この記事をまとめると
■かつて世界の王者であったGMが抱えるブランドは4ブランドに整理された■日本メーカーで最多はトヨタが5ブランドを抱えている
■現在もっとも多くのブランドを抱えるのは捨てランティスでその数14
日本でもっとも多くのブランドを抱えているトヨタ
1000万台クラブ(年間の世界販売台数が1000万台規模であること)に入会することが自動車メーカーの生き残りには必須といわれていた時代があった。最近は1000万台クラブという言葉こそ使わなくなったが、CASE時代の様々な分野においてスケールメリットは欠かせないポイントで、自動車メーカーがアライアンスを組むという流れは止まることはない。
アライアンスを組むようになると、意外なブランドが同門であったりするケースも出てくる。
まずはアメリカ代表のGM(ゼネラルモーターズ)。もともと20世紀初頭に、複数の自動車ブランドを買収することで巨大メーカーとなったというルーツを持つ同社だけに、その傘下には多数のブランドを抱えていた。日本車のブランドでも、スバル、いすゞ、スズキとは資本提携を結んでいたことは記憶に新しい。
現在は、かなりブランドを整理しているが、それでもプレミアムブランドの「キャデラック」、スポーティな「シボレー」、ピックアップ中心の「GMC」、そしてGMのルーツとなる「ビュイック」の4ブランドを有している。このうち日本に正規導入されているのはキャデラックとシボレー。アメリカンスポーツカーの代名詞といえるシボレー・コルベットがミッドシップに生まれ変わり、初の右ハンドル仕様が導入されたのは2021年の話だ。

日本の自動車メーカーは資本提携や事業提携などのアライアンスを組みつつ、緩く連携している印象もあるが、さすがにトヨタは複数ブランドを抱えている。トヨタ自身、トヨタとレクサス、そして最近ではGRを独立したブランドとしてアピールしている上に、連結決算対象となっている商用車メーカーの日野自動車、そして2016年に完全子会社化したダイハツもトヨタグループだ。

これらを合計するとグループで5ブランドを抱えていることになる。意外に多くのブランドがひとつのグループになっているのだ。
ちなみにアライアンスといえばルノー日産三菱自動車を思い浮かべるが、このアライアンス傘下には、ルノー/日産/三菱/ダチア/ラダ/ルノーサムスン/アルピーヌ/インフィニティ/ダットサンと10のブランドが存在していたりする。

ステランティスは最多となる14ブランドを抱えている
そのまま欧州に目を向ければ、巨大な自動車メーカーとしてまず思い浮かべるのはフォルクスワーゲン・グループだろう。資本関係は複雑なので整理は難しい部分もあるが、同グループ傘下のブランドを並べると、フォルクスワーゲン/シュコダ/セアト/クプラ/アウディ/ランボルギーニ/ベントレー/ポルシェと錚々たるブランドが並ぶ。そして二輪メーカーのドゥカティもフォルクスワーゲン・グループに属している。

グループのリソースを最大限に活かしたラインアップとしつつ、各ブランドの価値を毀損しないマーケティングをしているのが、このグループの特徴。たとえば、フォルクスワーゲン・トゥアレグ、アウディQ7、ポルシェ・カイエン、ベントレー・ベンテイガは同じプラットフォームで、同じスロバキアの工場で生産されているが、それらを兄弟車と認識しているユーザーはそれほどいないだろう。明確にブランド価値をわけることで、しっかりとした成長戦略を掲げているのが、フォルクスワーゲン・グループなのだ。

そして、現時点でおそらく最多ブランドを抱えているのが2021年1月に誕生したステランティスだ。ご存知のように、ステランティスはFCA(フィアットクライスラー)とPSA(プジョーシトロエン)が合併して生まれている。

つまり、それぞれの企業が擁していたブランドがひとつにまとまっているということで、その数なんと14ブランドにもなる。
アルファベット順に並べると、アバルト/アルファロメオ/クライスラー/シトロエン/ダッジ/DS/フィアット/ジープ/ランチア/マセラティ/オペル/プジョー/ラム/ボクスホール。一気に紹介すると息が切れそうになるが、それにしても多彩なブランドが集まっているのは、ある意味壮観だ。
ルーツごとに整理すると、フィアット系ブランドといえるのがアバルト/アルファロメオ/フィアット/ランチア/マセラティ、クライスラー系がクライスラー/ダッジ/ジープ/ラム。それ以外はPSA由来と捉えていいが、オペルおよびボクスホールは過去にはGMの傘下だったこともあるブランドだ。

ちなみに、スーパーカーの象徴ともいえるブランド「フェラーリ」は、かつてフィアット傘下だった時期もあるが、現在は一応独立した企業ということになっているので、ステランティス傘下には含まれない。
