誤解を恐れずに言うならば、10年ほど前までは“元「AKB48」の売れないバラエティタレント”にすぎませんでした。そんな「AKB48」OG勢のなかで“負け組”のイメージがあった野呂佳代さんの躍進が止まりません。


 近年は売れっ子バイプレイヤーとして引っ張りだこで、「野呂佳代が出るドラマにハズれなし」と言われるほど、出演するドラマがことごとくヒットしたり話題になったりしているのです。

GP帯ドラマで“実質的なダブル主演”!

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 現在放送中の4月期ドラマでは、黒木華さん主演の連続ドラマ『銀河の一票』(フジテレビ系)に、2番手キャストの準主役として出演中です。

 このドラマは、黒木さん演じる政治家秘書が、野呂さん演じる政治素人のスナックのママをスカウトし、東京都知事選に挑むというストーリー。主人公は黒木さんですが、公式サイトのトップページやポスターに使われるメインビジュアルでは黒木さんと野呂さんがツーショットで写っており、実質的なダブル主演に近い形となっています。

 なぜ野呂さんはGP帯・連続ドラマの“実質的なダブル主演”に抜擢されるほど、役者としてブレイクできたのでしょうか?

すんなりと俳優業にスライドできず…

 若い世代には馴染みが薄いかもしれませんが、野呂さんと言えば「AKB48」の元メンバー。今から20年前の2006年にグループへ加入しており、同期には大島優子さんらがいます。2009年から2012年までは姉妹グループ「SDN48」でも活躍していました。

 アイドル卒業後に俳優業へ注力するケースは多く、「AKB48」OG勢でも前田敦子さん、大島優子さん、川栄李奈さんらは着実に役者としてのキャリアを積み、売れっ子へと成長しています。

 しかし野呂さんの場合、すんなりと俳優業にスライドできたわけではなく、役者として引っ張りだこになる現在の流れができ始めたのは、ほんの5~6年前のことです。

最初の転機となった『ロンドンハーツ』

「出るドラマ全部ヒット」“仕事はパチンコ番組だけだった元AKB”が掴んだ、遅咲きの大逆転。有吉が放った“転機の一言"とは
画像:トレイダーズホールディングス株式会社 プレスリリース
 2010年代はほとんどバラエティタレントのイメージしかなかったのではないでしょうか。さらに忌憚なく言うならば、テレビなどメディアへの露出が少なく、バラエティタレントとしても売れっ子とは言い難い時期もありました。

 実際、「SDN48」卒業から1年が経った2013年には、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で有吉弘行さんに進路相談をするという企画に登場。パチンコ番組ぐらいしか仕事が来ないことへの不安と焦りを吐露していたほどです。

 ただ、このとき有吉さんから「だったらそのパチンコ番組全力でやれよ! バーカ!」と愛ある説教を喰らったことで気持ちを入れ替え、どんな仕事でも全力で取り組むようになったのだとか。

『ゴッドタン』で“跳ねた”芸人完コピ

 この『ロンドンハーツ』での有吉さんへの進路相談は、野呂さんがバラエティタレントとして覚醒していくきっかけとなった転機でした。一方、バイプレイヤーとしてドラマに頻繁に呼ばれるようになる転機は、別のところにあります。


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画像:TVerより
  それは、佐久間宣行さんがプロデューサーを務める『ゴッドタン』(テレビ東京系)に、2017年から朝日奈央さんとともにアシスタントとして出演するようになったことです。

 ただのアシスタントにとどまらず、野呂さんと朝日さんが同番組で“跳ねた”のは、芸人のネタを全力で完コピするという体当たりの企画がきっかけでした。2人の“代表作”はにゃんこスターのコントの完コピで、野呂さん単独ではピン芸人・あかつさんの「すもササイズ」の完コピも爆笑をかっさらっていました。

 この頃も野呂さんの仕事量が多かったわけではなく、朝日さんが先にバラエティタレントとしてブレイクしたため、野呂さんとしては背水の陣の気持ちがあったかもしれません。それでも有吉さんからの教えを守り、腐らずに芸人の完コピへ全力で取り組む姿は、お笑いファンを中心に高く評価されるようになっていったのです。

コントでの演技力がドラマ業界にも浸透

 一見すると、バラエティ番組で笑いを取ることと俳優業のオファーが増えることは、つながりが薄いように思えるかもしれません。しかしコントを通じて示された演技力の高さが、ドラマ業界にも徐々に浸透していったのでしょう。

 2021年の『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)に看護師役でレギュラー出演し始めた頃から風向きが変わり、バイプレイヤーとして数々のドラマからお呼びがかかるように。

 なかでも野呂さんはコメディリリーフ的な立ち回りをするキャラクターが多く、コメディ色の強いドラマで個性を発揮するのはもちろん、シリアスなドラマの箸休め的なシーンにも登場し、視聴者の気持ちをほっと和ませる存在感を放っている印象が強いです。

準主役の今期でも“説”の実証なるか?

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画像:キリンビール株式会社 プレスリリース
 余談ですが、『ナイト・ドクター』以外にも、2022年と2024年に放送された『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)では看護師役、2024年の『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)では麻酔科医役、2025年の『初恋DOGs』(TBS系)では動物看護師役、今年1月期に大ヒットした『リブート』(TBS系)では形成外科医役を演じています。野呂さんの演技は、医療従事者のキャラクターとの親和性が特に高いのかもしれません。

――『銀河の一票』では、主演の黒木華さんを喰ってしまうほどの存在感を放っている野呂さん。今期も「野呂佳代が出るドラマにハズれなし説」を証明してくれるのではないでしょうか。


<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi
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