この記事をまとめると
■日本は輸入車のディーゼルモデルを積極的に投入している



■ドイツ車ではとくにディーゼルモデルが人気



■その理由について解説する



日本は輸入車のディーゼルモデルを積極的に投入

日本ではいまだにドイツ車を中心として“欧州車=ディーゼル”というのが定番となっている。本場欧州では2015年にVW(フォルクスワーゲン)のディーゼル車に関する不正事件が発覚すると、それまでのディーゼル一辺倒というトレンドが変化し、副産物というわけではないが、それまではあまり注目されなかったトヨタのTHS(ガソリンハイブリッドシステム)搭載車がよく売れるようになり、その後欧州各ブランドはBEV(バッテリー電気自動)へ大きく舵を切り、2035年までにはEU域内において内燃機関車の全面販売禁止が本決まりになろうとしている。



そのようななか、前述したように日本ではいまだに“欧州車ならばディーゼルに乗るべし”のような風潮が目立っている。



欧州市場がゼロエミッション化へ向かうなか、自動車市場で世界一位である中国では、全土レベルで見れば軽油の品質に問題があるともいわれており、クリーンディーゼル車の導入はなかなか難しいと聞いたことがある。世界第二位のアメリカでは、軽油がガソリンより高く、ディーゼル車に乗るのはインテリジェンスの高い富裕層が乗るような印象が強く、乗用車レベルでは広範囲な普及は期待できない。



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世界第三位の市場となる日本でも、欧州クリーンディーゼル車に乗るユーザーは、その程度こそ差があるものの、所得に余裕があるひとたちとなるが、日本ではコアな輸入車ユーザーほど“値引き販売はしてほしくない”とする人も多い(一定レベル以上のモデルでは資産的価値が目減りするので値引き販売が嫌がられている)。販売台数がそこそこであっても台当たり利益が期待できるので(そもそも日本で販売される輸入車の多くは現地で販売される標準的モデルに比べるとオプションてんこ盛りのケースが多く、儲かるとされている)、日本市場にいまだにディーゼル車を積極的に投入していると筆者は考えている。



ドイツ車ではとくにディーゼルモデルが人気

ただ、そんな欧州ブランドも昨今ではBEV(バッテリー電気自動車)も日本市場に積極投入している。日系ブランドが世界的にBEVのラインアップで出遅れているので、BEVでは日本市場に勝機があると考えているのは間違いないだろう。

日本車に選択肢がほとんどないのだから、ラインアップしておけばBEVに興味があるひとが輸入車に注目するのは自然の流れ。



そうなると、“まだBEVは早いなあ(価格も高いし)”と考えていて輸入車の購入を検討するときに、“ガソリンを選ぶのと、ディーゼルを選ぶのとではどちらがいいのかなあ”と筆者はふと疑問に思っていた。そこで、某輸入車ディーラーでその質問をセールスマンにぶつけてみると、「まさにイマドキといえますが、たとえば一世代前ぐらいのモデルのガソリン車から現行モデルのディーゼル車へお乗り換えになるお客様が目立ちますね。燃料代の問題が大きいようです」と話してくれた。そんなに差があるものなのかと考えていると、「欧州車はハイオク仕様となりますので、現状では軽油との差額は無視できませんよ」と付け加えてくれた。



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資源エネルギー庁が6月29日に発表した、“石油製品価格調査”では、6月27日に調査した全国平均のハイオクガソリン1リッターあたりの価格は186円、一方軽油は155円となっており、その差は31円。

たとえばメルセデスベンツC200アバンギャルドのタンク容量は66リッターなので、1回満タンにするごとにハイオクに比べ軽油の場合は2046円燃料代が安く済むことになる。富裕層とはいえ油種の違いだけで、満タンごとに2000円強も差がつくのは見過ごせないだろう。



今後を見通すのはなかなか難しいが、現状では前述したとおり、とくにドイツ車ではディーゼル車が好んで乗られている。中古車として再販する際のリセールバリューもディーゼル車のほうが期待できるので(いまの燃料費高騰が長引けば数年スパンでディーゼル車への期待はますます高まるだろう)、昨今の異常な燃料費高騰も手伝って、ガソリン車からディーゼル車へ乗り換える傾向が目立っているようである。納期についても、日本車の人気ハイブリッド車ほど極端に遅延することなく、大半は半年ほどで収まっているようなので、そもそもブランドステイタスの高い輸入ディーゼル車というのは、現状では賢い選択肢といえるかもしれない。