車のウインカーが右側にあるのは、日本のガラパゴス的独自基準が理由。ちなみに、BMW Z4と兄弟車のトヨタ・スープラのウインカーの位置が、Z4と同じ左側なのは、世界基準の踏襲だけでなく、開発コスト低減が理由だそうだ……。Z4と違う右側にわざわざ移すのには、ある意味、無駄なコストがかかる、ということらしい。

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