
ホラー映画界の巨匠・清水崇監督の最新作『忌怪島/きかいじま』に主演した、なにわ男子の西畑大吾。ホラー映画出演初体験の裏側、なにわ男子のメンバーとしての目標、ファンへの思いなどを聞いた。
役との共通点は「人付き合いが苦手なところ」
©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──『忌怪島/きかいじま』(2023)は、『恐怖の村』シリーズに続く清水崇監督の最新作で、古来の怨念が眠る島を舞台に、現実と仮想空間が交わり始めたことで生まれる恐怖を描いた画期的なホラー映画です。出演オファーがあったときのことを教えてください。
僕はめっちゃビビリなので、出演依頼には本当に驚きました。清水監督とは以前、バラエティ番組でご一緒したことがありましたが、監督のホラー映画に主演することになるとは。本当に「まさか!」という感じです。
でも清水監督は恐怖映画の第一人者ですから、光栄なことですし、驚きと同時にうれしさもありましたね。なにわ男子のメンバーも「楽しみ」と言ってくれています。とはいえ「悪い霊とか連れて帰らんといてな」とも言われましたけど(笑)。
──西畑さん演じる片岡友彦は天才脳科学者です。非科学的なものを信じない理系男子ですが、ご自身と共通点はありましたか?
友彦と似ていると思ったのは人づき合いが苦手なところです。僕も実はあまり得意ではないので。
ただ、友彦は難しいタイプに見えて、実は素直な一面もあるんです。得意の脳科学の知識を披露して、周囲の人に「すごい」と思われることを喜んでいたり。
──現実に友彦が存在したら仲よくなれそうですね。
それは無理かもしれません(笑)。彼の人づき合いの悪さは僕以上ですから。そもそも挨拶しても無視するような男ですよ。そんなことされたら、僕の心は折れてしまいます。

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──脳科学者としての役作りは大変でしたか?
脳の構造とか、大脳、小脳や脳内の各部位の名称など勉強して臨みました。でも撮影を終えたいまとなっては、まったく覚えていません(笑)。
──撮影はいかがでしたか? 清水監督のアドバイスなど印象に残っていることがあったら教えてください。
清水監督の恐怖描写へのこだわりがすごくて圧倒されました。カメラワークも凝っているし、叫び方もいろんなパターンがあるんです。
友彦は科学で立証できるもの以外は信じないので、心霊現象もまやかしだと思っているのですが、それでも人間は本能で恐怖を感じたときに必ず反応します。例えば誰もいないはずなのに背後に気配を感じたら恐いとか。監督からは、そういう何気ない恐怖を感じる演技を求められました。
恐ろしくて思わず叫ぶシーンでも、いきなり「ギャー」と大声で叫ぶのではなく、じわじわと恐怖を感じて「うわ、うわ……ギャー」みたいに、次第に叫びにつながっていくようにと細かくアドバイスいただき、とても勉強になりました。

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──海の中に引き込まれたり、ずぶ濡れになったり、肉体的にハードなシーンもありましたね。
海のシーンは大変でした。ロケ地の奄美大島は天候が変わりやすいし、潮の満ち引きも激しくて、体力を奪われました。肉体的には一番大変やったかなあ。
奄美大島に思い出がいっぱい

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──VR研究を行う友彦のチーム「シンセカイ」を演じた共演者のみなさんとの交流はありましたか?
そうですね、奄美大島に滞在したことで、共演者のみなさんと島の情報交換をしながら仲よくなっていきました。
「シンセカイ」チームの中には、1カ月くらい島に滞在していた方もいて、「○○のスーパーは何でも置いてあってよかった」とか「この店の〇〇が美味しかった」とか、いろいろと教えていただきました。情報を交換して助け合いながら撮影ができてよかったです。
あと大自然に囲まれていたので、撮影が終わった後の疲れた体を自然が癒してくれましたね。すごく気持ちよかったし、いい環境で仕事ができたと思います。
──印象に残っていることはありますか?
僕は仕事の都合で行けなかったのですが、共演者のみなさんは撮影のないときに、スキューバダイビングや泥染でTシャツ作りをしていたそうです。僕の分もTシャツを作ってプレゼントしていただきました! 愛を感じましたね(笑)。
それから奄美大島のユタ(シャーマン:霊媒師)に占ってもらいました。「胃腸に気をつけながら、お仕事はまだまだ頑張りなさい」と言われました。

