戸田奈津子が長男のお世話もしたハリウッド女優スーザン・サランドン「彼女が出ていれば傑作と思っていい」
戸田奈津子が長男のお世話もしたハリウッド女優スーザン・サランドン「彼女が出ていれば傑作と思っていい」

字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。

長男が日本に行くからよろしく

スーザン・サランドンはどんな役柄でも上手にこなす万能女優。女の友情を描いた『テルマ&ルイーズ』(1991)もいい作品だったし、彼女があの映画を引っ張っていました。

見るべき1本をあげるとすると、ショーン・ペンと共演した『デッドマン・ウォーキング』(1995)でしょうね。死刑囚と対話し、その死を見届ける尼僧という難しい役。当時パートナーだったティム・ロビンスが監督と脚本、製作を務めて、スーザンはアカデミー主演女優賞を受賞しました。

彼女は、故ロビン・ウィリアムズの元夫人で、今も私が親しい映画プロデューサーのマーシャ・ウィリアムズの親友なの。

私がニューヨークへ行ったときに、たまたまマーシャとスーザンと一緒にお食事をしました。そのとき、「今度ミュージシャンの長男が日本に行くからよろしく」と頼まれて、お世話をしたりも……。

映画の中ではとても存在感があるから大柄に見えるけれど、実際はとても小柄で、そのギャップに驚きました。役柄の幅の広さはやっぱりすごい。彼女が出ていれば見応えのある映画だと思って間違いないですよ。

語り/戸田奈津子
アートワーク/長場雄
文/松山梢

 『デッドマン・ウォーキング』(1995) Dead Man Waking 上映時間:2時間2分/アメリカ

ルイジアナ州・ニューオーリンズ。

尼僧のヘレン(スーザン・サランドン)は死刑囚のマシュー(ショーン・ペン)から手紙を受け取り、彼と接見することに。マシューの罪状は、若いカップルの殺人及び強姦だった。

無実を主張するものの認められず、死刑が執行されることになったマシュー。ヘレンはカウンセラーとして交流するうちに彼と心を通わせ、死刑執行を回避しようと奔走する。

スーザン・サランドン

1946年10月4日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。映画『ジョー』(1970)でデビュー。

『ロッキー・ホラー・ショー』(1975)で一躍注目を集めた。『アトランティック・シティ』(1980)『テルマ&ルイーズ』(1991)『ロレンツォのオイル/命の詩』(1992)『依頼人』(1994)でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、1995年の『デッドマン・ウォーキング』(1995)で同賞を受賞した。

主な出演作は『ハンガー』(1983)『イーストウィックの魔女たち』(1987)『さよならゲーム』(1988)『グッドナイト・ムーン』(1998)『地上より何処かで』(1999)『17歳の処方箋』(2002)『Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?』(2004)『告発のとき』(2007)『ラブリーボーン』(2009)など。俳優のクリス・サランドンと離婚後、1988年から2009年まで『デッドマン・ウォーキング』の監督でもある俳優のティム・ロビンスと私生活のパートナーだった。