「漁1回の燃料費は15万円」 売れない“未利用魚”を絶品に

燃料費の高騰に担い手不足など、困難に直面している漁業。それを応援する一軒の「深夜食堂」が愛知県西尾市にあります。メニューはなかなか売れない「未利用魚」。

どんな味なんでしょうか。

愛知県西尾市の一色漁港。セリも始まっていない、深夜2時に開く「食堂」があります。漁師相手ではなく、一般の人が次々に。

港にできた、知る人ぞ知る「深夜食堂」。その背景には、漁師が直面する苦境とそれを救おうとする一人の女性の心意気が。

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深夜1時 漁を終えた船が港に

4月23日、深夜1時の一色漁港。港へ帰ってきたのは、外海で底引き網漁を行う「隆栄丸」。早速水揚げを始めます。

「漁1回の燃料費は15万円」 売れない“未利用魚”を絶品に 午前2時に開く深夜食堂  地元漁業の救世主なるか
CBC

この日とれたのは、アンコウにアマダイ、タチウオや立派な天然トラフグなど大漁です。

船長の稲垣さんは漁師歴約60年。休む間もなく家族総出で魚を選別し、トロ箱に並べてセリの準備。

(隆栄丸 船長 稲垣二三隆さん 71歳)
Q.帰ってきてから大変ですね、丸1日も外海に出ていたのに
「魚はとりたいけども、セリの準備が疲れる」

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燃料費は漁1回で15万円「もうダメ…」

大漁ではありますが、稲垣さんはそれでも苦しくなるばかりだと話します。

(船長 稲垣さん)
Q.1回の漁で燃料は何リットル使う?
「1000リットル。

網の修理でもなんでも、油が上がるとすべて値段が上がる。今はもうダメだね…」

1回漁に出るだけで、燃料費は約15万円。燃料の軽油価格は去年に比べ約1.3倍に。60年漁師をやっていて、一番高いと言います。

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売れ筋ではない「未利用魚」どんな魚?

少しでも魚が売れてもらわないと赤字が心配される中、いろんな魚がごちゃ混ぜになったトロ箱が増えています。

金魚のようなサイズの小さなアマダイ、メヒカリの仲間のトモメヒカリ、珍しいワニゴチなど、売れ筋ではない魚「未利用魚」です。

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(船長 稲垣さん)
Q.いろんな魚種が入っている?
「1種類で一箱できないもんで」
Q.混ぜちゃうんですか?持ち帰ってきたら売れる可能性がある?
「一箱で出せればいいんだけど、埋まらないもんで」

「未利用魚」ばかりを買う卸業者の女性 そのワケは?

数年前までは持ち帰ることすらありませんでしたが、油などの経費が上がり続ける中、少しでもお金になればとセリに出すように。しかし、売れずに捨てることもあったと言います。

そんな中、未利用魚のトロ箱ばかりを競り落としていく女性が。20年以上、一色で鮮魚の仲卸をしている田中佐登美さん。

(カネタ水産 代表取締役 田中佐登美さん 57歳)
「昔に比べたら船がだいぶ少なくなっている。漁師もだいぶ減った。半減以下になっているから、売れない魚もちゃんと買わないとね」

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未利用魚を買い取り “ある活用”を

先細りが心配される地元の漁業を応援するために、未利用魚を買い取っているのだと言います。本来、高級魚のアマダイも小さなサイズではまず売れません。

(カネタ水産 田中さん)
「市場価値があまりない。

買われていかなかったら、どんどん残っていって捨てられる可能性もあるよね」

ただ買い取るだけでなく、田中さんが始めたもう一つの挑戦が。

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深夜2時にオープンする 土日限定の「深夜食堂」

未利用魚を天ぷらの串にして出す深夜食堂。

「天ほせ 深夜食道999」は、毎週土日限定で開店は午前2時と深夜ですが、お客さんが次々に。小さすぎるアマダイも絶品の天串に早変わり!

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(客)
Q.どちらから来られた?
「小牧市です」
Q.この時間にわざわざ来たんですか?
「わざわざ来ました!」「美味しい」

トモメヒカリの串も、おいしいとかなりの評判です。

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地元漁業の救世主に?SNSで広まり常連客も

また、今の時期のトラフグは季節外れで売れにくいものですが、ここではあえてそれを仕入れるため、お値打ちに楽しめます。

他にも、女性向けに小ぶりのエビだけで作った天丼など、深夜食堂名物のメニューも。

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店の評判はSNSで広まっていて、そのおかげで未利用魚の買値も少しずつ上がっていると言います。

(カネタ水産 田中さん)
「微力だけどね、微力だけど人を呼び込む。お客さんが来てくれれば、みんなが魚を買えるから。漁師さんを応援したい!新たな挑戦かな」

担い手不足に燃料費の高騰と、先行き不透明な漁業を元気づけたい。深夜にだけ開く食堂の、地道な挑戦が続いています。

「漁1回の燃料費は15万円」 売れない“未利用魚”を絶品に 午前2時に開く深夜食堂  地元漁業の救世主なるか
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CBCテレビ「newsX」 2026年4月29日放送より

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