しかし、小中高生に限ると538人で過去最多となった。特に、春休みやゴールデンウィーク、夏休みなどの季節の変わり目や、長期休暇明けは小中高生の自殺者が多い。性別で見ると、もともと男子の自殺者が多かったが、2023年以降は男女が逆転し、女子の自殺者が上回った。とはいえ、男子の自殺も深刻であることに変わりはない。むしろ、女子の増加が社会的に注目される陰で、男子特有の孤立や深刻な状況が「いつものこと」として見過ごされる危うさを孕んでいる。(ライター・渋井哲也)
不適切指導が招いた「指導死」の悲劇
その深刻な事例のひとつが、学校での教員からの“指導”をきっかけとしたケースだ。2018年9月、2学期始業式の午後、鹿児島市の中学3年生だったAさん(当時15歳)が自室で亡くなった。
この日、Aさんは提出し忘れた夏休みの課題があった。40代の担任教諭は、同様に提出を忘れた生徒6人を対象に集団指導を行った。他の生徒は「(担任が)急に怒鳴ったり、静かになったりして、何を言っているのかわからなかった」と証言している。
その後、さらにAさんと別の生徒2人だけが職員室に呼ばれた。
また、この忘れた課題に対する指導は途中から進路指導へと変化。Aさんの不安をますます煽った。指導後、Aさんは自宅まで課題を取りに帰されたが、職員室を出るとき涙を流していたという。
Aさんは帰宅後に亡くなった。
調査報告書では、担任の指導を「普通の生徒であっても萎縮するほどの声量」「怒られることに慣れていないAさんにとって大きく動揺する出来事」「大声で責めるのみで、改善策を考えさせようとした様子は見受けられない」「自死に影響を与えた可能性は否定できない」とした。
不適切指導が背景にある、いわゆる「指導死」だった。
報告書は、(1)大声などで生徒に恐怖感情を与え、教師の意に沿う行動をさせる、(2)宿題を自宅に取りに帰らせる、(3)スタンプラリー(指導を受ける際、1人の教師からの指導が終わるとサインをもらい、さらに別の教師からの指導を次々と受けること)――などを改善すべき点として列挙した。
遺族は、担任による「怒鳴り声を上げる」「進路に関する不安をあおった」などの指導が不適切だったとして、2023年12月、市を相手に約6580万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。今年の5月に結審を迎える。
急増する「オーバードーズ(OD)」
自殺統計には表れにくい問題もある。それが、過量服薬(オーバードーズ、OD)だ。ODをきっかけに亡くなると、「中毒死」や「転落死」とされるため、自殺統計に計上されない場合がある。しかし当然、状況によっては「自殺」の場合もあるだろう。
消防庁の「自損行為による救急搬送事案の概要」(2016年から2023年)によると、ODの疑いによる人口10万人あたりの搬送人員は増加傾向だ。
同じく消防庁の「自損行為による救急搬送」で搬送の実態を見てみると、若年層の女性の増加率が際立っているものの、数としてみれば男性も19歳まで、20~39歳までの若年層において微増を続けている。男性の自損行為もまた看過できない水準といえる。
男性がODに至るケースはさまざまだが、深刻なトラウマからODに至ったケースを紹介する。
都内に住む専門学校の男子学生Bさん(18)は、昨年11月、自宅で鎮痛剤252錠を飲んだ。母親が119番通報し、なんとか一命を取り留めた。
Bさんは前日までに複数のドラッグストアを回り、「第2類医薬品」である鎮痛剤を購入していた。こうした市販薬(指定濫用防止医薬品)の販売にあたっては、薬機法の改正により今年5月1日から販売個数制限(18歳未満への大容量・複数販売禁止など)や薬剤師による確認・情報提供が義務化された。しかし、これまではあくまでガイドライン上の「努力義務」にとどまっていた。
そのため、若年者が一度に大量購入してもチェックが働きにくく、実際にBさんも1軒目で登録販売者から説明を受けたが、2軒目ではなかったという。
BさんのODの背景には、いじめ被害があった。高校時代、女子生徒を含む同級生から深刻ないじめを受けていたという。学校の不十分な対応もあり、トラウマが残り、Bさんを苦しめていた。ODの前に遺書のつもりで残したメモには<私の人生を返せよ、夢を返せよ>と綴っていた。
OD後、Bさんは意識不明となり、人工呼吸器を装着するほどだった。人工呼吸器を外した後も、しばらくは車椅子生活となった。今後は、オープンダイアローグ(対話による治療的アプローチ)を行う医療機関で治療を受けるという。
一方で、衝動的にODに走る若者もいる。
4月初旬の午前0時30分ごろ、大学生Cさん(20代)は「死のう」と思い手元にあった咳止め薬を1瓶飲み干した。別の手段も考えたが、「せっかく買った薬を残すのはもったいない」とODにしたという。幼い頃から希死念慮はあったというが、ODは初めてだった。
20分後、母親が部屋にきて119番に電話。
「誰かに寄りかかりたい欲求があるんです。4月は環境が変化するので、苦手というのもあります。将来が見えないのもつらいです」(Cさん)
社会に求められる包括的な支援
子ども・若者の自殺やODは深刻さを増している。明らかな過去のトラウマ体験のほか、ハラスメント行為がきっかけになる場合もあれば、明確な理由が大人からは、あるいは本人でさえわからない場合もある。学校等で、「SOSの出し方」について教えられる機会も増え、オンラインを含めた相談窓口の取り組みも多い。しかし、実際に若者たちの声を聞くと、それだけではなく、生きづらさへのケア・サポート体制や、ハラスメント防止対策、問題解決型の相談体制の充実が求められていると感じる。
とりわけ、孤立を深めがちな若い男性がためらわずに支援を求められるような、社会全体の理解と受け皿作りが急務といえる。
■渋井哲也
栃木県生まれ。長野日報の記者を経て、フリーに。主な取材分野は、子ども・若者の生きづらさ。

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