この記事をまとめると
■センターメーターは初代プリウスに搭載されて以降、採用車種が増えた



■しかし現在は廃れており、モデルチェンジの際に元に戻すクルマが増えた



■流行と消滅の理由について解説する



1997年に登場した初代プリウスが採用

スピードメーターやタコメーター、燃料系などの計器類をダッシュボードの中央に配置するセンターメーター。



1950年代のイギリス車、ミニ(BMC)などが、右ハンドルと左ハンドルでも共用できるということで採用したのがルーツとされる。



国内では1997年に登場したトヨタ初代プリウスが採用し、以後一時的に採用車種が増えていった。



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そうしたセンターメーターのメリットは次のとおり。



・従来方式よりも視線と焦点移動量が少なく見やすい



・国内仕様(右ハンドル)でも、輸出仕様(左ハンドル)でも共用でき、合理的でコストダウンにつながる



・メーター類がステアリングの陰にならない



・未来的なイメージがある



というわけで、初代プリウスを皮切りに、「ヴィッツ」「dB」「エスティマ」のトヨタ車や、「タント」「ムーヴ」といったダイハツ車、スズキの「ソリオ」「ワゴンR」などでもセンターメーターが採用され、メジャーになっていくかと思われたが、2010年以降、モデルチェンジに合わせて従来の運転席前のメーター配置に戻すクルマが増えてきている。



どうしてセンターメーターは廃れはじめてしまったのか?



登場時の新鮮味は薄れてしまった

一言でいえば、あまり評判がよくなかったというのが一番の理由だろう。



初代プリウスが出たときは「新しい」と思えたセンターメーターだったが、10年も経てば新鮮味は薄れる。しかも高級車やスポーツカーに採用される例はなく、コンパクトカーやエントリーモデルなど、安価なクルマへの採用が目立ったので、イメージアップにつながらず、むしろ「コストダウンのため」と思われている節もある。



さらにセンターメーターだと、どの座席からでも容易に視認できるので、ドライバー以外の他の乗員から「速度の出し過ぎだ」とか「遅い」と小言を言われる煩わしさも!



また宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999などで、いわゆる「零士メーター」が未来のメーターと刷り込まれたおじさん世代には、のっぺりしたディスプレイタイプのセンターメーターは魅力的に思えないのかもしれない。



一発屋並のブームで終わった! クルマの「センターメーター」がほぼ消滅した理由とは



SNSなどを見ても、「センターメーター嫌い」「センターメーター ダサい」「センターメーター 不評」といったネガティブなフレーズがけっこう目につく。



不便といった声よりも、「嫌い」とか「かっこ悪い」といった主観的な意見が目立つが、こうした声にメーカーが敏感に反応している部分はあるはずだ。



機能的にもメーカー側は「センターメーターは視線・焦点移動量が少なく見やすい」とその長所をアピールしていたが、視線を左右に動かすのは不自然で違和感があり、通常のメーターのように視線を上下に動かしたほうがラクだというドライバーは多い。



その上、言語的にも「横目に見る」「横目遣い」というのはネガティブな印象しかないし、「人の話を聞くときは、相手の目を見ること」と躾けられた育ちのいいドライバーとしては、やはりメーター(=クルマ)とは、正面から向き合いたいもの!?



これらの理由が複合的に重なって、センターメーターを支持するユーザーは少数派で、支持者が少なければ普及も進まない……。



しかるがゆえに、センターメーター採用車が減りつつあるのが現状だ。

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