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──劇中には“イマジョ”という真っ赤な女性の怨念が現れますが、奄美大島には実際に“ヤンチュの呪い”という迷信があるそうです。撮影中、恐い現象など起こりませんでしたか?
なかったです。撮影現場はすごく楽しくて、いつもワイワイ賑やかでした。本当に何も起こらないので「じゃあ、みんな心霊現象作っちゃう?」というノリになり、自撮りで“恐い写真選手権”みたいなことやっていました(笑)。
──この作品は最先端技術で仮想現実を作り出しますが、西畑さんが作るならどういう仮想空間にしますか?
西畑大吾のことが好きな人しか入れない空間(笑)。みんなで日なたぼっこをしながら「気持ちいいですね~」と語り合う。あとサウナに入って整えるのもいいですね。快適な時間をファンのみなさんと共有したいです。

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──完成した映画を見た感想はいかがですか? ビビリだとおっしゃっていましたが、楽しめました?
脚本も読んでるし、撮影もしているのにめちゃくちゃ怖かったです! メタバース(インターネット上の仮想空間)に“イマジョ”の怨念が入り込んで島が大変なことになっていくという、ぶっ飛んだ展開のホラーですが、サバイバル要素もあるし、謎解きみたいな面白さもあるので、いろんな方に楽しんでいただけると思います。
デビューしてから猛スピードで駆け抜けた

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──なにわ男子は個人の活動も活発ですが、グループの未来について、メンバーで話したりすることはありますか? 今後について教えてください。
メンバー同士で話すことはよくあります。短期目標、長期目標などをみんなで話すのですが、昨年末から現在の活動は、去年の夏頃に話し合ったことを軸にしているんです。
そのとき目標として掲げていたのが「NHK紅白歌合戦」出場と「24時間テレビ 愛は地球を救う」のメインパーソナリティでした。正直、昨年の夏に語り合っていたことが1年もたたずに実現したことに、僕ら自身が驚いています(「紅白歌合戦」は2022年の12月31日に初出場。「24時間テレビ 愛は地球を救う」はメインパーソナリティを務めることが決定)。
デビューしてからものすごいスピードで走ってきたので、今後、どこかで立ち止まったり、転んだりするかもしれませんが、目の前のいただいた仕事に真剣に向き合い、結果につなげていきたいと思います。
──個人の活動はいかがでしょうか? 俳優としての目標、やってみたい役などは?
大好きな漫画がありまして。その漫画が実写映画化されたら、ちょい役でもいいので関わりたいなと、密かな願望を抱いています。
──漫画のタイトルは?
コメディ+感動もので、まだ実写化されていない漫画です。タイトルは……内緒です。
──グループから離れて俳優のお仕事をやるときに心がけていることはありますか?
俳優の仕事をするときは「お邪魔させていただく」という気持ちです。西畑大吾個人ではなく、なにわ男子でアイドル活動をしている西畑だから呼んでいただけたと思っているので。その気持ちは常に心に置いておきたい。
プロの俳優さんたちに胸を借りながらも、負けないようにやるぞ!といつも思っていますし、俳優専門じゃないからこそ、誰よりも努力して気合いを入れて臨まないといけないと思っています。

©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
──個人の活動は、なにわ男子の活動に影響を与えていますか?
今回はホラー映画なので、ホラーファンの方になにわ男子を知ってもらうチャンスですし、共演している俳優さんたちのファンの方にも、なにわ男子を知ってもらえるのではないかと。こういう機会を増やして、なにわ男子に還元していきたいと思っています。
──本当になにわ男子愛が強いですね。グループ活動の中で西畑さんが力を入れたいことは?
僕はアルバム「1st Love」の収録曲『ちゅきちゅきハリケーン』で作詞に挑戦したんです。ファンの方だからこそ理解できる、楽しめる仕掛けのある歌です。
作詞のセンスをもっと伸ばしていきたいですね。応援してくださるファンのみなさんに楽しんでいただける活動を全力でやっていきたいです。
取材・文/斎藤香
西畑大吾(にしはた・だいご)
1997年1月9日生まれ、大阪府出身。
『忌怪島/きかいじま』(2023 上映時間:1時間49分/日本

南の島でVR研究を行うチーム「シンセカイ」。そのVR研究に参加する為、島を訪れた天才脳科学者の片岡友彦(西畑大吾)は、研究中の仮想空間で突如“赤い女”のバグに巻き込まれる。このバグをきっかけに島民や「シンセカイ」のメンバーたちに不可解な謎と連続死が降りかかる。果たして、友彦らは無事島を脱出することができるのか―。
6月16日(金)より全国ロードショー
配給:東映
©️2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会
公式サイト:https://kikaijima-movie2023.jp/