この記事をまとめると
■アメリカのディーラー街について解説する



■かつて賑わっていたオートモールだが、いまは寂しい状況だ



■アメリカの自動車を取り巻く環境は今後変化していくだろう



アメリカにはオートモールというディーラー街がある

日本にはディーラー街などと呼ばれる地域がある。どのような場所かというと、メーカー系正規ディーラーが隣三軒両隣ではないが、密集している地域のことである。たとえば埼玉県さいたま市の国道17号沿線のある区間にはメーカー系正規ディーラーが林立し、古くからディーラー街として有名だが、ここはかつて近くに関東運輸局埼玉運輸支局(いまは移転)があったためディーラーが集中したともいわれている。



由来はいろいろあるが、幹線道路沿いなど日本のいたるところにディーラー街は存在する。ポツンと建っているよりは、集まっていたほうが集客効果は高いということなどもあるようだ。日本の場合は自然発生的に集まっているのがほとんどだと認識している。



アメリカでは幹線道路わきに店舗を構えるディーラーもあるが、“オートモール”というディーラー街が形成されていることも多い。ロサンゼルス国際空港から近い、セリトスオートスクエアは、その先駆けともいっていい古くからあるオートモールとなる。ここはセリトス市が整備して新車ディーラーを呼び込んだと聞いている。セリトスオートスクエアはI-605(インタステート/州間高速道路605号)線の出口近くにある。ほかの多くのオートモールも、日本でいうところの工業団地のような風情があるので、行政がなんらかの形で整備し誘致しているものと考えられる。



かつて週末はお祭り状態だった! アメリカの新車ディーラー街「...の画像はこちら >>



今後ディーラーやオートショーのあり方は大きく変化する

かつて週末にオートモールへ出かけると、それこそお祭り状態であった。アメリカで新車を買うときには、ローンやリースの審査に時間がかかることもあり、ディーラー敷地内にホットドッグなどの軽食を無料で配る屋台が出ていたり、子ども向けに遊具を大々的に置くディーラーなどがあった。試乗した新車を購入して乗って帰るのがアメリカ流の新車購入となるので(現状はだいぶ変わってきた)、大人は新車の試乗を楽しんでおり、本当に活気があった。



しかし、リーマンショックが起きたころからお祭り騒ぎは縮小化し、さらにコロナ禍直前あたりからは、オンライン販売が台頭し、週末にオートモールを訪れても活気というものはあまり感じなくなった。

さらに今年は半導体不足などで在庫販売メインのアメリカなのに在庫が少ない、つまり新車を買って乗って帰ることができないこともあり、より静まりかえっていた。



かつて週末はお祭り状態だった! アメリカの新車ディーラー街「オートモール」がいま静まり返っているワケ



先進国でオートショーの“オワコン化”が進んでいるように見える。オンライン販売が目立ってきたころは、実車のチェックはオートショーで行う人が多いとの話を聞いたが、オートショーがオワコン化していくとしたら、新車もいよいよ実車を見ずにオンラインで購入する時代が本格化するのだろうか。世界的に話題の新車が続々デビューするといったオートショーはオワコン化していくのだろうが、既販車を多く展示し、試乗をメインとしたオートショーにはまだ活路があるのかもしれない。「それならオートモールで済むじゃないか」との声もあるだろうが、そこには新車を売ることが仕事のセールスマンがいる。そうなると、セールスマンの売り込みが煩わしいという人が若い世代ほど多いので、オンライン販売というものが注目されているのである。今後のオートショーは、“販売されている新車を見せ、そして乗ってもらう場所”になっていくのかもしれない。



かつて週末はお祭り状態だった! アメリカの新車ディーラー街「オートモール」がいま静まり返っているワケ

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