この記事をまとめると
■タイヤは経年劣化する



■では未使用の古いタイヤを見つけた場合、履くことはできないのか



■判断基準について解説する



劣化は走行中の発熱と荷重などタイヤにかかる力が主な原因

一台で3万点もある自動車部品のなかで、劣化が早いと言われているのが、ゴム製品と樹脂パーツ。とくに柔軟性が大事なゴムパーツはナマモノで、製造してから時間が経つにつれゴムが硬化し性能が劣化していくと思っていい。



というわけで、タイヤは1週間でも鮮度がいいものが望ましい(タイヤはサイドウォールに、製造年・製造週が刻印されている)。



倉庫に眠っていた「未使用の古いタイヤ」! 見た目は新品同様だ...の画像はこちら >>



一方で、タイヤの劣化は、走行中の発熱と荷重などタイヤにかかる力が主な原因で、未使用のタイヤを高温多湿、直射日光を避けた、倉庫などでの適正保管した場合、タイヤ性能に関わるゴムの性能低下は、ほとんど進まないこともわかっている。



ブリヂストンの実験でも、夏タイヤ、スタッドレスタイヤともに、適正に保管された乗用車用夏タイヤは、3年間は同等の性能を保つことが確認されているので、少なくとも製造から3年以内の未使用タイヤで、倉庫内で適正保管されていたものなら、性能低下、品質低下は誤差の範囲と考えてもいいようだ。



ちなみに、ブリヂストンをはじめ日本の大手タイヤメーカーでは、製造から3年を経過したタイヤは出荷せずに、廃棄処分(リサイクル)するのが通例。



製造から3年を過ぎると、徐々に性能低下が進行しはじめるのと、出荷した場合、さらにそこからユーザーが数年間使用する可能性があるため。



製造後10年以上経過したタイヤは廃棄した方が賢明

では個人が倉庫で保管していた5年前、10年前の未使用タイヤだったらどうすればいいのか。



5年程度なら、装着する前にタイヤ専門店に持っていき、継続使用に適しているかどうか点検してもらおう。点検で問題がなければ使用可能だが、できるだけ短期間で使い切るのが望ましい。



製造後10年以上経過したタイヤは、見た目が新品のまんまでも、もう廃棄処分にした方が賢明。保管場所の環境が良かったとしても、数年間、タイヤを積んだまま動かしていなかったとすれば、縦積み・横積みにかかわらず、ヘンな潰れ癖がついているはずだし、ホコリだってタイヤを傷める原因になるはず。



倉庫に眠っていた「未使用の古いタイヤ」! 見た目は新品同様だけど使用期限はあるのか?



それ以上に、タイヤの技術は日進月歩で、5年以上前のタイヤと最新のタイヤとでは、ドライグリップ、ウエットグリップ、乗り心地、燃費性能、耐摩耗性などに大きな差がある。極端な話、10年前、20年前の高性能タイヤは、いまのタクシータイヤだと思っていいほどだ。



とくにスタッドレスタイヤは、1シーズンごとに性能がどんどん向上しているので、たとえ未使用でも数年前のタイヤを装着するメリットはほとんどない。



というわけで、性能劣化だけでなく、タイヤの進歩を考えれば、タイヤは製造から3年以内のものを装着するのが正解だ。

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