この記事をまとめると
■ポルシェ911に人気モデルの「カレラT」が設定された■遮音材やリヤシートなど、走ることに必要のないものを取り去って軽量化を施したモデル
■7速マニュアルと8速PDKが用意されており、オプションの選択肢も豊富
爽快な走りを軽量化で実現したスポーティなモデル
ポルシェ911のモデルラインアップの中で、「T」の文字が与えられたモデルが初めて登場したのは1968年。「T」は「ツーリング」を意味しており、必要最低限の装備でコストダウンを図ったレースカーのベースモデルという位置づけだった。それ以降、911に「T」の文字が与えられたモデルは長く途絶えていたのだが、2017年、991型後期モデルに「カレラT」というモデル名で復活を果たした。
そんなポルシェ911カレラTが、992型911にも設定された。
911カレラTは、911のラインアップの中ではベースモデルの「カレラ」と「カレラS」の中間に位置づけられ、遮音材やリヤシートを省き、軽量ガラスや軽量バッテリーを採用したことで、車重は7速マニュアル仕様で1470kgを実現。これは、8速PDKを搭載する911カレラよりも35kg軽く、エントリーレベルのエンジンを搭載する911としては最軽量だ。そのほか、PASMスポーツサスペンションとスポーツクロノパッケージを標準装備し、リヤアクスルステアリングもオプション設定するなど、走るための装備に妥協をしていないのも特徴だ。
外装での911カレラTの識別ポイントは、随所にアクセントとして採用されたダークグレイのディテールだ。ドアミラーやドア下部のステッカーロゴ、リヤバッジ、リヤグリルトリムなどにアゲートグレーを採用し、フロントウインドウの最上部もグレーで着色。また、テールパイプはハイグロスブラックで塗装されることでダイナミックさを演出している。

そのほか、カレラTの専用装備として、フロント20インチ、リヤ21インチのチタニウムグレー カレラSホイールに、それぞれ245/35、305/30のタイヤを装着。また、スポーツエグゾーストシステムが標準装備になったことで、システムを作動させることによりさらにポルシェらしい咆哮を楽しむことも可能になった。

ボディカラーも豊富で、4色のソリッドカラー(ブラック、ホワイト、ガズーレッド、レーシングイエロー)と、4色のメタリックカラー(ディープブラック、ゲンチアンブルー、アイスグレー、GTシルバー)、そして5色の特別カラー(チョーク、ルビースターネオ、カーマインレッド、シャークブルー、パイソングリーン)を用意しているほか、110種類以上の色調の塗装から好きな色を選べる「ペイントトゥサンプル」プログラムも利用可能で、自分好みのカラーに塗装することもできる。
黒を用いたスポーティな印象の内装
内装では、電動の4ウェイスポーツシートプラスが標準装備され、マットブラックの装飾トリムの所々にハイグロスブラックを使用したことで引き締まった印象を与えている。

オプションも数多く設定されている。「カレラTインテリアパッケージ」を選べば、セーフティベルト、ステッチ、エンボス加工されたヘッドレストの911ロゴ、シートセンターのストライプが、スレートグレーまたはリザードグリーンに変更される。

加えて、リザードグリーンとスレートグレーのロゴとステッチを用いたフロアマットや電動18ウェイの「アダプティブスポーツシートプラス」、スポーツ性を高めた軽量フルバケットシートもオプションとして用意される。
さらに、こちらもオプションとなる「エクステンデッドレザーインテリア」では、センターコンソール、ドアパネルのアームレスト、ダッシュボード上部、ドアパネルトリムがレザーに変更される。
パワートレインは、911カレラ同様の3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力385馬力、最大トルク450Nmを発生させる。トランスミッションは7速MTと8速PDKが用意される。

911カレラTには、前述のとおり、さらにスポーティな走行が可能となるスポーツクロノパッケージと、車高が10mm低められたPASMスポーツサスペンションを標準装備するが、加えてリミテッドスリップリヤディファレンシャルを備えたポルシェトルクベクタリングも追加されており、これらの機能を385馬力のエンジンで堪能できるのは、911カレラTだけの特権となっている。さらに、オプションでカレラS以上のグレードにしか装備されないリヤアクスルステアリングも用意されるなど、とにかく走りにこだわったモデルとなっている。

ポルシェ911カレラTは7速MTと8速PDKが用意され、いずれも価格は1640万円。
マニュアルトランスミッションの設定や軽量化など、911が元来持っている「クルマを操る喜び」を心おきなく堪能することができるモデル、それが911カレラTだ。その爽快な走りが運転する者を魅了するであろうことは想像に難くない。